セレスタの涙、オニキスの誓い  第九十六章


「やめろッッ!!」
 背後から圧し掛かるようにして楔をねじ込もうとするダグラスから逃れようと、ハボックは必死にもがく。だが、腕を後ろ手にねじ上げられ、閉じられないよう脚の間に体をねじ込まれた状態では、精々ハボックに出来るのは凶悪な牡を突っ込まれないよう尻を振るくらいだった。
「ケツ振って誘ってんのか?」
「違……ッ!やだ、やめろよッ!!」
 嫌がっているというよりむしろ見る者を誘うような尻の動きに、ダグラスが面白がるように言う。片手をハボックのすぐ脇のブースの壁について、ハボックに身を寄せた。
「閣下に捨てられてからはどうしてたんだ?向こうでは毎晩のようにヤりまくってたんだろう?男なしじゃいられないだろうからな。ああ、マスタング大佐に強請って突っ込んで貰ってたのか?あの人、男も女も見境なさそうだもんな」
「な……ッ」
 クツクツと笑うダグラスの悪意に満ちた言葉にハボックは目を見開く。自分がなんと言われようと構わなかったが、ロイが貶められるのは赦せなかった。
「大佐を悪く言うなッ!」
 ハボックはそう叫ぶと壁についたダグラスの手に噛みつく。悲鳴を上げたダグラスの押さえつける力が弛んだのを見て、ハボックは思い切りダグラスを振り払った。噛まれた手を押さえて数歩後ずさったダグラスは、怒りに顔を歪めてハボックを見る。
「この……ッ、売女のくせにッ!!」
 己を卑しめるダグラスの言葉にハボックは僅かに眉を顰めたものの何も言わずにダグラスを睨んだ。手を離したものの未だダグラスはハボックの行く手を塞ぐようにブースの入口に立っている。ハボックは何とかここから逃げ出そうと、ダグラスの隙を伺った。じっと睨むようにダグラスを見ていたハボックは、ダグラスの左を抜けようと右にステップを踏む。それに反応したダグラスが左に体を寄せるのを見たハボックは、大きく開いたダグラスの右手を抜けようと咄嗟に左に向きを変えた。
「あっ!」
 上手く抜けられると思った瞬間、ダグラスが伸ばしてきた足に躓いてしまう。出しっぱなしのシャワーの湯が濡らす床に、ハボックは飛沫をあげて倒れ込んだ。
「ッ!」
 膝を強かに打ちつけて痛みに顔を歪めながらもハボックは急いで起きあがろうとする。だが、ハボックが身を起こすより早く、ダグラスが倒れ込んだハボックに飛びかかってきた。
「離せッ!」
 押さえ込もうとするダグラスの手をハボックは必死に振り払う。バシャバシャと湯を跳ね上げながら何とか逃れようと、ハボックは脚を蹴り上げた。
「うわッ!」
 もう少しで股間を蹴りつけられそうになって、ダグラスの手が弛む。その隙に逃げ出そうとしたハボックは、だがダグラスの手に足首を掴まれて床を流れる湯の中に突っ伏した。
「離せッ!」
「この野郎ッ!使いもんにならなくなったらどうすんだッッ!!」
 大事なイチモツを蹴り潰されそうになって、怒りに顔を真っ赤にしたダグラスが怒鳴る。力任せにハボックの足を引っ張れば床の上を引きずられてハボックが悲鳴を上げた。
「お前みたいにケツに突っ込まれてアンアン善がってる奴にはいらないだろうがな、俺はコイツで女を啼かしてんだよッ!ふざけんなッッ!!」
 ダグラスは怒鳴り声を上げて引きずり戻したハボックを押さえ込もうとする。暴れるハボックの股間に手を入れ色の薄い楔の下、小さな袋を力任せに鷲掴んだ。
「ヒィッ!!」
 急所を掴まれて悲鳴を上げたハボックが動きを止める。ダグラスは握り潰さんばかりに袋を掴んだ手に力を込めた。
「ヒ……ッ!!やめ……ッ!!」
 睾丸を握り潰される恐怖にハボックの抵抗がやむ。ハッハッと浅い呼吸を繰り返し、見開いた瞳で見上げてくるハボックの躯に圧し掛かってダグラスは言った。
「これ以上抵抗すると潰すぜ」
「ッ!」
 そう言うダグラスをハボックは大きく目を見開いて見上げる。綺麗な空色が恐怖に見開くのを見て、ダグラスはニヤリと笑った。
「脚開けよ」
「ッ?!」
 驚愕に更に目を見開いたものの言われたように脚を開こうとはしないハボックに、ダグラスは握った手にゆっくりと力を入れていく。そうすればヒクリと喉を鳴らしたハボックが小さく首を振った。
「開かないと本気で潰すぜ」
「ヒ……ッ」
 そう言うと同時にギュッと袋を握られてハボックが悲鳴を上げる。ダグラスは指先で袋の中の小さな玉をグリグリと弄んだ。
「やめ……ッ!!」
「開けってんだよッ」
 急所を握られてるにもかかわらずなかなか脚を開こうとしないハボックに、ダグラスは舌打ちしてハボックの脚の間に己の体をねじ込み、股間を握っていない方の手でハボックの片脚を押し上げる。膝で押し上げたハボックの脚を押さえて、ダグラスは奥まった蕾に指を這わせた。
「ヤダッッ!」
 触れてくる指にビクッと体を震わせて、ハボックは身を捩ろうとする。だが、その途端ギュッと股間を握られて、ハボックが悲鳴を上げた。
「いい加減にしろよ。別にタマが潰れてようが突っ込むには問題ないんだからな」
 苛立ちの滲む声でダグラスが囁く。浅い呼吸を繰り返し、小刻みに震えて見上げてくるハボックを食い入るように見た。
「抵抗すんじゃねぇよ。俺に突っ込まれようが今更ってもんだろ?むしろ可愛がってやるんだ、感謝して貰いたいくらいだぜ」
「ッ、ふざけんな……ッッ!!この、下衆野郎ッッ!!オレに触んなッッ!!────ヒィィッッ!!」
 こんな風に押さえ込まれて尚、大人しく躯を明け渡そうとしないハボックに、ダグラスはカッとなって急所を握る手に力を込める。悲鳴を上げてビクビクと震えるハボックのモノを本気で握り潰してやろうかとも思ったが、フンと鼻を鳴らして言った。
「そうか、無理矢理ヤられるのが好きってわけか。乱暴に滅茶苦茶にされるのがお好みって、やっぱり相当な淫乱なんだな」
「ッ!!」
 下卑た笑みを浮かべてそう貶める言葉を口にする男をハボックが睨みつける。そんなハボックを見下ろして、ダグラスはニヤリと唇を歪めた。
「いいぜ?だったらお好み通りヤってやる」
 ダグラスはそう言うと蕾に這わしていた指をグッとねじ込んだ。


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