セレスタの涙、オニキスの誓い  第百三十五章


 肌を這うロイの手が徐々に下へと滑っていく。長い脚を撫でたロイの手が、髪よりも少し色合いの濃い茂みの中から顔を擡げる楔に絡みついた。
「アッ!」
 キュッと楔を握られてハボックが喉を仰け反らせる。グチュグチュと扱かれればとろとろと蜜が零れて、ハボックはハアハアと息を弾ませた。
「ああ……ダメ、そんなしないで……っ」
 止めどなく零れる蜜がロイの手を濡らしてハボックが感じている悦楽をロイに知らせる。必死に快感をこらえようとするハボックに、ロイが言った。
「いいから……そのまま身を任せろ」
 そう言うと同時にロイは扱く手のスピードを上げる。激しい手の動きに抗って何度かシーツを蹴ったハボックだったが、促すように先端をグニグニと捏ねられて耐えきれずに躯を硬直させた。
「ア、────アアアアアッッ!!」
 ゾクゾクッと背筋を這い上がる悪寒にも似た快感に、ハボックは仰け反らせた喉から高い嬌声を上げる。それと同時にロイの手の中にビュクビュクと熱を迸らせた。
「────あ、ああ……」
 硬直させた躯をがっくりとシーツに沈めて、ハボックが荒い息を零す。ハッハッと弾む息を零す唇をロイのそれが塞いだ。
「ん……ッ、んんッ」
 呼吸を封じられてハボックが苦しげにもがく。ビクビクと震える躯がぐったりとするまでその唇を貪って、ロイは漸く唇を離した。
「た……さァ……」
 とろんと蕩けた空色で見上げてくるハボックをロイは優しく見下ろす。紅く染まる頬を撫でて囁いた。
「あんな可愛い顔でイくのか。ふふ……何度でも見たいな」
「……バカっ」
 そんな風に言われて、ハボックが益々顔を染めてそっぽを向く。だが、ロイが己の指を濡らす熱をペロリと舐めるのを見て、ハボックは慌ててロイの手首を掴んだ。
「やっ、ダメッ!汚いっス!」
 言ってハボックは掴んだロイの手を引き寄せ、熱に濡れた指に舌を這わせる。青臭い液体を眉を寄せて舐め取るハボックをロイが呼んだ。
「ハボック、そんな事しなくていい」
「でも……汚しちゃったから」
 ロイの制止に首を振ってハボックは舌先でもったりとした液体を掬う。ロイは己の手首を掴む手を振り解いて、ハボックの肩を掴んだ。
「汚れてなんかいない。これはお前が感じてくれた印なんだから」
 汚くなどない、と笑うロイにハボックは顔を歪める。こんな風に己の吐き出したもので相手を汚すなど赦される事ではなかったとは流石に口に出来ず、ハボックは唇を噛んで俯いた。
「ハボック」
 そんなハボックをロイは優しく呼ぶ。俯いたハボックの顎を掬ってその空色を見つめて、ロイは言った。
「愛している、ハボック。もっともっとお前が感じる顔が見たい」
「たいさ……」
 揺れる空色にキスを落としてその瞳を閉じさせると、ロイはハボックの脚に手を添える。グイと押し上げるようにして開かせ、熱に濡れた楔を口に含んだ。
「ッ!!たいさッ!ダメッ!!」
 ギョッとしてハボックが己の股間に顔を埋めるロイの頭を押しやろうとする。だが、ロイは顔を上げるどころか更に深く楔を咥え込んだ。
「やだァッッ!!」
 ジュプジュプと唇で扱かれて、ハボックは悲鳴を上げる。快感と共に男達のモノを咥え込まされた嫌悪感もが沸き上がって、ハボックは泣きながらロイの愛撫から逃れようともがいた。
「嫌ッ!そんな事しないでッ!」
 快感に震えながらも拒絶の言葉を吐くハボックに、ロイはため息と共に含んでいた楔を吐き出して顔を上げる。ロイが顔を上げた途端、身を縮めて嗚咽を零すハボックの髪をロイは優しく撫でた。
「やだ……そんな事しないで……汚い、のに……」
 ヒクッヒクッと泣きじゃくりながら呟くハボックを見下ろしてロイはそっとため息をつく。セックスという名の暴力でハボックが受けた傷の深さに改めて気づいて、ロイはハボックの金髪にそっと口づけた。
「さっき言ったろう、ハボック。私はお前が感じる顔が見たいんだよ」
「でもッ」
「汚くなどない。愛するお前のモノなんだから」
 そう言うロイにハボックが涙に濡れた目を見開く。ロイは掌でハボックの頬の涙を拭って言った。
「シたいんだよ、私が。私の唇で、舌でお前を感じさせたい。汚いなんて思うはずないだろう、愛しくて堪らないよ。だからハボック」
 ヤらせろ、と低く囁く声にハボックはゾクリと背を震わせる。ロイは縮こまるハボックの躯に手を伸ばすと、グイと長い脚を大きく開いた。
「ッ!」
 ビクッと震えるハボックにニッと笑みを浮かべて、ロイはハボックの股間に顔を埋める。色の薄い楔をじゅぶりと咥え込んで、上目遣いにハボックを見た。目を見開いて見つめてくるハボックを見つめ返しながら、ロイは咥えた楔を唇で扱く。ジュブジュブと唇で扱き、舌を絡め喉奥で締め付けた。
「ん……ッ、ハァ……ッ!アッ!」
 ロイの視線に縫い止められたように目を逸らせないまま、ハボックが愛撫に喘ぐ。快楽の涙を零して喘ぐハボックの表情にロイは目を細めると、ピクピクと小刻みに震える楔をきつく吸い上げた。
「────ッ!アッ、アアアッッ!!」
 きつい刺激に耐えられず、ハボックはロイの口内に熱を放つ。ドクドクと吐き出される液体をロイは躊躇わずに全て飲み干すと、僅かに萎れる楔をペロペロと舐めた。
「ハボック」
 ロイは身を起こして快楽に蕩けたハボックの顔を覗き込む。快感の涙に濡れた瞳で見上げてくるハボックにロイは言った。
「可愛い……愛してるよ、ハボック」
「たいさ……」
 熱く囁かれる言葉に泣きだしそうに笑ったハボックは、手を伸ばしてロイに口づけていった。


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