| セレスタの涙、オニキスの誓い 第二十章 |
| 「マスタング大佐、そう言うわけで────」 ロイを前に実に楽しそうに大袈裟な身振りを交えて話をする男を、ロイは笑みを張り付けた顔で見つめる。聡い者が見ればロイの目が全く笑っておらず、それどころか苛立ちを秘めていることに気づいたろうが、生憎男はそんなことには全く気づかず、滔々と話し続けていた。 『ブラッドレイ大総統の秘書官の女性から、暫くの間大総統がハボックを預かると連絡があったので』 ロイの耳には目の前の男の声ではなく、出掛けに聞いたブラウンの声が蘇る。多少なりとも困惑した様子から、それが全く予定外の事だったのだと察せられた。 (なにか判っただろうか……) 他の受賞者にも足止めを食らった者がいたのか、ブラウンから聞いた東方司令部所属の受賞者の動向を確かめようとしたが、会食に遅れるとからとホークアイに追い立てられてしまった。代わりに調べておくとホークアイが言っていたが、なにか判っただろうか。 (くそっ、気になって会食どころじゃないぞ) 正直、食事の味も判らなければ相手の声も耳に入ってこない。それどころか今ここで一緒に席についているのがどこの誰かすら、ロイにはもうどうでもよくなっていた。 「そこで私が一言ガツンと言ってやったら向こうは声も出せませんでしたよ。あれは痛快でしたな」 なにやら自慢話をしていたらしい男がハハハと大声で笑う。賞賛を求めるようにロイを見た男が口を閉じたところで、ロイはガタンと席を蹴って立った。 「マスタング大佐?どうかされ────」 「申し訳ないが急用を思い出したので、これで失礼する」 「えっ?!ちょ……っ、マスタング大佐っ?!」 言うなり返事も待たず部屋から出ていくロイの背にかけられた男の言葉を扉で遮って、ロイは足早にレストランの中を抜けていく。何事かと追ってくるウェイターに構わずロイがレストランの外へ出れば、待っているようにと指示を与えておいた司令部の車から警備兵が慌てて降りてきた。 「マスタング大佐?もう会食はお済みで?」 腕時計をチラリと見ながら言う警備兵にロイは頷く。 「司令部に戻る。すぐ車を出してくれ」 「イエッサー」 警備兵がドアを開けるのを待たずにロイが車に乗り込んだ時、レストランから会食の相手があたふたと飛び出してくるのが見えた。対応を伺うようにチラリと車の中のロイを見た警備兵だったが、ロイが正面を睨むようにして座っているのを見れば、なにも言わずに運転席に回り、煩い客人が寄ってくるのを待たずに車を発進させた。 「アアアアアッッ!!」 秘書官の冷たい視線の先でハボックはビュクビュクと白濁を撒き散らす。ゾクゾクとした快感が射精の快感を追いかけるように背筋を這い上がり、ハボックは咥えた楔をキュウキュウと締め付けた。 「あ……ッ、クゥ……ンッ!」 ビクビクとブラッドレイに背を預けるようにして甘ったるい吐息を吐き出すハボックを、エリゼは氷のような目で見つめる。ブラッドレイが突き飛ばすようにしてハボックから身を引けば、エリゼは無表情のまままだ猛々しいブラッドレイの楔の前に跪いた。真っ赤なルージュを塗った唇と白く長い指先でブラッドレイの欲望を追い立て、やがて男が僅かに身を震わせて吐き出したものを躊躇いなく飲み込む。舌で清めブラッドレイの身支度を整えたエリゼは、すぐ側で蹲ったまま身動き出来ないでいるハボックの脇腹を尖ったハイヒールの爪先で蹴り付けると、一礼して執務室を出ていった。 「ッッ!!」 容赦ない一撃に腹を押さえて呻くハボックを、ブラッドレイは面白そうに見下ろす。 「女というものは恐ろしいな、少尉。夜道で刺されないよう気をつけたまえ」 「……サー」 クツクツと笑ったブラッドレイは、立ち上がると床に転がっているバイブを拾い上げる。蹲るハボックの腕を掴んで引き起こし、片脚を押し上げるように執務机の上に押さえつけると、手にしたバイブをハボックの蕾に押し当てた。 「ッ?!嫌ッ、嫌ですッ!サー!それ、もうヤダぁッ!!」 激しく首を振ってハボックがもがく。だが 「無駄だ、少尉」 ブラッドレイは笑いを含んだ声で言うと、もう一度バイブを蕾に宛がう。ハボックをからかうように男根を模した切っ先で蕾をグリグリと撫でるとグッと押し込んだ。 「ヒッ」 ビクッと跳ね上がる体を押さえつけ、ブラッドレイはバイブを一気に押し入れていく。グロテスクな玩具は慎ましやかな蕾を可哀想なほどに押し開きズブズブと潜り込んでいった。 「ヒィィィィッッ!!」 涙に濡れた瞳が大きく見開かれ、唇から悲鳴が上がる。根元までバイブを押し込んだブラッドレイが手を離せば、ハボックはガクガクと震える躯を小さく縮めた。 「あ……ああ……ッ」 そんなハボックを見下ろすとブラッドレイは放り出されていた貞操帯を手に取り、ハボックの下肢を素早く覆った。 「私が戻るまでに部屋を綺麗にしておきたまえ。生臭くて堪らん」 ブラッドレイは言って椅子の背にかけてあった上着を取り上げる。 「それと、今夜のパーティに同行するように。判ったな?少尉」 「……────。」 返す言葉すら口に出来ず、ハボックは何とか躯を起こしてブラッドレイを見上げる。その涙に濡れた空色にブラッドレイはクッと笑って、執務室を出ていった。 「…………いさ」 身動き出来ないままハボックは心に秘めた名前を呼ぶ。 「オレ、もう……ッ」 震える声で囁いたハボックの頬を涙が後から後から零れて落ちた。 |
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