| セレスタの涙、オニキスの誓い 第百二十四章 |
| 「ハボック!」 グラリと傾いだ体をロイは慌てて支える。腕の中に抱き締めようとするロイをハボックが押し返した。 「触んないで」 「ハボック?」 「オレの事見ないでください……」 俯いて呟くハボックをロイは目を見開いて見つめる。二人きりになってハボックを見れば、その酷い有様にロイは顔を歪めた。 「くそ……ッ、よくもッッ」 引き裂かれたシャツから覗く鬱血の痕。手首には縛られた痕がくっきりと残り、そして。 長い脚の肌を汚す液体が何なのか、考えたくなくとも知れてロイは血が滲むほど唇を噛み締める。咄嗟にハボックの腕を掴めば、ハッと顔を上げたハボックがロイを見た。 「────ごめんなさい」 そう呟くハボックにロイは目を見開く。俯いて「ごめんなさい」と繰り返すハボックの両腕を掴んでロイは言った。 「どうしてお前が謝るんだっ?謝るのはお前をこんな目に遭わせてしまった私の方────」 「オレは、アンタを傷つけてばっかりだ」 言いかけた言葉を遮ってハボックが言う。ロイの顔を見ずに俯いたままハボックは続けた。 「アンタが望んでるものに気づきもせず、自分の勝手な思い込みで馬鹿なことして……オレは、アンタを傷つけ続けて」 「なにを言ってるッ?傷ついているのはお前だろうッ?こんな……こんな目に遭わされて……ッ」 呻くように言うロイをハボックが顔を上げて見つめる。涙の痕が残る頬に笑みを浮かべて言った。 「オレは自業自得っスもん……オレが馬鹿だから、だから……っ」 「それは違うッ、ハボック!お前はなにも悪くない!ハボック、お前は────」 「離してください、大佐」 尚も言い募ろうとするロイの手をハボックは振り解く。その途端溢れてきた残漿に、ハボックはゾクリと体を震わせて身を縮こまらせた。 「向こう行ってください……お願いっスから……。シャワー……浴びてくるんで」 呟くように言うのを聞いて、ロイはハボックから身を離す。小さく息を吐いたハボックは次の瞬間抱え上げられて、ギョッとして身を強張らせた。 「大佐ッ?!」 「じっとしていろ」 「やだッ、おろしてッ!」 ハボックがもがくのに構わずロイはハボックを抱き抱えたまま浴室に向かう。服のまま中に入るとハボックの体を椅子の上に下ろしシャワーに手を伸ばした。 「出てってくださいッ!自分でやりますから!」 そう言って伸ばしてくるハボックの手をパンッと弾いて、ロイは湯を出す。温めに湯温を調整してハボックの肩にかけてやれば、ビクッと震えたハボックが目を見開いてロイを見上げた。 「たいさ……」 見つめてくる空色を見返して、ロイはハボックの体に纏わりつくシャツの残骸を取り払う。降り注ぐ湯で汚れを落としたロイがハボックの股間に手を伸ばせば、それまで凍り付いたように身動きしなかったハボックが慌てて脚を閉じた。 「ハボック」 「自分でやりますッ!触んないでッ!」 ブラッドレイに注ぎ込まれたものをロイに始末してもらうなどとても耐えられない。腕を突っ張って拒むハボックの手首を掴んでロイは言った。 「動くなッ!じっとしていろと言ったろう……ッ」 「ッ!」 低い、地を這うような声にハボックはギクリと身を震わせる。怒りと嫉妬の焔を宿す黒曜石に見つめられて身動き出来ずにいれば、伸びてきたロイの手がハボックの膝に触れた。 「ッッ」 グイと膝を開いた手が奥まった蕾に触れてきて、ハボックは息を飲んでギュッと目を瞑る。乱暴な行為に腫れた蕾にロイの指が押し入ってきて、ハボックは息を飲んだ。 「…………嫌っ……やだ……ッ」 ロイの長い指がクチュクチュと蕾を掻き回し注がれたものを掻き出す感触に、ハボックは身を強張らせてロイの腕を掴む。屈み込んで始末をするロイの瞳に浮かぶ焔を見て、ハボックは顔を歪めた。 「ごめんなさい……ごめんなさい」 「お前はなにも悪くない。謝るな、ハボック」 呟くように繰り返される言葉にロイが言う。手早く始末を済ませてもう一度シャワーをかけてやれば、涙に濡れた空色がロイを見つめた。 「傷つけてばかりで…ごめんなさい、たいさ……」 「ハボック、────」 何度謝るなと言っても同じ言葉を繰り返すハボックにロイは言葉を探す。開いた唇から言葉を吐き出そうとするより早くハボックの体がゆらり揺らいだ。 「ハボックッ!」 ロイは気を失って倒れ込むハボックの体を受け止める。涙に濡れた頬を掌で拭って、ロイは意識のないハボックの体をひしと抱き締めた。 |
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