セレスタの涙、オニキスの誓い  第百三十七章


「あ。────アアアッッ!!」
 見つめてくる熱く欲をたたえた瞳に、ハボックは堪らず熱を吐き出す。咥え込んだ楔をキュウキュウと締め付ければ、ロイが辛そうに顔を歪めた。
「ク……ッ」
 締め付けられ込み上がる快感をなんとかやり過ごして、ロイは再びハボックを激しく突き上げる。ガツガツと乱暴に突き上げられて、ハボックは涙に濡れた瞳を大きく見開いて喘いだ。
「んあッ!アッ、アッ!たいさァ……ッ」
「ハボック……ハボック……ッ」
 舌足らずに己を呼びながら喘ぐハボックの姿にロイは堪らなく興奮してしまう。白い喉を伝う汗に舌を這わせたロイは、興奮のままきつく歯を立てた。
「イ……ッ!」
 皮膚を破って食い込むその痛みに、ハボックが一層大きく目を瞠る。それでもロイを突き放すどころか、ハボックはロイの頭を抱え込むようにして引き寄せた。
「たいさ……オレのこと喰ってッ」
 この想いごと全てロイに喰われてしまいたい。そんな昏い欲望が沸き上がって、ハボックは強請る。引き裂かれた皮膚をチロチロと舐めるロイの舌先に、ハボックは痛みよりも快感を感じて喘いだ。
「はあん……ッ、好き……たいさ、好き……ッ」
「ハボック……」
 喘ぎながら好きと囁く唇をロイは乱暴に塞ぐ。ぴちゃぴちゃとイヤラシい音を立てながら舌を絡めあって、二人は互いを間近から見つめた。
「好き……ずっとずっとずっと大佐だけ……」
「愛してるよ、ハボック……もうずっと昔から……」
 恐らくは初めて出逢ったあの時から惹かれていたのだ。二人はコツンと額をつきあわせて互いの瞳を覗き込んだ。
「ハボック」
「たいさ」
 互いの瞳の中に宿る愛の焔を見つけて微笑みあう。ゆっくりと唇を寄せると互いに互いを高めるように腰を揺すり突き上げた。
「ん……ッ、んふ……ッ」
「は……ァッ、く……ッ」
 急速に背筋を駆け上がっていく快感を感じながら舌を絡めあう。そうして同時に高みにたどり着くと、ロイはハボックの躯の奥底に、ハボックはロイの腹に滾る熱を叩きつけた。


 飽きる事なく何度も何度も求めあう。ロイに導かれるまま何度も熱を吐き出しその身の奥深くに男を迎え入れて、ハボックはもう自力で身を起こしていることもままならなかった。
「たいさァ……」
 それでも離れてしまう事は耐えられず、ハボックは力の入らない躯をロイに預けるようにして身を寄せる。体力の限界を越えてぐったりと凭れかかってくるハボックを抱きとめてロイは言った。
「シャワーを浴びて休もう。疲れただろう?」
「や……いや……ッ」
 言って身を引こうとするロイにハボックはしがみつく。むずかるように嫌々と首を振るハボックの背をロイはポンポンと叩いた。
「大丈夫、大丈夫だから」
「やだ……ッ、離れるの、嫌っス……!」
「ハボック」
 身を引こうとすれば一層きつくしがみついてくるハボックにロイは苦笑する。もう一度「大丈夫」と繰り返すより早くハボックが言った。
「こんなに幸せで……もしこれが夢だったら……離れて、もう一度目が覚めて大佐がいなくなっちゃったら……」
「馬鹿なことを……そんな事ある訳ないだろう!」
 震える声で囁くハボックの肩をロイはグイと掴む。不安に揺れる空色をまっすぐに見つめてロイは言った。
「大丈夫だ、ハボック。もう二度とお前を離したりしないから」
「たいさ……」
「ずっと一緒だ。大丈夫、ハボック」
 ロイは言ってハボックに口づける。されるままロイの口づけを受け止めていたハボックの躯から力が抜けて、ハボックは気を失うように眠ってしまった。
「ハボック……愛してるよ」
 そんなハボックの耳元にロイは愛しげに囁く。くったりと力の抜けた躯をロイはいつまでも抱き締めていた。


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