シャワーを捻って細かい飛沫を体に浴びた途端、背中に走った痛みに男は顔を歪める。湯気に曇る鏡を
洗い流して映してみれば、紅い筋が幾つも背中に走っていた。背に走る鮮やかな紅に男は苦笑する。
そういえばさっき、半ば強引に相手を貫いた時、しがみ付いてきた手が背に爪を立てていたことを思い出した。
行為の最中、ピリと走ったその痛みは痛いと言うより堪らない甘さを己にもたらし、その甘さを返すように男は
更にきつく相手を突き上げた。悲鳴を上げて逃げをうつ体を引き戻し乱暴に揺さぶれば、その綺麗な瞳を水の
膜が覆う。唇が甘く自分の名を刻み、助けを求めるように縋りつくその手に力が込められたのを感じながら、
組み敷く相手の外にも内にも所有の証を刻み込んだのだ。
シャワーの滴に呼び起こされた甘い痛みは男の唇に笑みを刻む。今はベッドでまどろむ愛しい存在をもう一度
抱きしめるべく、男はシャワーを止めると浴室を後にした。


2007/9/4


→ 「傷 その後」
ハボロイ・R20)
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ロイハボ・R20)