| セレスタの涙、オニキスの誓い 第十七章 |
| 「おはようございます、大佐」 「おはよう、中尉」 司令室の扉を開けて入れば既に来ていたホークアイから朝の挨拶の声がかかる。それに答えて執務室に入っていくロイの後に、ファイルを手にホークアイが続いた。 「夕べは少尉とゆっくり話せましたか?」 タイミング悪く日中電話が繋がらなかったハボックから夜自宅に電話があるのではと、昨日ロイは吹っ飛んで家に帰っていった。きっとあの後ハボックとゆっくり話すことが出来たのだろうと、そう言う返事を期待して尋ねたホークアイにロイは僅かに眉を寄せる。 「まあな」 と、歯切れの悪い答えに、ホークアイは首を傾げた。 「あら、話せなかったんですか?」 「いや、話せたことは話せたんだが……会食の席からの電話でね。最初に出たのは大総統だったよ」 「まあ」 思っても見なかったロイの答えにホークアイは鳶色の目を丸くする。ムスッと不貞腐れた顔で椅子に腰を下ろすロイを見て、クスリと笑った。 「でも、今日にはセントラルを出るでしょうから。帰ってきたらゆっくり話を聞けばいいですわ」 直接顔を見て話した方が感動も一入だとホークアイが言ったが、ロイは益々表情を険しくした。 「ブラッドレイが私より先に話を聞いて、祝ったというのが気に食わん」 「大佐」 「アイツが大会中どんな風に思っていたのか、どんな風に頑張ったのか、最初に聞いて最初にその努力を褒めてやるのは私だった筈なんだ。それなのにッ」 今では明らかに目を吊り上げて言うロイを、ホークアイは笑みを浮かべて見つめる。 「朝一の列車に乗れば夜には着くでしょう。大佐、文句ばかり言って、今日は残業なさるおつもりですか?」 「……意外と意地悪だな、君は」 ロイはため息混じりに言ってホークアイを見上げた。 「それで?今日の予定は?」 そう尋ねてくるロイに、ホークアイはファイルを広げて話し始めたのだった。 「君もシャワーを浴びたらどうだね?」 そう声が聞こえてハボックは閉じていた目をゆっくりと開ける。視線を巡らせれば窓際に立って煙草に火をつける、バスローブ姿のブラッドレイが見えた。 「…………」 ハボックはベッドに手を着いて気怠い躯をベッドの上で起こす。躯の向きを変え、そろそろとベッドから脚を下ろし立ち上がろうとしたハボックは、まるで脚に力が入らずそのままガックリとしゃがみ込んでしまった。 「腰が立たんか」 降ってきた声にハッとして顔を上げれば、いつの間に近づいてきたのかブラッドレイの隻眼が自分を見下ろしている。ハボックはキュッと唇を噛むと答えた。 「ちょっと立ち眩みがしただけっス」 そう言ってベッドに掴まるようにしてハボックは立ち上がる。その途端、蕾から散々に注がれたものがトロリと零れて、ハボックは身を強張らせた。 「どうした?」 「なんでもありません」 キッと睨みつけるようにして答えるハボックに、ブラッドレイが口の端を上げる。手にした煙草を口元に運びながら、動こうとしないハボックに言った。 「なんでもないならさっさとシャワーを浴びてきたまえ」 そう言われてハボックはそろそろとシャワールームに向かおうとする。そうすれば再び蕾から白濁が零れて、ハボックはゾクリと震えて座り込んでしまった。 「……う」 力の入らない躯と止めどなく溢れてくる白濁が、どれほど自分が穢されたのかを否応なしに教えてくる。小刻みに震えて蹲るハボックを、じっと見つめていたブラッドレイは煙草を灰皿に押しつけハボックに腕を伸ばした。 「立て、少尉」 「あっ」 グイと引き起こされハボックは目を見開く。怯えの滲む空色を覗き込んでブラッドレイは言った。 「仕方ない、私が洗ってやろう」 「ッ、結構ですッ!自分で出来ますッ!」 もうこれ以上触れられたくないと、ハボックはブラッドレイの手を振り払おうとする。だが、ろくに力も入らない躯では思うようには行かず、むしろブラッドレイに引き寄せられてハボックは目を見開いてこの国を、そして自分をも支配する男を見上げた。 「気に入りの玩具を綺麗にするのもまた楽しみと言うものだ」 「……オレは、玩具じゃありません」 たとえ誰だろうとこんな風に弄ばれるのは絶対に嫌だ。怯えながらも必死に矜恃を保とうとするハボックの様子にブラッドレイはククッと笑う。ハボックの腕を捻るようにして身を寄せると、その耳元に囁いた。 「夕べ散々好きにされて、それでもまだ玩具じゃないと言い張るのか、少尉?」 「ッ!!」 「自分の躯どころか心すら己の思い通りにならなかった。そんな存在、玩具以外の何者でもないだろう?」 「そんな……っ、オレはッ」 「私の勝手に脚を開かされて普通なら人目に晒さないような奥まで晒け出されて、挙げ句散々好きなようにされて最後は命じられるままイヤラシい言葉を叫びながら自ら受け入れた────玩具そのものだろう?ちがうか?少尉」 夕べの自分の様を揶揄するように並べられて、ハボックは目を見開く。もう、否定する気力も殺がれ、視線を落として頽れそうになるハボックの躯をブラッドレイが強い腕で支えた。そのまま引きずるようにして浴室へ連れていくとブラッドレイはハボックを支える手を離した。 「……ッ」 支えをなくしてがっくりと座り込んだハボックはブラッドレイを見上げる。強い光をたたえた隻眼に見つめられれば、蛇に睨まれた蛙のように動くことが出来なかった。 「四つん這いになって尻を出せ」 「……嫌っス────ヒッ」 答えた途端グイと腕を引かれてハボックの唇から悲鳴が零れる。ブラッドレイは逃れようともがくハボックの躯をいとも簡単に押さえつけ腰を引き寄せた。強引に四つに這わせて突き出させた双丘の狭間に指を突き入れた。 「ヒィッ!!────あ……、やだァ……ッ!!」 ブラッドレイが突き入れた指を蠢かす度こぷりと白濁が零れる。次々と脚を伝って流れる白濁に、ハボックは小刻みに震えた。 「余程旨かったらしいな、幾らでも出てくるぞ」 「…………絶対赦さない、いつか……ッ」 屈辱に震えて睨み上げてくる涙に濡れた空色が呻くように口にした言葉にブラッドレイは隻眼を見開く。クククと笑うとハボックの顎を掴んだ。 「面白い。楽しみにしておこう」 楽しげに言ってブラッドレイは、ハボックの躯に圧し掛かっていった。 |
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