アフ・チュイ・カック  第三十七章


 汗で張り付いた髪をかき上げてハボックはロイの額に口付ける。瞼に、鼻に、頬に、顎に、そうして唇に。深くあわせて舌を絡めあう。時に舌先でつつきあって、時にきつく巻きつけて、互いの口にあるのがどちらの唾液なのか、それも判らなくなるほど混ぜあって、ようやく唇を離せば息は上がり唇はぬらぬらと濡れていた。
「ロイ…」
 低いハボックの声。その声だけでイってしまいそうでロイはハボックの背に手を回した。
「ハボ…はやくっ」
 強請るように脚を開いて自分の欲望を押し付け、ハボックの腰に脚を絡める。舌を差し出してハボックの喉を舐めればハボックが低く呻いた。
「そ、んなに煽って…っ、どうなっても知りませんよっ」
 悔しそうにそう言うとロイに口付けようとするハボックを押しやってロイはハボックの瞳に手を伸ばす。綺麗な青。この世のどこを探しても二つとありはしない自分だけの宝石。愛しくて愛しくて何度も目元に触れていた指をハボックが手にとって口付ける。自分の口中に招き入れるとぴちゃぴちゃと舐めた。ロイの指を口内で弄びながらじっと見つめてくる瞳に、ロイはゾクゾクとして身を震わせる。体の奥深くに早くハボックの熱が欲しくて、ロイは震える声で言った。
「ね…ハボ…はやく、欲し…」
 そう囁いたとたん、ハボックはロイの両手をベッドに押さえつけて噛み付くように口付ける。
「っっ!!」
 ふわりと腰が浮いたように感じて両脚が胸につくほど高く抱え上げられていた。
「あ」
 熱い塊りが押し当てられたと思った次の瞬間にはずぶずぶとハボックが押し入ってきて、ロイは訳もわからぬうちに熱を吐き出してしまう。背筋を駆け抜け脳天を突き抜けたのが快感だったのだと気づいたのは熱を吐き出した後だった。
「ヒッ…アッ…!」
 達したばかりでまだ先ほどの快感の余韻すら抜けきらない体をハボックはガツガツと突き上げる。瞬く間に追い上げられて、ロイは再び熱を放った。
「アアア―――ッッ!!」
 仰け反って逃げる細い体を引き戻しながらハボックは自身を突き入れる。ロイの唇から高い悲鳴が迸った。
「ヒッ…待って…待…もっと、ゆ…くりっ」
「ムリ…も、とまんない…っ」
 ハボックはそう言うと突き入れながらロイに口付ける。逃げる舌を絡めとって深く口付けてくるハボックに、ロイは苦しくてハボックの背に爪を立てた。
「ん…ふ…ぅうんっ」
 息苦しさと奥を犯される苦しさにロイの爪が何度もハボックの背をかきむしる。その痛みを嬉しく感じながらハボックはさらに奥に捻じ込んだ。
「っん…ンン―――ッッ!!」
 体の奥に熱く迸るものを感じながらロイも熱を吐き出す。やっと唇を解放されてロイは息も絶え絶えにハボックを見つめた。
「ハボ…」
 囁くように名を呼べば再び口付けられる。今度はすぐに唇を離すとハボックは繋がったままロイの体を俯せに反した。
「ひゃああんっっ」
 熱く蠢く襞を強引に擦られてロイが嬌声を上げる。ハボックは俯せにしたロイの腰を抱えるように持ち上げるとグッと奥に突き入れた。
「アアアッッ!!」
 さっきより奥に入り込んでくるそれにロイは悲鳴を上げる。シーツを握り締め涙に濡れた顔を埋めるようにして繋がる腰だけを高々と上げて、ロイはハボックを受け入れていた。
「ああんっ…あひぃっ…ハボォッ」
「ロイ…ロイっ」
 ハボックはロイの双丘を割り開くようにすると思い切り腰を打ち付けて熱を叩きつける。大量に注ぎ込まれて、ロイは体の内側を焼く熱に体を震わせた。
「熱い…っ、熱いよ…ハボ…っ」
 泣きじゃくるロイの顔にハボックが煽られて埋め込んだ牡がグゥと嵩を増す。
「ひ…や…おっきぃっ…」
「ロイ…」
「ダメっ…んなに…おっきくしないで…っ」
 快感に喘ぎながら吐き出す言葉はさらにハボックを煽るばかりで。
「いやああっっ!」
 ロイは快感に震えながらそそり立った中心から熱を迸らせた。
「あ、あ、あ…ハボ…」
 そそり立った自身から吐き出された白濁はロイの腹や胸ばかりか顔にまでその飛沫が飛んでいる。ハボックはロイの頬についたソレを指で取るとロイの口の中へと捻じ込んだ。
「ん…ふ…ぅふ…」
 ハボックの指を強引にしゃぶらされることに、ロイはまともに息をつくことすら出来ない。それでもようやく指が引き抜かれたことに安堵の息をつく間もなく、ロイはグイと体を起こされた。
「え」
 背後から抱き起こされる形でハボックの脚の上に跨がされる。「あ」と思った瞬間にはさらに深くハボックを受け入れていた。
「アア―――ッッ!!」
 自重で深々と貫かれてロイはビクビクと体を震わせる。ロイの股間は吐き出したものでべっとりと濡れていた。
「あ…ハボ…」
 くったりとハボックの肩口に頭を持たれかけさせてくるロイの首筋に唇を落として、ハボックはロイの脚を大きく開くとハボックを咥え込んでいるその入口をそっと撫でる。そうして先ほどロイの唾液で濡らした指をグッと強引に捻じ込んだ。
「ヒィッ!!」
 既にいっぱいいっぱいに開いたソコに強引に指を捻じ込まれて、ロイは痛みに悲鳴を上げる。だがハボックは構わず差し入れた指で淵を擦りながら埋め込んだ自身を乱暴に抜きさしした。
「アヒィィッッ!!」
 見開いた黒い瞳から涙が止めどなく零れ落ちる。じゅぶじゅぶと音がしてハボックが出入りする度、繋がったそこから注ぎ込まれた白濁が泡となって溢れ出た。限界以上のものを受け入れさせられて苦痛に喘いでいたロイだったが、ハボックの空いた方の手が自身に絡んできて、初めて自分の中心が苦痛に萎えるどころか腹につくほどそそり立ち、とろとろと蜜を零していた事に気づく。そうして気づいてしまえば零れる息は熱を帯び、快感に体は支配されていった。
「あ…あ…ハボ…」
「可愛い…ロイ…」
 しどけなく脚を開き、その奥にハボック自身と指を受け入れさせられ、蜜を零す自身を嬲られて悶えるロイの姿に、ハボックはゾクゾクとしてロイの首筋に噛み付く。
「アアッ!」
 その刺激にびゅるんと熱を吐き出してロイは胸を仰け反らせて喘いだ。涙に霞む目をあけるとハボックに強請る。
「顔…見たい…キスして…」
 舌足らずにそう言えばハボックが息を飲む気配がした。次の瞬間ベッドに押し倒され、強引に体を反される。
「ヤアアアッッ!!」
 もう何度目になるか判らない熱を吐き出しながら悶えるロイを深く穿って、ハボックはロイの唇を塞ぐ。口中を散々に嬲ると唇を離し、ロイの顔中にキスを降らせた。
「ロイ…ロイ…好きっ…好きだっ」
 ガツガツと突き上げながらハボックが囁く。体のあちこちに触れてくる手がさらに熱を灯し、ロイは快感に身悶えた。
「ああ…ハボ…もっと…もっとシテ…っ」
 もっと深く、もっときつく、もっと激しく犯して欲しい。繋がった部分から溶け合って1つになってしまいたい。
「ハボ…も、離さないで…ずっと…」
「ロイ…っ」
「好き…ハボがスキ…っ」
「オレも…オレも、ロイ…絶対離さない…っ」
 きつく抱きしめあい何度も何度も口付ける。ずっとずっと想い続けていた相手をようやく手に入れて、2人は無我夢中で互いを求めあっていった。


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