セレスタの涙、オニキスの誓い  第二十二章


「一つ部屋を用意してくれ。どうやら少尉は緊張のあまり食事が喉を通らないどころか貧血を起こしたらしい」
「は、はいっ、サー!すぐにご用意します!」
 手にしたフォークとナイフを置いてブラッドレイが言うのに、ホスト役の男が慌てて使用人に指示を与える。そんなやり取りも今のハボックの耳には全く入ってこず、グイと腕を引かれてぼんやりと腕を引く相手を見上げた。
「少尉、部屋の用意が出来たようだ。少しそこで休みたまえ」
 鋭い隻眼がそう言うのにさえ、ハボックはまともに反応出来ない。ブラッドレイはチッと舌打ちすると、腕を引いて強引にハボックを立たせた。そのまま引きずるようにハボックを会食の席から連れ出すと用意された部屋に連れていく。扉を開けハボックの躯を中に突き飛ばすと床に倒れ込むハボックを見下ろして言った。
「少しはシャンとしたまえ。私に恥をかかせるな」
 ブラッドレイはそう言うとポケットの中のリモコンを取り出し一気に強へとスライドさせる。後孔に埋め込まれたバイブに熟れきった内部を抉られて、ハボックは悲鳴を上げた。
「ヒィィッッ!!」
 そうすればブラッドレイがハボックの金髪を鷲掴みその顔をソファーに押しつける。柔らかい座面に口を塞がれて呻くハボックの耳元に唇を近づけて、ブラッドレイは言った。
「はしたない声を聞かせる気かね?三位入賞は躯で買ったと噂になるぞ」
 そう言われてハボックの目が見開く。ブラッドレイはハボックをそのままに部屋を出ていき、ハボックはソファーに爪を立てて必死に声を押し殺した。
「あ……ふ……」
 周りが静かになれば否応なしにバイブの音が耳につく。低い音をたててグニグニと後孔を掻き回すバイブに、ハボックは小刻みに躯を震わせて喘いだ。
「たいさ……」
 ハボックは脳裏に浮かぶ面影に呼びかける。段々とあやふやになっていくその姿に、ハボックは自分が少しずつ壊れていくように感じた。
「オレ、もうダメかもしんない……」
 軍人として想い描く未来が、抱いた夢が、そしてなによりロイへの想いが、少しずつ少しずつひび割れていく。ポロポロと欠け落ちていくそれらがいつかパンッと音を立てて砕け散った時、自分の心も壊れてしまうのだろうと、そう考えてハボックはそっと目を閉じた。


「ハボック少尉をなるべく早く戻して欲しいという要望は私の方からも伝えております」
 ロイの執務室に呼ばれたブラウンが言う。
「射撃大会で優秀な成績を修めたとはいえハボックはまだ訓練中の身です。将来大総統付きになるとしても今はきちんと訓練をこなすべきだと進言はしているんですが。如何せん間に秘書官の女性が入っているので、どの程度大総統に伝わっているのやら判らんのです」
 困りきった様子でブラウンが言えばロイの眉間に刻まれた皺が深くなった。
「とにかく引き続き早くハボックを戻してくれるよう、連絡を入れます。それと、今ハボックがどういう状況にいるのかも、少し探りを入れてみますので」
「頼む」
 ロイの言葉に頷くと、ブラウンは執務室を出ていく。パタンと扉が閉じると、ロイは椅子に体を預けて深いため息をついた。
「ハボック」
 帰ってこられないまでも向こうから連絡くらい入れられないのだろうか。射撃大会の前にハボックが泊まっていたホテルは既に引き払われていて、今ハボックがどこに泊まっているのかも判らない。中央司令部の射撃大会の担当者に連絡をとってみたが、ハボックと連絡を付けることは出来なかった。
「くそッ、ブラッドレイめ。今度会ったらぶん殴ってやる」
 今は微かな苛立ちしか抱いていない男に殺してやりたい程の憎悪を抱くことになろうとは露ほども考えず、ロイはそう呟いたのだった。


 ガチャリと扉を開く音が聞こえ、ハボックは身を震わせる。ソファーに腰掛けたまま熱に霞む目を上げて扉の方を見れば、ブラッドレイが部屋に入ってくるところだった。
「……サー」
 呟くようにそう言った途端バイブが粘膜を抉り、ハボックは零れそうになった悲鳴を唇を噛み締めて耐える。フーフーと荒い息を吐き出して、ハボックはブラッドレイを見上げた。
「どうだね?少しは落ち着いたかね?」
「……はい、サー。ご迷惑を、おかけ、しました……」
 他に返す言葉もなくハボックは囁くように答える。その合間にも低く唸りを上げて蠢くバイブに攻め立てられて、ハボックは荒い息を零した。
 そんなハボックをブラッドレイはじっと見つめていたが、不意にハボックに向かって腕を伸ばす。ソファーに腰掛けている躯を押し倒し、ボトムに手をかけた。
「ッ?!サー!!」
 ブラッドレイがなにをしようとしているのかに気づいたハボックが、慌ててブラッドレイの手を振り払う。大きく見開いて見上げてくる空色を見下ろしてブラッドレイが言った。
「騒げば人が来る。皆の前で醜態を晒すか?少尉」
「サー……やめてください……っ」
「君はそんなことを言える立場にない。違うか?」
 低くそう言われればハボックがヒクリと喉を鳴らす。ブラッドレイがもう一度ボトムに手をかけたが、ハボックは抵抗しなかった。カチャカチャとベルトを外す音がして、ボトムが剥ぎ取られる。貞操帯をつけた下肢を剥き出しにされてハボックはギュッと唇を噛んだ。小刻みに震える躯から貞操帯が外されれば、押さえ込まれていた楔が待ち望んでいたようにブルンと勃起する。その様にクッと低く笑って、ブラッドレイはそそり立つ楔の先端を指で弾いた。
「イってしまわぬよう、しっかり押さえていたまえ」
 そう言われてハボックは一瞬目を見開いたものの大人しく指で楔の根元を戒める。そうすればブラッドレイはハボックの脚を大きく開き、奥まった蕾に埋め込まれたバイブを晒した。蕾から覗く先端を掴むと容赦なく一気に引き抜く。
「んんんッッ!!」
 衝撃を身を仰け反らせて耐えたハボックの脚を胸につくまで押し上げ、ブラッドレイは取り出した逞しい自身を長いことバイブを咥えていたせいで僅かに開いた蕾に押し当てた。ビクッと震えて顔を歪ませるハボックに構わずグッと体を押し進める。ズブズブと一気に巨根を押し込まれて、ハボックは片手で口を塞いで上げかけた悲鳴を押さえ込んだ。
「んんッ!!フゥッ!!ンッンッ!!」
 ガツガツと上から叩きつけるように突き入れられ、苦痛と快感にハボックは身を捩る。悲鳴を上げる代わりにポロポロと涙を零しながらハボックはブラッドレイに身を任せた。
「んふゥ……ッ、んぐッ!んん────ッッ!!」
 右手で楔を戒め、左手で口を塞いで身悶えるハボックをガツガツと突き上げながらじっと見下ろしていたブラッドレイは、コンコンと遠慮がちにノックする音に扉をチラリと見る。ノックの音が聞こえたのだろう、ギクリと強張るハボックの蕾がキュウと締まったのを感じれば、ニヤリと笑って答えた。
「なんだ?」
 そう言いながら口を塞いでいるハボックの左手に手を伸ばす。手首を掴んで強引に引き剥がし、頭上に押さえ込めばハボックが信じられないとばかりに目を見開いた。
「何かご不便はありませんでしょうか?少尉の具合は如何ですか?」
「ふむ」
 扉越しにかけられる声にブラッドレイは貫いた青年を見下ろす。ガツンッと突き上げれば、ハボックが背を仰け反らせて震えた。
「ッッ!!ク……ゥッッ!!ヒ……ィ!!」
 必死に声を殺そうとするのを嘲笑うようにブラッドレイはガツガツと突き入れる。ガクガクと震えたハボックが突っ張るように喉を仰け反らせて目を剥いた。
「……ィヒィ……ッッ!!」
 指で戒めた薄色の楔の先端にじゅわりと液体が滲み、ハボックがイったのだと知らせる。キュウキュウと締め付けてくる蕾の感触を楽しむように小刻みに突き入れながらブラッドレイは答えた。
「特に不便はない。もう少しこのまま休ませれば問題ないだろう」
「かっ、畏まりましたッ」
 そう答えて扉の外の気配が消える。ブラッドレイはハアハアと荒い息を零すハボックを見下ろして言った。
「随分と興奮したようだな。いっそ扉を開けておけばよかったかね」
「サー……ッ、もう、やめてくださ……アアッ!!」
 懇願する言葉をしまいまで聞かず、ブラッドレイは激しく突き上げ掻き回す。
(たいさ……オレ、もう……)
 その身の奥深くを凶器で抉られ犯されて、必死に声を押し殺しながらハボックは、そっと涙に濡れた瞳を閉じた。


→ 第二十三章
第二十一章 ←