| セレスタの涙、オニキスの誓い 第十一章 |
| 「うわっ!」 いきなりベッドに突き飛ばされて、ハボックは顔から突っ伏す。慌てて振り向けばブラッドレイが着ていた上着を脱ぎ捨てたところだった。 「サー?なにを……?」 訳が判らずハボックはベッドに肘をついて半身を起こした体勢でブラッドレイを見上げる。そうすればブラッドレイがおかしそうに笑って答えた。 「なにを?眠るのでなければベッドですることなど一つだろう?」 そう言ってブラッドレイがベッドに膝をかける。豪奢なベッドが僅かに軋む音を聞いて、ハボックは漸くブラッドレイがなにをしようとしているのかに気づいた。 「冗談はやめてください、サー……ッ」 「冗談?冗談など言ったつもりはない」 言うと同時にブラッドレイの手が伸びてくる。その手を振り払ってハボックは怒鳴った。 「やめてくださいッ!オレはこんな事するつもりで来たんじゃないっス!」 「言うとおりにすれば出世出来るかもしれんぞ?」 「望んでません。出世するなら自分の力でやります!」 ハボックは強く言い切ってベッドに膝立ちになっている男を睨みつける。その純粋で力強い光に、ブラッドレイはニィと笑った。 「マスタング大佐の隣で部下として手助けし、共に立身出世を志すか?そんなもの、叩き潰すのは簡単だ」 「ッ?!」 「私の言っている事が判らんかね?少尉。君がここで私を拒めばマスタング大佐を潰すと言っているんだ」 「な……ッ?」 そう言って見下ろしてくる隻眼をハボックは呆然と見つめる。まん丸に見開く空色にブラッドレイはゆっくりと手を伸ばした。 「抵抗するならしても構わん。だが、そうすればどんな結果を生むか、よく考えてみることだ」 そう言い終わった時、ブラッドレイの手がハボックの軍服に触れる。ビクリと震えたものの身動き一つしないハボックに、ブラッドレイは笑みを深めて上着のボタンを外していった。 「あ……」 まるで抵抗する機会を与えようとするかのように、ブラッドレイは殊更ゆっくりとボタンを外す。時間をかけて全部外し、ハボックの肩から上着を落とした。それからゴツイ軍靴を脱がせ床に放り捨てる。次にベルトに手を伸ばせば、流石にハボックが身を捩った。 「抵抗するかね?」 「ッ!!」 「構わんよ?私の手を振り払い思い切り蹴り上げればいい。嫌なのだろう?」 そう言いながらブラッドレイが身を寄せてくる。浅い呼吸を繰り返してブラッドレイを見上げたハボックは、出来ないのかしないのか、身動きしなかった。そんなハボックの様子にブラッドレイはクスクスと笑いながらベルトを外す。ボトムのジッパーをゆっくりと下ろし、ウエストに手をかけた。 「いいのか?」 ブラッドレイがそう尋ねたがハボックは答えない。肩を竦めたブラッドレイは、下着ごとハボックのボトムを引きずりおろした。 「ッッ!!」 ヒュッと息を飲む音がして、ハボックが両腕を交差させて顔を隠す。ブラッドレイは剥ぎ取ったボトムを床に投げ捨てて言った。 「顔を見せろ、少尉。両脚を抱えるようにして脚をM字に開くんだ」 「そんな……っ」 羞恥のあまりハボックは顔を腕で隠し、躯を小さく縮こまらせてフルフルと首を振る。そんなハボックを見下ろして、ブラッドレイはわざとらしくため息をついた。 「別にここでやめるというなら私は構わんがね。それが君の答えだと思うだけだ」 「ッ!」 そう言った男の気配が離れていくのを感じて、ハボックは慌てて下ろした腕をブラッドレイに伸ばした。 「待って!待ってくださいッ!」 咄嗟にブラッドレイの腕を掴んだものの、ハボックはそれ以上どうすることも出来ずに凍り付く。縋るように見つめてくる空色を見返してブラッドレイは言った。 「なんだね?私の言う通りにはできないのだろう?」 「……言うとおりにしたら……大佐にはなにもしない……?」 「君の心がけ次第だ」 そう言う男をハボックは目を見開いて見つめていたが、やがてゆっくりと手を離す。それからベッドに躯を横たえ、おずおずと脚を開いた。膝裏に手を入れ、胸に引き寄せるようにして脚を持ち上げる。恥部を自ら開いて晒す姿勢に、ハボックの瞳に羞恥のあまり涙が滲んだ。 「いい心がけだ」 「あっ」 ブラッドレイはそう言うとハボックの白い脚をぞろりと撫で上げる。ビクッと震えるのに構わず何度か撫でさすると、その手を双丘の狭間へと伸ばした。 「ここに、マスタング大佐のモノを挿れて貰っているのかね?」 「ヒ……ッ」 そう言いながらブラッドレイは慎ましやかな蕾を指の腹で撫でる。怯えるようにキュッと蕾が縮まるのを見て、執拗に指先でこすった。 「少尉?」 「しっ、してませんッ!大佐とオレはそんな関係じゃないっス!!」 ギュッと目を瞑ってハボックがそう叫ぶのを聞いて、ブラッドレイは意外そうに眉を跳ね上げる。蕾を指でさすりながらハボックに身を寄せ、その耳元に囁いた。 「それではマスタング大佐を想いながらマスターベーションしているのかな?」 「そっ、そんなことッッ!!」 カッと顔を赤らめて、ハボックは叫ぶ。その拍子に男の顔が間近に迫っているのを見て、ギクリと身を強張らせた。 「では、私が君をどうしようが気にする相手はいないと言うことだ」 そう言えば息を飲むハボックにブラッドレイは笑う。 「それとも、やはり初めてはマスタング大佐がよかったかな?」 「サー……」 やわやわと蕾を弄りながら囁かれる言葉にハボックの瞳から涙が溢れる。初めてロイと交わしたキスが思い出されて、ハボックは啜り泣いた。 「どうする?やめるなら今のうちだが?」 今やめると言えば、ブラッドレイはこれ以上行為を強要しないだろう。だが、それは同時にブラッドレイの矛先がロイに向かうと言うことだ。 「や……めません……っ、だからっ、大佐には……ッ」 小刻みに震えながらもそう言うハボックを見下ろして。 「大した心がけだ、少尉」 ブラッドレイはニンマリと笑った。 |
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