セレスタの涙、オニキスの誓い  第十九章


 ハボックは震える手でベルトを緩める。ボトムを脱ごうとしてから軍靴を脱がなければ無理な事に気づいて、ハボックは毟り取るように軍靴を脱ぎ捨てた。それからボトムに改めて手をかけ脱ぎ捨てる。よろよろとブラッドレイの前に立ったハボックの下肢を覆う代物を見て、ブラッドレイは楽しそうに言った。
「よく似合ってるじゃないか」
「サー……ッ、は、外してくださいッ、早く……ッ!」
 カタカタと小刻みに震えながらハボックが懇願する。そう言うハボックの下肢を覆っているのは、勝手に外すことが出来ないよう鍵がついた貞操帯だった。貞操帯の奥からは鈍いモーター音が響いており、その音は後孔深く埋め込まれたバイブから発している。絶え間なく後孔を犯されることですっかりと勃ち上がった楔は、上質な革で出来た貞操帯によってしっかりと押さえ込まれ、熱を吐き出すどころかまともに勃起することすら赦されていなかった。
「サー、早くッッ!!」
 後孔への刺激と熱を吐き出すことが赦されない楔への締め付けに耐えかねて、ハボックはがっくりと膝をついてブラッドレイを見上げる。快感に潤んだ瞳で見上げてくるハボックをブラッドレイはじっと見つめていたが、ポケットから薄いリモコンを取り出すと強弱のスイッチを一気に強へとスライドさせた。
「ヒィィィッッ!!」
 モーターの音が大きくなり、ハボックの中でバイブが凶暴に暴れ回る。床の上でのたうつハボックを見下ろして、ブラッドレイは冷たく言った。
「早くなどと君が私に要求するなど赦されん、ハボック少尉」
「ッ、も、申し訳、ありません……ッ」
 要求というよりハボックが口にしたのは明らかに懇願であったが、ブラッドレイがそう言うのであれば反論は赦されない。ハボックは床に額をすり付けるようにして謝罪すると、ハアハアと息を弾ませてブラッドレイを見つめた。
「サー……」
 ブラッドレイを呼んでもどかしげに尻をくねらせる。若い士官のイヤラシい姿に、ブラッドレイはクスクスと笑った。
「射撃の的を見据える凛とした姿もいいが、そうやって快楽に身悶える姿もなかなかだな。いっそのこと、その格好でイーストシティに帰ってはどうかね?」
「そ、そんな……ッ」
 リモコンを弄びながら言うブラッドレイの言葉にハボックは顔色をなくす。まだこの男の手に落ちてからさほど時間はたっていないが、ブラッドレイが自分の楽しみの為ならやりかねない事がハボックにはもうよく判っていた。
「サー……ァッ!」
 ハボックはもどかしげに股間に手を這わせ尻を揺らす。このままの状態が続けば、快楽に犯された脳味噌は真っ当な判断を下せなくなってしまいそうだった。
「んふぅ……ッ、んんッ、ハア……ッ!」
 床に涙に濡れた頬を擦り付けて熱い吐息を零すハボックの金髪を、ブラッドレイは手を伸ばして掴む。グイと引き上げ椅子に座った己の股間にハボックの顔を無言のまま押しつけた。
「…………」
 ハボックはブラッドレイをじっと見上げたが、何も言わずに支配者のボトムを寛げる。そうして逞しい牡を取り出しピチャピチャとしゃぶりだした。
「ん……んふ……」
 甘く鼻を鳴らしてハボックはブラッドレイの楔を口いっぱいに咥える。舌を絡め口腔を窄めるようにして咥えた楔を扱いた。
「イヤラシい顔だ」
 ジュブジュブと音を立てて楔をしゃぶるハボックにブラッドレイは告げる。そうすればハボックは瞳に涙を浮かべながらも顔を股間に埋め続けた。ブラッドレイはその顔を椅子の袖に肘をついてじっと見つめていたが、ハボックの金髪を鷲掴むと乱暴に楔を突き挿れる。強引に口内を犯される息苦しさに、ハボックは咥えた楔を歯で傷つけてしまわないよう、必死に口を開いた。
「んぐッ、ぐふぅッ!!」
 嘔吐(えずき)そうになるのを懸命に堪えるハボックの唇の端から唾液が銀色の糸になって零れ、軍服の襟を濡らす。もうこれ以上無理だとハボックが濡れた瞳で訴えた時、咥えた楔がググッと膨れ上がった。
「ッッ!!んぐ……ッ、グフぅ…ッッ!!」
 どっと口内になだれ込んでくる青臭い液体にハボックは目を見開く。ガッシリと髪を掴まれ股間に顔を押しつけられて、ハボックは逃げることも出来ず口内に溢れる液体をゴクゴクと飲んだ。
「ゴホッ!!ゲホゲホゲホッッ!!」
 押さえつける手が緩んで、ハボックは唇を離すと激しく咳込む。うずくまってゼエゼエと苦しげに息をしているとグイと腕を掴んで引き起こされた。
「サー……ッ」
 ブラッドレイが貞操帯の鍵を外し下肢を覆っていた革の淫具を取り外す。後孔に埋め込まれたバイブを乱暴に引き抜かれ、高い悲鳴を上げるハボックの躯をブラッドレイは乱暴に引き寄せた。そのまま背後から抱えるようにして椅子に座る己の上に引き下ろす。長いことバイブを咥えさせられていたせいですっかりと緩んだ蕾にそそり立った自身を一気に突き入れた。
「ヒアアアアッッ!!」
 ズブズブと貫かれてハボックは悲鳴を上げる。そのままガツガツと乱暴に突き上げられ、ハボックの唇から零れる切れ切れの悲鳴に重なるように、執務室の扉をノックする音が聞こえた。
「入れ」
「ッッ!!」
 耳元で聞こえる冷静な男の声にハボックは目を見開く。逃れようともがく躯を簡単に引き戻されガツンと思い切り突かれて悲鳴をあげた時、ガチャリと扉が開いた。
「閣下、こちらの書類にサインをお願いします。それからそろそろ会議のお時間です」
 入ってきたエリゼが顔色一つ変えずに書類を差しだし予定を告げる。その間にもガツガツと突き上げられ、ハボックはエリゼの冷たい視線を感じてボロボロと涙を零した。
「イヤだ……見ないで……ッ、ウッ、くふぅッ!!」
 涙に掠れた声で囁きながらも躯は激しい突き上げに追い上げられていく。必死に堪えようとするハボックを嘲笑うように突き上げが激しさを増し、ハボックはエリゼの冷たい視線の先で熱を吐き出した。


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