傷 その後


ハボックは寝室に入るとそっと扉を閉める。薄闇に沈んだ部屋のベッドの上ではロイが枕を抱きしめるようにして眠って
いた。ゆっくりとベッドに近づくとその顔を覗き込む。長い睫に縁取られた黒曜石の瞳は今は閉じられ、その事でロイを
ずっと幼く見せていた。
「たいさ…」
囁くようにその名を呼んでみたが、ロイは起きる気配もなくすうすうと寝息を立てている。ハボックはさっきシャワーを
浴びに行く前にかけてやったブランケットをするりと剥ぎ取った。白い肌に数え切れないほど浮ぶのは、ハボックが
刻んだ所有の印だ。鮮やかに浮ぶ紅いそれは、ロイの白い肌を花びらのように飾っている。枕を抱きしめて体を丸めて
眠るロイにハボックはくすりと笑った。
「まったく、抱きしめるならオレを抱きしめてくださいよ…。」
拗ねたようにそう呟いた言葉は、だが眠りに揺蕩うロイの耳には届かない。ハボックはロイの腕から枕を奪い取ると
その体を仰向けた。
「ん…」
しどけなくすんなりとした手足を投げ出して、ロイは静かに眠っている。ハボックはギシリと軋ませてベッドに昇るとロイの
上に圧し掛かった。
「たいさ…」
艶やかな髪をかき上げその額にキスを落とす。落とした唇を瞼に鼻筋に頬にと滑らせて桜色の唇にたどり着くと、ペロリ
と舐めた。チュッと何度も軽いキスをし、それから深く唇を合わせる。ロイの口中を散々に蹂躙して、そうして見下ろした
寝顔はあどけないままだった。
「ったく、寝穢いんだから…」
熱烈なキスにも一向に目覚める気配のないロイにハボックは眉を顰める。ハボックはロイの脚を高く抱えあげるとうすく
笑った。
「どうなってもしりませんからね。」
そう囁いて、ハボックはロイの蕾に己を押し当てる。グッと力を込めれば、先ほどまで散々に含まされたそこは柔らかく
解けてハボックを飲み込んでいった。穏やかに眠る顔とは裏腹に熱いそこに、ハボックは満足したようにため息を洩らす。
腿に手を沿えゆっくりと体を動かせばくちゅくちゅといやらしい水音が響いた。
「ん…ア…な、に…?」
揺さぶられる体に流石に意識を呼び覚まされてロイはうっすらと目を開く。自分を見下ろす紺青の瞳をその視野に
納めたと思った瞬間、きつく突き上げられてロイは堪らず悲鳴を上げた。
「ひっ…ああっ…ヤッ…ハボック…お前っ」
散々に好き勝手されて、ようやく眠りについたはずだったのに、いつの間にか含まされた熱にロイは喘ぐ。
「こ、の…っ…なに、勝手に…っ」
「たいさ、呼んでも起きてくれないんスもん…。」
「だからって、こ、んな…ああっっ」
グラインドするように突き上げられて、脳天を快感が突き抜ける。背を仰け反らせて喘ぐロイを見下ろしてハボックが
うっとりと笑った。
「ふふ…もう、ココ、こんなにして…やっぱヤり足りなかったんじゃないっスか…。」
「ちが…っ」
立ち上がってとろとろと蜜を零す中心を嬲られてロイはふるふると首を振る。己をかき乱す快感に耐え切れず、ロイは
自分の指に歯を立てた。
「ん…くっ…」
ギリと食いちぎらんばかりに指に歯を立てるロイに気づいたハボックは、ロイを攻め立てながらその指を外させる。
「ダメっスよ、大事な指でしょう?」
「あっ…やぁっ…やめ…っ」
涙を零しながら喘ぐロイにハボックは囁いた。
「そんなに辛いならオレに噛み付いてよ…噛み千切ったって構わないっスから…」
そう言ってハボックはロイの体を抱きしめる。ロイの唇が己の首筋に来るように引き寄せるとその耳元に囁いた。
「アンタのその綺麗な歯で、オレに傷をつけてよ…思い切り噛み付いて、一生消えない傷にして…」
そうしてハボックはロイの体を抱きしめたまま乱暴に突き上げる。
「ひううっっ」
ねじ込まれる熱がロイの体を焼いて、ロイは白濁を迸らせながらハボックの体に縋りついた。目の奥をちらつかせる
快感に無意識に目の前のものに歯を立てる。
「く…っ」
「んんっっ」
ハボックは首筋に食い込む硬い感触に眉を顰めた。と同時に背を走るピリとした痛みに唇の端を持ち上げる。
「たいさ…オレの…」
そう呟くと抉るようにロイの最奥を突き上げた。
「ひああああっっ!!」
途端にハボックにしがみ付いていた体が綺麗に反り返り逃げをうつ。だが、ハボックはそれを赦さず引き戻すと同時に
思い切り突き入れた。
「アアッア――――ッッ!!」
体を熱い塊で突き破られるような恐怖にロイはハボックの背に回した手に力を込める。
「アッ…ハボ…っ」
どくんと熱いものが己の中心から噴き出るのを意識の片隅で感じた。堪らない快感と開放感をロイが貪ろうとした時、
ハボックの大きな手がロイ自身を握り締め、乱暴に扱く。
「あっ…ひぃっ…ダメッ…ま、だ…っ」
快楽を解放したばかりのそこは酷く敏感で、キツイ刺激に耐えられない。ロイは泣きじゃくりながら何度もハボックの
背に爪を立てた。
「ひああっ…あっ…やめて…ゆるし…っ」
「もっと、デショ…アンタのここ、すげぇきゅんきゅんしてる…」
「ひゃあああんっっ」
繋がった場所を乱暴に揺すられて、ロイは喘ぐ。もう、快感に体がぐずぐずに溶けて、何がなんだか判らなくなっていった。
「あひ…あんん…ハボぉ…っ」
「ふふ…気持ちイイっスか…?」
「あっ…イイ…も、ヘンになる…っっ」
「へぇ…ヘンになるとどうなるんスか?」
ハボックは楽しそうにそう言うと、ロイの体をグイと引き起こす。繋がったままベッドの上に座り込むとロイの体を引き
寄せた。
「んああああっっ!!」
「たいさ…」
「あっ…ふかい…っ」
自分の重みで深々と貫かれ、ロイは激しく喘いだ。他人の体がこんなに自分の奥深くまで入り込むなんて信じられない。
だが、実際にハボックの熱はロイを深々と刺し貫いてその最奥で存在を主張していた。
「ハボ…ハボ…」
「なんスか…」
答える唇をロイは自分のそれで塞ぐ。きつく舌を絡めあううち、ハボックの手がロイの胸を弄り、堅く立ち上がった乳首
を摘み上げた。
「んくぅっ!」
身を引こうとするのを引き寄せて唇を合わせたままハボックはロイの乳首をこね回す。そうして軽く突き上げながら
口中を犯し、乳首を弄んでいると、ロイの中心はまた熱を吐き出した。
「あ…はあっはあっ」
「またイっちゃいましたね…。」
「だって…」
「だって、なんスか?」
小刻みに揺すりながら耳元にそう聞けば、ロイがため息をつくように答える。
「すご…イイ…」
うっとりと蕩ける表情にハボックはかああっと頭に血が上ってしまった。それと同時にロイを犯す中心も嵩を増す。
「ひいいっ…あっあっ…おっきぃっ」
「たいさ…っ」
ハボックはロイの双丘に手を当てると、割り開くようにしながら己をねじ込んだ。
「ひ…っ…さける…っっ」
根元までゴリゴリと押し込まれ、巨大な牡に狭い器官を押し広げられて、ロイは体を引き裂かれそうで悲鳴を上げる。
「あっ…ムリっ…そ、んなっっ」
そんなに押し込まれたら体がめり込んでしまうのではないかと、怯えたロイはハボックの肩に顔を埋めた。ガツンと
突き上げられ、悲鳴を上げた唇のままハボックの肩にしがみ付く。ギッと噛み締めたそこから僅かに血の味がして
ロイは無意識に舌を這わせた。
「たいさ…スキ…好きっス…」
耳に吹き込まれる甘い囁きにロイはうっとりと微笑む。
「私も…」
微かな声でそう囁いたとたん乱暴に突き上げられた。その最奥が熱く濡らされるのを感じながらロイは意識を手放した。

フッと浮かび上がった意識にゆっくりと目を開ければ、厚い胸板に抱きしめられていた。気だるい体にホウと息を吐いて
視線を上げると、その逞しい首筋にくっきりと浮ぶ歯形が目に入る。驚いて見つめているとハボックが笑う気配がした。
「何見てるんスか。」
「ハボ…これ、私が…?」
信じられないと言う顔でそう聞くロイにハボックはくすくすと笑う。
「アンタじゃなかったら誰がつけるんです?思い切り噛み付いたの、覚えてないんスか?」
嬉しそうにそう言うハボックにロイの顔がみるみるうちに紅くなった。
「たぶん、背中もヒドイ事になってそうっスよ。ピリピリしますもん。」
「せ、背中ってっ?」
混乱しきって聞くロイにハボックは呆れたような、楽しそうなため息をつく。
「散々爪立てたくせに。しがみ付いてオレが突き上げるたびギュウッって。」
「そ、それはお前が乱暴にするから…っっ」
「ヨカッタでしょ?」
そう言って覗き込んでくる空色の瞳に、ロイは真っ赤になって黙り込んだ。嬉しそうに抱きしめてくるハボックの腕に
引き寄せられながら、ロイはハボックの肌に浮ぶ紅い印を見る。そっとその印に唇を寄せるロイに、ハボックは幸せ
そうに微笑んだのだった。

2007/9/5


自分の物だって印をつけて、つけられて喜ぶ二人…。ラブラブ甘々です〜。でも、ハボックのはかなり痛そうだ(苦笑)