果てなき恋のバラード  第四十六章


「ん……んふ……」
 激しい口づけに息を継ぐ暇もない。意識が朦朧とする頃になって漸く唇が離れたと同時にカクンと頽(くずお)れた躯をハボックはしっかりと抱き止めた。
「大佐」
「あ……」
 ぼんやりと見上げてくる黒曜石にハボックはゾクゾクする。己の腕に身を預けてくるロイの躯をハボックはヒョイと抱え上げた。
「あっ」
 抱き上げられた反動にハッとしてロイはハボックを見上げる。見上げてくるロイを見返してハボックは言った。
「寝室に行きましょう」
「え?……あ…ハボック!」
 止める間もなく歩き出すハボックの胸にロイは縋りつく。抱かれたまま階段を上がるにつれロイの心臓がバクバクと音を立てた。
(う、うそ……っ)
 望んでいないと言ったら嘘になるが、とはいえ実際にこうなるとどうしていいか判らない。ロイが半ばパニックを起こしているうちにハボックは階段を上がりきってしまった。
 ハボックは二階にあがるとロイを抱いたまま器用に寝室の扉を開ける。そっと細い躯をベッドに下ろせば大きく見開いた目で見上げてくるロイにフッと笑いかけた。
「大佐……」
 熱い声で囁いて横たわるロイの顔の横に手をつく。その途端、逃げるようについた手とは反対の方へ身を捩って縮こまるロイにハボックは言った。
「オレとこうするのは嫌っスか?」
「ッ!」
 静かに尋ねられてロイはビクリと身を震わす。恐る恐る肩越しに見上げれば熱く見下ろしてくる瞳と目があって、ロイはゴクリと唾を飲み込んだ。
「嫌、じゃ、ない」
 ずっとずっとハボックを好きだったのだ。漸く想いが通じたのだからこうなる事を望まない筈はなかったが、どうしていいのか判らないのが本音だった。素直にそれを伝えれば一瞬目を見開いたハボックがクスリと笑う。ロイの黒髪を優しく掻き混ぜて言った。
「どうもしなくていいっス。オレが全部シてあげるから」
 アンタはただされるままになっていればいい、ハボックはそう言うとロイの体に圧し掛かってきた。


身につけていたものをすべて剥ぎ取られ、ロイは覆い被さってくるハボックを受け止める。直に触れる肌の感触が羞恥を煽り思わず縮めようとする手足を押さえつけられて、ロイは訴えるようにハボックを見上げた。
「ダメ、ちゃんと見せて」
「ハボックっ!」
 ハボックはロイの手首をベッドに縫い止め、下肢を脚で押さえ込む。細い体を見下ろしてうっとりと笑った。
「綺麗、たいさ……」
 窓から射し込む月明かりに浮かび上がる白い躯に目を細めてハボックが笑う。首筋に唇を寄せるときつく吸い上げた。
「アッ」
 チクリとした痛みにロイが小さく悲鳴を上げる。それに構わず更に吸い上げて唇を離せば、薄紅い痕が白い肌にくっきりと浮かんでいた。
「ふふ……」
 ハボックは嬉しそうに笑うと唇を押しつけ、次々と花びらを散らしていく。チクリと花びらが散るたび、そこから湧き上がるゾクゾクとした感触にロイはいやいやと首を振った。
「ハボック……ッ」
「なんスか?」
 堪らず呼べばハボックが顔を覗き込んでくる。熱く欲をたたえた空色に続ける言葉をなくせば、ハボックが言った。
「好き……全部食っちまいたい……」
 そう言うなりハボックはロイの乳首にむしゃぶりつく。突然のことに悲鳴を上げるロイの躯を押さえ込んで、ハボックは色の薄い乳首を吸い上げ甘く噛み舌で押し潰した。
「やっ、ヤダっ!」
 片方を唇で、もう片方を太い指で攻められてロイは身を捩る。色の薄かったそこは今ではすっかりと紅く熟れてツンと固く立ち上がっていた。
「美味しい……サクランボみてぇ……」
「ああ…ッ」
 言いながらきつく吸われてロイは身を仰け反らせる。こそばゆいようなゾクゾクするような不思議な感触に、ロイは怯えてハボックの頭を押し返した。
「も、ヤッ!」
 グイグイと押されてハボックは仕方なしに顔を上げる。うっすらと涙を浮かべるロイの顔を見て、ハボックは苦笑した。
「怖がんないで、大佐」
 ハボックはそう言ってロイを抱き締める。その優しい感触にホッと息を吐いて厚い胸に身を寄せてくるロイの髪をハボックはそっと撫でた。
「好きっスよ、たいさ……」
「わ、私も……ッ」
 囁かれる言葉にロイも必死に答える。そうすればハボックが嬉しそうに笑って口づけてきた。
「ん……」
 ぴちゃぴちゃと舌を絡め唾液を混ぜ合わせる。含みきれなくなった唾液がロイの唇の端から銀色の糸になって零れるのを、ハボックが舌先で辿りながら言った。
「気持ちよくしてあげる……」
「え……?」
 キスに酔っていたロイが不思議そうに見つめてくるのにチュッと口づけて、ハボックはロイの脚を押し開く。細い脚の付け根で半ば頭をもたげているロイ自身に目を細めると、そっと舌を這わせた。
「アッ!!」
 ハボックの舌がロイの楔を這い回る。裏筋を辿りカリに舌を這わせ先端の窪みをチュウと吸うハボックに、ロイは甘い悲鳴を上げた。
「ヤッ、アアッ!!」
 敏感な性器に加えられる直接的な刺激にロイは瞬く間に追い上げられていく。大きく開かされた股間に顔を埋めるハボックの金髪を力なく握り締めてロイは喘いだ。
「アッ、ああん……ッ、は…ッ、やあ……ッ!」
「気持ちイイ……?たいさ……」
 ロイの楔を舐め、吸い上げながらハボックが囁く。蜜を含んでずっしりと重くなった袋を揉み込まれて、ロイは高い悲鳴を上げた。
「やああんッッ」
 ゾクゾクと重いような快感が腰の奥に溜まってくる。今ではロイの楔ははちきれんばかりに固く張り詰めて、腹につくほどそそり立っていた。
「だ、め……ッ!も、でちゃう……ッッ!!」
 急速に高まってくる射精感にロイはハボックを押し退けようとする。だが、その手には力が入らず、むしろ股間に押しつけて優しく抱え込むように見えた。
「いいっスよ、イって」
 ハボックは囁いてロイの楔をじゅぶと咥え込む。大きな手のひらで袋を揉み込みながら咥えた楔をじゅぶじゅぶと唇で擦れば、ロイの躯がビクビクと震えた。
「や……ッ」
 射精すまいと脚を突っ張って必死に耐えるロイをハボックは容赦なく攻め立てる。ひときわ強く吸い上げれば、身を強張らせたロイがブルリと躯を震わせた。
「ア……アアアッッ!!」
 次の瞬間、ロイは高い悲鳴と共にハボックの口内へびゅくびゅくと熱を迸らせていた。


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