| 菫青石の恋 〜 Another ending 〜 |
| シャワーを浴びたロイは髪を拭きながらリビングへと入ってくる。ソファーの上に投げ出した脚の上に本を広げて読んでいるハボックに近づいていくと言った。 「勉強か?」 そう聞かれてハボックが顔を上げる。微かに微笑んで言った。 「マスタングさんの役に立てるようになるのはまだ大分かかりそうっスよ」 そう言ってハボックは図書館法を記した本を閉じる。ハボックは通信教育を利用して司書の資格を取るべく勉強中だった。 「時間はいくらでもあるんだ。慌てることはないさ」 ロイはそう言うとハボックの髪にキスを落とす。見上げてくるハボックの頬に手を当てると言った。 「あまり顔色がよくないな。大丈夫か?」 「ちょっと疲れてるみたいっス」 ロイの手に頬を擦り付けながらそう答えるハボックにロイが眉を顰める。 「無理するなよ。別に働かなければ食っていけないわけじゃないんだからな」 「わかってますけど…でも、買いたいものもあるし」 「買いたいもの?なんだ?買ってやるぞ」 そう言うロイにハボックが苦笑した。 「自分で稼いだ金じゃなきゃ意味がないっスから」 ハボックの答えに不満そうな顔をするロイにハボックは笑うと腕を伸ばす。ロイの首に手を回すとそっと引き寄せた。 「マスタングさん…スキ…」 そう呟いてハボックはそっと唇を重ねていった。 「ンッ…ンアッ!!」 大きく開かされた下肢の奥深くに猛々しい牡を埋め込まれてハボックが喘ぐ。ロイはハボックの脚をしっかりと抱え込むとガツンと突き上げた。 「ヒアアッッ!!」 その衝撃で仰け反る白い喉にロイは噛み付くように口付ける。きつく吸い上げれば紅い花びらが散った。 「アッ…んっ…マスタングさん…っ!」 涙を零しながら必死に縋り付いてくるハボックが愛しくて仕方がない。乱暴に抽送を繰り返せば絡み付いてくる熱い内壁がロイの熱を煽った。 「ンッ…ア…や…っ、おっきくしな…でっ」 狭い器官を押し広げる塊りにハボックが唇を震わせて懇願する。だが、そんな様もロイを煽る役にしか立たず、ロイはハボックの最奥へ己を突き入れると揺さぶった。 「ヤアアアッッ」 ハボックは悲鳴と共にびゅくびゅくと熱を吐き出す。くたりと弛緩する体をロイは容赦なく突き上げた。 「ヒッ…う…い、や…っ」 ハボックは力なくもがくゆるゆると首を振る。熱を吐き出したばかりの体は快楽を貪欲に拾い上げて瞬く間に高みへと追い上げられていった。 「アッ、アッ…ま、た…イくっっ」 ハボックはロイの肩に爪を立てると背を仰け反らせる。そそり立った自身からびゅるりと熱を吐き出すと小刻みに体を震わせた。 「あ…マスタ…グさ…ちょっと、待っ…」 激しい行為に付いていけずハボックがそう言ってもロイは構わずハボックの体を貪り続ける。ハボックの背に手を回すとハボックの体ごとベッドの上に座り込んだ。 「ンアアアッッ!!」 自重で深々と貫かれてハボックが悲鳴を上げる。ロイは仰け反る白い胸を飾る紅い果実にギリと歯を立てた。 「ヒッ…」 痛みに目を見開いて、だがそこからじんわりと広がる快感にハボックは喘ぐ。自分の胸にロイを引き寄せるようにその頭を抱え込むとギュッと抱き締めた。ロイは口に含んだハボックの乳首を舌で愛撫する。舌先でチロチロと舐め、次には押しつぶすように弄ればハボックの唇から甘い声が零れた。 「はああん…」 うっとりと甘える声にロイの目が細められる。胸から顔を上げるとハボックの顔を見つめた。 「ハボック…」 そう呼べば熱に濡れた空色の瞳がロイを見返す。強請るように唇を寄せてくるハボックに口付けを与えながら、ロイはハボックをきつく突き上げた。 「ンッ…ンンッッ!」 びゅるんとロイの腹に熱を吐き出したハボックの体が震える。ロイはその体をきつく抱き締めるとハボックの最奥へ熱を叩きつけたのだった。 「こんにちはっ」 ハボックは店の扉を開けるとそう声をかける。ケースの向こう側で商品を磨いていた初老の店主はハボックを見ると目を細めた。 「やあ、ハボックさん。また見にきたのかい?」 そう聞かれてハボックは小さく首を振る。その仕草に店主は嬉しそうに目を見開いた。 「おお、それじゃいよいよ?」 「ええ、やっと金がたまったんで」 ハボックはそう答えて笑う。店主はうんうんと頷くと店の奥へと行き小さな平たい箱を持ってきた。 「よかったねぇ、思ったより早かったんじゃないのかい?」 「マスターが売上が伸びたご褒美って少し余計にくれたから」 ハボックはそう言うと店主がガラスケースの上に置いた箱を見つめる。箱の蓋が持ち上げられるのをワクワクしながら見つめる空色の瞳に店主は優しく笑うと蓋を開けてハボックの前へ中身を取り出した。 「ほら、ご注文の品だよ」 そう言って渡されたものをハボックは見つめる。ハボックの手のひらの上には1本の万年筆があった。その万年筆はロイの黒曜石の瞳から作り出したような黒い艶のある軸で、キャップの天冠の部分には紅いルビーが埋め込まれている。クリップとキャップのリングは金でリングには火蜥蜴の模様が刻まれていた。 「…ありがとうございます」 ハボックは手の中のそれを嬉しそうに見つめながらそう言う。店主はいやいやと首を振ると言った。 「きっと気に入ってもらえるよ。なにせ、私が腕によりをかけて作ったんだからね」 「はい」 嬉しそうに笑うハボックに店主は小さな袋を取り出す。ハボックに差し出しながら言った。 「これは私からのプレゼントだ」 「え?」 きょとんとするハボックに店主は袋を渡す。ハボックは手のひらの上で袋を逆さにすると、コロンと転がり出たものに目を見開いた。 「これ…」 「左手の小指に嵌めておくといい。願いを叶えてくれるお守りだよ」 そう言う店主の言葉にハボックは手のひらの上を見つめる。袋の中に入っていたのはルビーをあしらった金色のピンキーリングだった。 「こんなもの頂けませんっ」 ハボックは慌ててリングを袋に戻すと店主につき返す。だが、店主はリングを受け取らないばかりか意地悪く言った。 「それを受け取ってくれんのならこの万年筆を売るわけにはいかんな」 「そんなっ」 困り果てるハボックに店主は笑うと言う。 「お礼の意味もあるんだよ。久しぶりに楽しい仕事をさせてもらった。最近は想いをこめてペンを贈る人も減っているからね」 そう言って笑う店主の顔をハボックはじっと見つめる。それから袋をギュッと握り締めると言った。 「ありがとうございます。オレの思っていた以上のものを作っていただいて、その上こんなものまで…」 「今度はその人も連れて来ておくれ」 「はい」 ハボックは頷くと嬉しそうに笑ったのだった。 |
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