続ハイムダール国物語  第五十七章


「ハボックっ」
 指先に走る甘い痛みに、ロイは責めるようにハボックを呼ぶ。そうすれば力強い腕がグイと体を引き寄せて、厚い胸板に頬を寄せたロイは閉じていた目を開けた。
「ロイ」
 低く熱を孕んだ声が耳元に吹き込まれて、ロイはハボックの胸に縋りつく。ハボックはロイの顎を掬ってその黒曜石を覗き込んだ。
「よかった……絶対取り戻すって思ってたっスけど、それでもこうして抱き締めるまでは、アンタのこの瞳を見つめるまではどんだけ不安だったか」
 そう言って間近から見つめてくる空色をロイはうっとりと見上げる。ハボックの頬に手を伸ばして言った。
「私も……お前のこの空色に会いたくて、帰りたくて……絶対死にたくないと思った。きっとお前が来てくれるから、それまではなんとしても生き延びようって……」
 そう言って頬を撫でる手をハボックはギュッと握る。ロイの掌にキスをし、細い手首にきつく唇を押し当てた。ピクンと震えるロイを流し目に見つめる。見つめてくる熱を孕んだ空色にロイがゾクリと身を震わせれば、噛みつくように口づけられた。
「ん……んふ……」
 深く唇をあわせ、互いの口内を舌でさぐり合う。じゃれあうように舌を絡めあえば、ロイの唇の端から飲みきれない唾液が零れた。
「ふぁ……ハボック……」
 縋りついたシャツを握り締めてロイがハボックを呼ぶ。甘ったるく己を呼ぶロイの躯をハボックは軽々と抱き上げてベッドに下ろした。そのまま細い躯に圧し掛かると薄いネグリジェの上から手を這わせた。
「ロイ……」
 何度も口づけながらハボックは肩から胸へと手を滑らせる。薄い布越し、胸の頂を飾る小さな突起を見つけると指先で摘んでクリクリと捏ねた。
「あっ、あんッ」
 ハボックに愛されるようになってから胸で快感を得ることを覚えさせられた。沸き上がる快感に悶えれば綺麗に整えられていたシーツが瞬く間に乱れていく。布越しの愛撫に焦れたロイは、己の手をハボックの手に添えると襟元から服の中へと導いた。
「ハボック……」
 強請るように熱に蕩けた瞳で見上げれば、ハボックの大きな掌がロイの肌を直に這う。その指がキュッと乳首を摘んで引っ張った。
「ああッ!」
 乳首を引っ張られロイは胸を仰け反らせて喘ぐ。胸への刺激が直接下肢に伝わって、中心がクンと頭を擡げた。
「んっ……あ……ハボックぅ」
 ゆらゆらと腰を揺らしてロイはハボックを呼ぶ。舌足らずな甘い声で呼ばれて、ハボックはゾクリと震えて摘んでいた乳首に爪を立てた。
「アアッ!」
 爪が食い込む痛みにロイは仰け反らせた喉から悲鳴を上げる。ハボックは襟元に手をかけるとネグリジェを引き裂いた。
「……あっ」
 薄い布地が引き裂かれる乾いた音にロイは目を見開く。ハボックは引き裂いた布を毟りとりロイの素肌を晒した。そのままむしゃぶりつくように紅く膨らんだ乳首に唇を寄せる。舌を這わせ甘く歯を立てきつく吸い上げれば、ロイがビクビクと震えて喘いだ。
「はぁん……ッ、胸、も、や……ッ」
 執拗に繰り返される胸への愛撫にロイがゆるゆると首を振って訴える。甘い啼き声はだが煽る役にしか立たず、ハボックはうっすらと笑って言った。
「胸、弄って欲しいって言ったの、アンタっしょ?」
 布越しの愛撫に焦れて誘ったのはロイだと言えば、黒曜石の瞳が睨んでくる。ハボックはクスクスと笑って紅く染まった目元に口づけると、ロイのすらりと伸びた脚に手をかけた。
「ヤダ」
「なんで?」
 開こうとする手を拒んでギュッと脚を寄せるロイにハボックが面白がるように尋ねる。そうすれば、ロイが見下ろしてくる空色を睨み上げて言った。
「服」
 いつまで着ている気だと羞恥の滲む声で詰るロイにハボックは空色の瞳を見開く。クスリと笑ってロイの桜色の目元を指先で撫でて言った。
「すんません。アンタがあんまり可愛くて夢中になってたっス」
「……馬鹿ッ」
 恥ずかしげもなくそんなことを言う男にロイはプイと顔を背ける。微かな衣擦れの音に続いて直に触れてくる肌の感触に、ロイは震えて背けていた目を閉じた。
「ロイ」
 低く呼ぶ声にロイはゆっくりと目を開ける。ハボックを見上げて間近に迫る空色に手を伸ばした。
「愛してます、ロイ」
「私もだ、ハボック」
 愛を囁く言葉に答えれば、ハボックが嬉しそうに笑って唇を寄せてくる。チュッチュッと啄むように口づけて、ハボックはロイの脚の間に手を忍ばせた。
「アッ!」
 そそり立ち蜜を零す楔をキュッと握るとロイが甘い声を上げる。クチュクチュと扱けば忽ち楔は腹につくほどそそり立って、ロイの唇から零れる声が湿度を増した。
「んっ……はァ……ッ!ハボック……ゥッ」
 ロイは強請るようにハボックの手に下肢を押しつける。解放を求めて濡れた瞳で見つめるロイに、だがハボックは扱いていた手を離した。
「ッ、や……ッ、どうして……ッ?」
 望む解放を与えて欲しいとロイは腰をくねらせる。そんなロイにハボックは熱く囁いた。
「一緒にイきたいっス……アンタの中に」
 入りたい、と囁く欲に濡れた声にロイは一瞬目を見開く。それからふんわりと笑って、両手を腿に添えると大きく脚を開いた。
「ハボック……」
 とろりと蕩けた瞳で見上げてハボックを呼ぶ。そうすれば、ハボックがロイの腿に手を添えて惜しげもなく晒け出された蕾に顔を寄せた。
「アッ!」
 濡れた舌が慎ましやかな蕾を這い回り、舌先が中へと押し入ってくる。指先で開いた蕾にヌチャヌチャと舌を出し入れされて、ロイは喉を仰け反らせて喘いだ。
「ふあ、アッ……くァ……ッ」
 そそり立った楔からタラタラと蜜を垂れ流してロイは喘ぐ。竿を伝って零れてきた蜜が蕾を濡らして、ハボックはその蜜を塗り込むようにして指をねじ込んだ。
「ンアッ!」
 ググッと押し入ってくる指にロイの唇から悲鳴が上がる。だがグチュグチュと掻き回されれば悲鳴は瞬く間に甘い嬌声へと変わった。
「あん……ッ、アッ……ふァア……ッ」
 徐々に増やされる指に蕾を押し開かれ掻き回されるままにロイは腰を揺らめかせて喘ぐ。蜜を垂らす楔に手を添えて軽く扱きながら、ロイはハボックを見上げた。
「も、いい……ッ、早く、ハボックッ!お前が欲しい……ッ!」
 ハボックの長い指で後孔を掻き回されながらそそり立った楔を扱いて強請るロイのイヤラシい姿に、ハボックは目を瞠る。次の瞬間沈めていた指を乱暴に引き抜くと、衝撃に悲鳴を上げるロイに荒々しく口づけた。
「ロイ……オレもアンタが欲しい……ッ」
「来い、ハボック」
 熱く囁く声にロイはうっすらと笑って腕を差し伸べる。ハボックはもう一度笑みを浮かべる唇に口づけると、ロイの脚を大きく開いて胸につくほど押し上げた。


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