FLARE BLUE  第五十一章


「くそうッ!言いたいことぬかしやがって……ッ!今に見ていろ、今回のことが終わったら絶対にただじゃおかねぇッ!!」
 車の後部座席に座った大男は苛々と爪を噛みながら呻く。自分のことをまるで下僕のような扱いをする杖男の事を頭の中で数発殴ると、運転席に向かって言った。
「おい、もっとスピードを上げろッ!マスタングも自分の家なら油断もしてるだろう。邪魔も入らんし今度こそブレスレットを奪ってやるッ!」
 前の座席のヘッドレストを掴んで言う大男に他の男達も頷く。後ろから仲間の車がついてきていることを確かめて、ハンドルを握る男はアクセルを踏み込んだ。大男とその仲間を乗せた数台の車が、ロイの家に向かって猛スピードで夜闇の中を走り抜けていった。


「オレの事、知ってよ」
 低く囁いて見つめてくる空色をロイは目を見開いて見つめる。そのまま身動きできずにいれば、ゆっくりと降りてきたハボックの唇がロイのそれを塞いだ。
「ッ!!」
 重なる唇にロイの躯が大きく震える。ハボックの舌先に唇を舐められ、反射的に開いたそこから煙草の味がする舌が押し入ってきた。
「んんッ」
 ハボックの舌がロイの口内を舐る。熱い舌先に己のそれを絡め取られて、ロイは震えながらハボックの腕を掴んだ。
「ん……ふぁ……」
 クチュクチュと水音を立てて煙草の匂いを纏わりつかせた舌が上顎を擽り柔らかい頬肉を弄るのに、ロイは熱い吐息を零した。それと同時にハボックの大きな掌がロイの躯を這い回る。シャツの裾から忍び込んできた手が直に肌に触れて、ロイはビクッと大きく震えた。
「ハ……ハボックっ」
「なんスか?」
 震える声で圧し掛かる男を呼べば、笑いを含んだハボックの声が答える。微かに震えるロイを見下ろしてハボックが言った。
「怖いんスか?意外と初心なんスね」
「ッ!」
 揶揄するような言葉にロイはキッとハボックを睨む。だが、シャツの中に入り込んできた手に胸の頂をキュッと摘まれて、ロイはビクンと大きく震えて喉を仰け反らせた。
「ヒャッ!」
「ふふ……意外と乳首、おっきいっスね。もしかしてこれまでに誰かにこうやって弄ってもらってた?」
「ッッ!!そんな事するわけないだろうッッ!!────ヒィッ?!」
 カッと目を吊り上げて怒鳴った次の瞬間、摘まれた乳首をキュウと引っ張られて、ロイは悲鳴を上げる。ビクビクと震えるロイの様子にハボックが小首を傾げた。
「ふぅん、もしかしてこっちの経験なし?」
「ふざけるなッ!あるわけない────アアッ!やめ……ッ!!」
 紡ぐ言葉を遮るようにクリクリと乳首をこね回す指に、ロイは胸を仰け反らせて震える。快感とも悪寒とも判らぬ感覚に、ロイは震えながらハボックを押しやろうとした。
「いい加減にしろッ!こ、こんな事してお前を知れる訳がないだろう……ッ」
「でもアンタ、オレを手に入れたいんじゃねぇの?」
「ッ!」
 確かに自分はハボックを手に入れたい。だが、それはこんな形ではないとロイが言おうとすれば、ハボックの手がボトムの布越し、ロイの股間をキュッと握った。
「ヒ……ッ」
「生憎オレは、こんな形でしか互いを知る方法を知らないんスよ」
「ハボ……ッ」
 低く囁いて見つめてくる空色にロイはゆるゆると首を振る。どうしていいか判らぬまま見上げるロイにハボックが何か言おうとした時、フッとリビングの灯りが消えた。


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