3.鏡の部屋


「アッ、ンッ、やぁ……ッ、」
 素肌に手を滑らせればハボックの唇から甘い声が零れる。鍛えられた体は女性の頼りないほどに柔らかいそれと違って、程良い弾力を滑らせる手に返してきた。部屋を満たす蒼い光の中、ハボックの白い肌がより一層白く、真珠の光沢を放つ。私は漸く触れることの出来た感触にうっとりと目を細めた。
 私が最初に愛してると告げた時、ハボックは俄には信じられないようだった。私への想いを確実に実らせる為にハボックに冷たくした事が思った以上に効果があったようで、切々と強い想い故の不安を訴える姿は堪らなく可愛らしく、私の心をウキウキと弾ませた。私がハボックの想いに気づいていて、彼が毎晩ベッドで繰り返していた淫靡な行為を指摘すれば羞恥に震えて顔を隠す。覗いた耳が桜色に染まってすぐにもかじり付きたい衝動に駆られたが、それを(こら)えて小さな子供をあやすように言い聞かせた。
「好き……ッ、好きっス、大佐ァ……ッ」
 そうしてやっと引き出した言葉のなんと甘いことか。これほどまでに甘やかな言葉を聞いたことなどなくて、私は喜びにうち震えながら彼は私のものだとキッパリと告げた。
 蒼い部屋の中、私はハボックの全てを暴いていく。ハボックはどうしたらいいか判らない様子で弱々しく私を呼んだ。
「た、いさ……ぁ」
「……なんだ?」
 問いかけながらハボックの桜色に染まった耳朶をカリと齧る。
「ヒャッ?!」
 その途端ハボックの体が短い悲鳴と共に跳ね上がった。
「そう言えば少尉はここが弱かったな」
 飲み会の席で隣に座るハボックの耳に言葉を吹き込めば目に見えて狼狽えた事を思い出して言う。ハボックは真っ赤な顔で私を恨めしげに見上げた。
「も…やだ…ッ」
「……何故?」
 小さく首を振りながら吐き出される拒絶の言葉が気に入らなくて、私はハボックの乳首をギュッと抓る。大きく身を震わせて悲鳴を上げるハボックをソファーに押さえ込んで尋ねる私にハボックが真っ赤な顔で答えた。
「だって……恥ずかしいっス」
 ハボックはそう言って長い手足を縮めようとする。だが私はそれを赦さず、逆にハボックの片脚をソファーの背に預けてしまった。
「大佐ッ!」
 大きく脚を開かされてハボックが悲鳴のような声を上げる。何とか閉じようとする脚を押さえつけてやれば、腹につくほど反り返った中心はむしろ悦ぶように蜜を垂れ流した。
「ふふ……ここは喜んで涙を零してるじゃないか」
「ひゃんッ」
 言いながらそそり立った楔をピンと指で弾く。とろんと蜜を垂れ流してハボックが身を仰け反らせて喘ぐのを見れば、もっともっとハボックの全てを暴いてやりたくなった。
「もっとよく見せろ、ハボック」
「アッ?!」
 私は言いながらハボックの下肢を胸の方へ押し上げる。そうして現れた慎ましやかな蕾に目を細めた。
「可愛らしい唇だ」
 私はうっとりと囁いてその唇に口づける。
「ヒッ」
 ビクッと跳ね上がる体を押さえつけて、私は口づけた唇をチュウと吸い、舌を這わせた。
「嫌ッ!やめてッ、大佐ッ」
 流石に羞恥に耐えきれず、ハボックは本気で逃げようとする。だがそんな事をされればもっと悲鳴を上げさせたくなって、私は白い双丘を親指で更に開いて舌を奥に這わせた。
「アッ!やだッ!」
 赤い内壁を舌で押し開きぬるぬると舐め回す。ハボックの体臭が強く感じられて私はすっかり興奮してしまった。舌をねじ込み柔らかい肉襞を味わうように蠢かす。そうすればハボックが何とかして逃れようと押さえつけられた体を、必死に動かそうとした。
「大佐ッ、やめてッッ!!」
 本気の拒絶に私は渋々顔を上げる。真っ赤な顔で息を弾ませ目を見開いて私を見つめるハボックを見つめ返して尋ねた。
「私のものになるのは嫌か?」
 例えここで嫌だと言われたところで聞き入れるつもりはないが、とりあえずそう尋ねてみる。そうすればハボックは一瞬見開いた目を更に大きく見開き、それからキュッと目を閉じてふるふると首を振った。
「そうじゃないっス……ずっと大佐にこうされたかった……」
「じゃあ何故?」
 望んでいたなら何故抵抗する必要があるのか、さっぱり訳が判らず問いかける私に、ハボックは困り切ったように言った。
「……恥ずかしいっス。こんなとこでオレだけ裸に剥かれて…自分でもろくに弄った事ないとこ舐められて…か、感じまくってんの見られて……」
 脚を開かされたまま閉じることの出来ない恥部を何とか隠そうとしながらハボックが言う。正直私はハボックの全てを見たくて、その全てが今すぐ欲しいのだから問題などないだろうにと思いはしたものの、そう訴えるハボックはとても可愛らしかったのでハボックの気持ちを優先してやることにした。
「なるほど、お前の言いたいことはよく判った」
「大佐」
 私の言葉にハボックはほんの少し安心したようにホッと息を吐く。大きく開かされた脚を閉じる為に私の下から抜け出そうとするハボックを、私はいきなり抱き上げた。
「大佐ッ?!」
 突然の事にハボックがギョッとして身を強張らせる。それに構わずリビングを出て階段を上り始めれば、ハボックが腕の中で暴れた。
「大佐っ、下ろしてくださいッ!」
 ハボックが真っ赤な顔で叫んで腕を突っ張る。私はハボックを見ると、わざと腕の力を抜いた。
「う、わ…ッ?」
 フワリと落ち掛けてハボックが慌てて私にしがみつく。
「暴れたら危ないぞ」
「……酷いっス」
 ニヤニヤと笑いながら言う私をハボックが睨んだ。それでも赤い顔で私に身を預けてくるのを見ればそれだけで幸せだった。
 私は階段を登り切ると一番奥の寝室に向かう。ハボックを抱いたまま器用に扉を開け中に入った。部屋の中央に置かれた大きなベッドにハボックを下ろすと見上げてくる空色を見つめて言った。
「これならいいだろう」
 そう尋ねればハボックが小さく首を振る。
「まだダメっス」
 そう言って上着の裾を引っ張る仕草にクスリと笑った。
「文句が多いな」
 そう言いながら手早く服を脱ぎ捨てる。私も裸になれば漸くハボックが恥ずかしそうにしながらも微笑んだ。
「たいさ……」
 私を呼んで腕を伸ばしてくるのを見れば例えようのない喜びが沸き上がってくる。私はハボックに圧し掛かると乱暴に唇を塞いだ。
「ん……んふ……」
 甘い声が合わせた唇の間から零れる。唇を合わせたまま胸に手を這わせれば零れる声が甘さを増した。
「アッ……くぅ、ん……ッ」
 這わせる手の動きに合わせてハボックの声が震える。ぷちりと立ち上がって滑らせる手の邪魔をする乳首をキュッと摘むとハボックが胸を突き出すようにして喘いだ。
「やっ…ッ、あ……」
 ピクピクと震えるハボックの様子に笑みを浮かべ、唇を項から肩、胸へと滑らせる。胸に辿り着いてチュッと吸い付いた私をハボックがグイと押しやった。
「そこ…ッ、嫌っス……!」
「何故?」
「だって……アッ!…やだって言ってんのに…っ」
 ハボックが答える間にも指で片方の乳首をこね回し、もう一方を舌で(ねぶ)る。そうすればハボックは理由を口にすることが出来ず、ビクビクと震え続けた。
「アッ、くぅッ……なんでっ?」
 どうやら胸を弄られて感じてしまっているらしい。そんな自分が信じられないでいるハボックの胸から顔を上げ、両手の指で乳首を引っ張ったり押し潰したりしながら私はハボックの耳元に囁いた。
「恥ずかしがる事はない、素直に感じればいい……」
「そんな……女じゃねぇのに……っ」
「男だろうが感じるものは感じるんだ……そのまま身を任せろ……」
 そう囁きながらも胸への愛撫を続ける。だがハボックはすぐには納得出来ない様子で嫌々と首を振るばかりだった。圧し掛かる体の下でハボックの楔が立ち上がり蜜を垂れ流しているのが判る。こんなに感じていながら認めようとしないハボックに私は少し苛ついてハボックから身を離した。
「大佐…?」
 突然離れてしまった私をハボックが不安そうに呼ぶ。私はベッドから下りると壁いっぱいに引いてあるカーテンに近づいていった。
「ハボック、よく見なさい」
 私は言ってカーテンをシャッと引いた。
「え……?」
 ポカンとして見つめるハボックが部屋の中にもう一人いる。よく見ればそれはハボックの全身を映し出しても余りある巨大な鏡に映し出されたハボックの姿だった。
「な、ん……」
 こんなところに鏡があるなど考えてもみなかったのだろう。呆然として鏡の中の自分を見つめているハボックに私はゆっくりと近づいた。ベッドに上がる微かな音にハボックがハッとして振り向く。不安そうに見つめてくる空色に微笑んで、私はハボックを背後から抱え込んだ。
「大佐ッ」
 逃げようとするのを赦さず、脚を絡めて開かせる。背後から抱き締めるようにして両の乳首をキュッと摘めば、ハボックが喉を仰け反らせて喘いだ。
「アッ!やっ!」
 摘んだ乳首を引っ張り、押し潰し、こね回す。それに合わせてハボックの体がビクビクと震え、開いた脚の間でそそり立った楔が蜜を零した。
「ハッ、ぅんッ!やぁ…ッ!」
「ほら、見てごらん、ハボック……私がここを弄るとお前のモノが応えて蜜を零すだろう?」
 鏡に映し出される様を言葉にすればハボックは俯いて首を振る。桜色に染まる耳に唇を寄せて私は言った。
「見るんだ、ハボック」
「……ッ」
 吹き込む息にハボックの体がビクリと震える。私は背後から抱え込んだハボックの乳首を両方の指先で摘み、引っ張ってこね回した。
「あ……ンンッ!!」
 弄れば弄るだけハボックの唇から零れる吐息の温度が上がり、そそり立った楔からたらたらと蜜が零れる。
「ハボック……」
 その耳元にもう一度囁けばハボックがおずおずと顔を上げ、うっすらと目を開けて鏡を見た。
「ッッ!!」
 その途端、ハボックの喉がヒュッと鳴りそそり勃った楔からパタパタと蜜が零れる。私はクスクスと笑いながらハボックの耳元で囁いた。
「感じてるところを鏡に映し出されて興奮してるのか?」
「大佐ッ」
 ビクビクと震えながらハボックが首を振る。耳だけでなく全身を桜色に染めて息を弾ませるハボックに私は言った。
「ほら……こうして胸を弄ると……悦んで涎を垂らして……イイんだろう?」
「違……っ」
「あんなにはっきり映ってるのに……まだ認めないつもりか?」
 言いながらキュウと乳首を搾るように抓ればハボックが私の肩に頭を預けるようにして喘ぐ。ハアハアと息を弾ませうっすらと涙を滲ませるハボックの顔を極間近に見れば、ゾクゾクと興奮が湧き上がった。
「ほら……イってしまえ、ハボック……」
 そう耳の中に囁きを吹き込むとハボックの体が大きく震える。それと同時に二つの乳首を容赦なく捻るように引っ張った。
「ア……アア―――ッッ!!」
 ガクガクとハボックが震えて身を仰け反らせる。同じように高い悲鳴を上げて身を仰け反らせる鏡の中のハボックに向けて、大きく開いた脚の間でそそり立っていた楔からびゅくびゅくと勢いよく白濁が迸った。


2011/01/22


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