平行世界20
 
 
「アンタたち二人がいなければ帰って来るかもしれないわね。あっちの世界に行ってくれないこと?」
暫くしてポツリとクリスが言う。その言葉にギョッとしてロイが言った。
「おい、穏やかでないことを言わないでくれ。ビリーは元々向こうの世界の人間だからいずれ帰るとしても、どうして私が向こうの世界に行かなきゃならないんだ」
冗談じゃない、とロイが言えばクリスが目を細める。
「諸悪の根源が何言ってんのよ。そもそも全部貴方がいけないんじゃないの」
ビシリと言い切るクリスにロイはグッと言葉に詰まった。クリスはフンと鼻を鳴らして言う。
「そうだわ、マスタング大佐に向こうに行って貰って、ビリー、アンタいっそ私の弟になんなさい。きっちり躾け直してあげるから」
「えっ?」
ギョッとして目を瞠るビリーを尻目にクリスは部屋を出るとダイニングへと入っていった。
「ハイマンス!喉が渇いたわ!」
「はいっ、ただいまっ!」
わたわたとキッチンに飛び込むブレダを見ながらビリーが言う。
「おい、いい加減何とかしろよっ」
躾け直されるなんてヤダ、と喚くビリーに。
「そんな事言ったって
どうにも途方に暮れるしかないロイだった。


2008/06/01


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