セレスタの涙、オニキスの誓い  第四十八章


「サー……」
「どうした?やるべき事は判っているだろう、少尉」
 ブラッドレイはそう言いながら組んでいた脚を解く。そうすればブラッドレイの側までやってきたハボックが、震える手をブラッドレイのボトムへ伸ばした。カチャカチャと音を立ててベルトを外し前を緩めると逞しい男根を取り出す。股間に顔を寄せ舌を差し出すとペロペロと舐め始めた。
「ん……ん……」
 甘ったるく鼻を鳴らしながらハボックは一心に舐め続ける。僅かに眉を寄せ紅い舌を赤黒い楔に絡めるハボックを楽しげに眺めていたブラッドレイは、手のひらでハボックの金髪を押しやった。
「……」
 ハッハッと息を弾ませてハボックはブラッドレイを見上げる。見下ろしてくる隻眼に男の言わんとしていることを察するとのろのろと立ち上がった。
「向こうを向け」
 向かい合って腰を跨ごうとするハボックにブラッドレイが言う。そうすればハボックはなにも言わずブラッドレイに背を向け、その腰を跨いだ。そうして唾液でぬらぬらと光る楔の上に腰を落とす。戦慄く蕾に熱い塊が触れた瞬間、躊躇うようにビクリと躯を震わせたが、ハボックはそのままゆっくりと腰を落としていった。
「ん……ッ!くぅぅッ!!」
 ぬぷぬぷと小さな蕾を押し開き、ブラッドレイの楔が中へと押し入ってくる。何度受け入れても慣れないその感触に、ハボックはビクビクと躯を震わせながらも自ら凶器を飲み込んでいった。
「ッ、……サーっ」
「どうした?挿れただけではイかんぞ?尻を振れ、少尉」
 自分からは動こうとはせず、ブラッドレイは言う。その冷たい声にハボックはゆっくりと腰を振り始めた。
「アッ、くぅ……ッ!んああッ!」
 一度動き始めれば快楽を教え込まれた躯は貪欲に更なる快楽を追い求める。ハボックは、射精出来ない苦痛に悶えながらも快楽に溺れて尻を振り続けた。
「はアッ!アアアッ!んあッ!!ひぅんッ!!」
「イヤラシいな、少尉。そんなにイイか?」
「アヒィッ!アアアアアッ!」
 言うと同時にガツンと突き上げてくる男にハボックは身を仰け反らせて喘ぐ。キツく戒められ、射精出来ないまま高々とそそり立った楔に指を絡め、ハアハアと荒い息を零した。
「イ、イかせて……ッ!イかせてッ!!壊れちゃうッ!!」
 ハボックは真っ赤に膨れ上がった楔の根本を戒めるリングを外そうとする。そうすればブラッドレイの手が伸びて、ハボックの手首を掴んだ。
「ッ!イヤァッ!!も、イきたいッッ!!」
 ボロボロと涙を零してハボックが懇願する。ブラッドレイの肩に頭を預けて喘ぐハボックの耳元に、男は低く囁いた。
「外して欲しいか?なら強請ってみろ。私の精液をたっぷりと中に注いでグチョグチョに掻き回して欲しいと。注がれた精液を掻き回されながらイきたいと強請るんだ、少尉」
「ッ!!」
 あまりにはしたない言葉に、ハボックが涙に濡れた瞳を見開く。快楽に溺れていてさえ羞恥を煽るその言葉に、ハボックはゆるゆると首を振った。
「なら、壊れてしまえ」
「ヒィッ?!」
 ブラッドレイはハボックの両手首を掴むと言うと同時にガツンと突き挿れる。ガツガツと乱暴に突き上げられ、ハボックは目を剥いて声にならない悲鳴を上げた。
「……ッッ!!や、め……ッ!!」
 ガクガクと躯を震わせてハボックは喘ぐ。見開いた瞳から涙を零し、熱い吐息を吐き出しながら何度も唾を飲み込んだ。
「……中に、ください……ッ!」
「何をだ?それだけじゃ判らんな」
 必死に吐き出した言葉に冷たい言葉を返されて、ハボックは唇を噛み締める。その時、ガツンと突き上げられ噛み締めた唇が解けて悲鳴が上がった。
「アアッ!!」
「イきたいんだろう?少尉。言えば、思うまま射精しながらイけるぞ?」
 毒の滴る声にハボックの躯がビクンと震える。ハアハアと息を弾ませながら、ハボックは舌先で唇を湿らせ口を開いた。


 バンッと執務室の扉を開けると、ロイはツカツカと椅子に歩み寄り乱暴に腰を下ろした。
「ブラッドレイ……ッ」
 両手で頭を抱え込み低く呻く。先ほどの会議でのブラッドレイとハボックの様子を思い出し、ギリギリと唇を噛み締めた。
 会議の出席者が大勢いる中、ブラッドレイはハボックに何かしていた。途中意見を求められたハボックがまともに答えられなかったのは恐らくそのせいなのだろう。衆人が見守る中、バレても構わないとばかりに行為をしかけるブラッドレイにロイは腸が煮えくり返った。
「よくも……ッ」
 己を裏切ったハボックにも怒りはあったが、ハボックを貶める行為は赦せない。嫉妬に彩られた怒りが今でもハボックを愛しているのだと言う事実を知らせていることには目を背けながらも、ロイは怒りのまま机の上に置かれた書類を手で薙ぎ払った。
「くそッ……くそうッ!!」
 ブラッドレイの側に立ち、僅かに目元を染めながら震えるハボックの顔が思い浮かぶ。隠そうとしても隠しきれない色香に、ロイ以外でもハボックの様子に気づいた人間がいたかもしれない。
「ハボック……、お前は……ッ」
 そうまでしてブラッドレイの歓心を買いたいのだろうか。会議を終えた二人がどうしているか、そう考えた瞬間、ロイは身の内に噴き上がった嫉妬の焔にダンッと拳で机を殴った。
「…………ッ!!」
 ロイは机を殴った手を突いて勢いよく立ち上がる。そのままの勢いで執務室の扉を開ければ、大部屋にいた部下達が驚いて顔を上げた。ロイが身に纏う怒気の凄まじさに誰一人声をかけられずにいる部下達には目もくれず、ロイは司令室を抜け廊下に出る。脇目もふらず一直線にブラッドレイがイーストシティ滞在中執務室として使っている部屋に向かって歩いていった。


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