傍迷惑な恋  第十七章


 ピチャピチャと音を立ててハボックはロイの舌に己のそれを這わせる。ずっと口を開いていたせいで飲み込めないでいた唾液が口の端から零れて、ロイは口を閉じると手の甲で唇を拭った。
「も、平気……」
 そう言って顔を離すロイを、だがハボックは追いかける。細い肩を掴み今度は深く唇を合わせた上で舌を絡めた。
「ん…っ、んんっ」
 僅かに目を見開いたもののロイは逃げずにハボックの唇を受け止める。口内を思うままに嬲られれば零れるのは甘い吐息ばかりだ。ロイは縋りつくようにハボックのシャツを握り締めていたが、やがてクテンとハボックの胸に体を預けた。
「ハボぉ」
「たいさ…ッ」
 甘えるように見上げてくる黒曜石の瞳は、うっとりと潤んでたまらなく色っぽい。ハボックはロイの体をソファーに押し倒すとシャツの上から手を滑らせた。
「たいさッ」
 鼻息を荒くして圧し掛かってくる男をロイはそっと押し返す。拗ねたように唇を突き出して言った。
「ここじゃヤダ」
「たいさ?」
「初めてなのに……ちゃんとベッドでシて…?」
「……ッッ」
 甘えたようにそう言われれば抗える筈もない。シーツを替えたのがいつだったか、そんな心配がふと頭をよぎったが、ハボックは立ち上がるとロイの体を抱き上げた。見つめてくる黒い瞳に頷いてハボックはロイを寝室に運ぶ。灯りをつけないまま中に入るとロイの体をそっとベッドに下ろした。そうしてハボックは今までにないほど素早く着ているものを脱ぎ捨てる。逞しいハボックの体を見てベッドの上で恥ずかしそうに顔を赤らめているロイに改めて圧し掛かるとその頬をそっと撫でた。
「たいさっ、オレ、ずっとずっと大佐とこうしたかったんスっ!」
「ハボック……」
「好きです、たいさ……ッ」
 呻くように言ってハボックはロイに口づける。さっき交わしたキスも甘やかだったが、二人きりのベッドの上で交わすキスはもっともっと甘く感じた。ハボックはロイのシャツのボタンを外すと大きく前を開く。ボトムも下着ごと毟りとるように脱がせてしまえば現れたすんなりと伸びる白い脚にゴクリと唾を飲み込んだ。
「ハボ……」
 シャツをまとわりつかせたままロイがハボックの首に手を伸ばす。ハボックはその手に引き寄せられるようにロイの首筋に顔を埋めた。
「たいさ……」
 そう囁いて首筋にチュッと口づける。同じ場所を更にきつく吸い上げれば浮かび上がる赤い花びらをハボックはうっとりと見つめた。白い肌にもっと花びらを散らしたくて、ハボックは唇を強く押しつけては紅い痕を刻んでいく。そのたびロイの体がピクピクと震えて、桜色の唇から熱い吐息が零れた。
「あ……ハボ…ッ」
 強く押しつけられる唇から沸き上がるものが痛みなのか快感なのかよく判らない。だが、気がつけば中心が緩やかに勃ち上がりとろとろと蜜を零し始めていて、ロイは頬を紅く染めた。
 恥ずかしそうに頬を染めるロイの顔と、白い肌に散らばる花びらを嬉しそうに見下ろしたハボックは、一際紅くロイの胸を彩る飾りに気づく。ぺろりと舐めれば確かな弾力が感じられて、ハボックは唇で挟むとチュウときつく吸い上げた。
「あっ、やんッ」
 その途端、ロイの唇から喘ぎとも悲鳴ともとれる声が零れる。胸ごと吸い上げられているように身を反らせるロイの乳首を、ハボックは片方を唇でもう片方を指でくにくにと押しつぶしては摘み上げた。
「あっ……あんっ、やっ」
「気持ちイイっスか……?」
 ピクピクと震えるロイの乳首を嬲りながらハボックが尋ねる。声の振動すら刺激となってロイは身を震わせると僅かに首を振った。
「わ、判んない……ゾクゾクする……」
 正直胸への愛撫など初めてで、それがイイのか悪いのかなんて判らない。ただ、それをしているのがハボックだと思うだけで、すっかりと興奮して息が上がってしまうというのが本当のところだった。
「ふふ……かわいい……」
 ハボックはそう呟くと胸を弄っていた唇を下へと滑らせていく。臍の穴を擽り、更に下へと滑らせると細い脚をグイと押し開いた。
「やっ!やあんっ!」
 いきなり脚を大きく開かれてロイが悲鳴を上げる。勃ち上がってとろとろと蜜を零している楔を晒されて、ロイは羞恥に身を捩った。
「やだ、ハボ…ッ」
 そう言って逃げようとする体を引き戻して、ハボックはそそり立つ楔を下から上へとゾロリと舐め上げる。
「ひゃあっ!」
 その刺激だけで更にとろりと蜜を垂らすロイにハボックはうっとりと笑った。
「恥ずかしがらないで……オレ、大佐を気持ちよくさせてあげたいんス……」
 チュッと先端にキスを落としながらハボックが囁く。その言葉にピクンと震えてロイはハボックを見つめた。ハボックは空色の瞳を細めて笑うとロイの楔を口の中に迎え入れる。ジュブジュブとイヤラシい音を立てて擦り上げればロイの唇から熱い吐息が零れた。
「ああ…っ、ハボ……ッッ」
 直接愛撫される楔だけでなく、脚を押し開くために添えられた手が触れているところからも快感が沸き上がるような気がする。気がつけばロイはハボックの唇の動きに合わせて腰を揺らめかせていた。
「気持ちイイの……?」
「あ、ん……イイっ……気持ち、イイ…ッ」
 聞かれるままロイは素直に答える。急激にこみ上げてくる射精感にロイはふるふると首を振った。
「ダメ…っ、ハボ、もう出る……ッ、離して……ッ!」
 さすがにこのままハボックの口に出すのはためらわれて、ロイはハボックの口から引き抜こうとしてもがく。だが、ハボックはロイの腰をガッチリと掴むと口にした楔を思い切り吸い上げた。
「あっ、………アアアアアッッ!!」
 きつく吸い上げられ、こらえきれずにロイは熱を吐き出す。腰を突き出すようにして口内に注ぎ込まれたロイの熱をハボックは躊躇うことなく飲み干した。
「はあ……はあっ」
 胸を弾ませるロイの顔をハボックは唇に残った残漿を手の甲で拭いながら覗き込む。紅く染まった頬をそっと撫でて言った。
「たいさ、すっげーカワイイ」
 笑いながらそう囁けばロイがハボックを睨む。だが、頬を染めて睨み上げてくる様は可愛いばかりで、ハボックはロイの唇に己のそれを重ねた。
「ん……ふ、んっ」
 ピチャピチャと舌を絡ませながらハボックはロイの体をまさぐる。大きく開かせたままの脚の間に手を滑らせると、その奥で息づく蕾に指先で触れた。
「あっ」
 その途端、ビクッとロイの体が震える。不安げに見上げてくる黒い瞳にハボックは優しく笑いかけた。
「ダメ?」
 そう尋ねてくる言葉の意味が判らないわけではない。ロイ自身、そうしたい気持ちはあったが怖いのも事実で、ロイは腕を伸ばすとハボックにキュッと抱きついた。
「たいさ……オレ、大佐の事好きっス。だから大佐に近づきたい。抱き締めるだけじゃなくてもっともっと……」
 ハボックは抱きついてくるロイの背を撫でながらそう言う。優しく囁いてくる声に怯える心を溶かされてロイは抱きつく腕に力を込めるとハボックの耳元に囁いた。
「ハボだから……怖いけど、へ、いき…ッ」
 明らかに強がりと判る口調で、それでもそんな風に言ってくれるロイにたまらない愛しさがこみ上げる。ハボックは暫くの間ロイの体を強く抱き締めていたが、ロイの顔中にキスを降らせて言った。
「優しくしますから…っ」
「うん。判ってる、ハボ」
 唇が触れ合う距離で言えば黒い瞳が笑う。ハボックはチュッとキスをするとロイの脚を押し開いた。


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