| 平行世界22 |
| 部屋を出たジャンは更に玄関をくぐり外へと出る。こちらの世界に来てからは要らぬ混乱を招かぬよう、外へは出ないようにしていたジャンだったが今はロイの顔もハボックの顔も見たくなかった。知っている筈なのに知らない道を歩いていけば、自分を知らない同僚達が働いている司令部が見えてくる。あそこに行ったところで自分の居場所はないのだとふと気がついて、ジャンは立ち止まった。ここはハボックの世界でありロイの世界だ。誰よりも大切な人もいなければ自分を必要とする人もいない。この世界で自分は余計なパーツなのだと感じてジャンは上げていた視線を落とした。 (消えるならこんな中途半端じゃなくて欠片も残さず消えちゃえばよかった) そう考えたジャンの瞳から涙が一筋零れた時。 「あれ、少尉?そんな格好で何してるんだ?」 振り向いたジャンが目にしたのは不思議そうな光を湛えた常盤色の瞳だった。 2008/06/04 → 23 21 ← |