真・偏愛  第五章


「たいさっ…いやっ、いやですっ…こ、んな…っ」
 夜が明けてハボックは再びあの椅子に拘束されていた。手足を拘束され自身を縛められた上で淫具を蕾に埋め込まれる。
「たいさ…っ」
 涙を零して訴えるハボックにロイは笑って言った。
「私が戻ってくるまでそうしているんだ」
「そ、んな…っっ」
 ロイが司令部に行っている間淫具で攻められていろというのか。ハボックはふるふると首を振るとロイに言う。
「ちゃんと言うこときくから…っ…だから外してくださいっ」
 ロイは手を伸ばしてその指先でハボックの涙を拭うと答えた。
「言ったろう、躾だと。繰り返さなければ躾にならない」
「やだ…ゆるして…っ…お願いだから…」
 ずっと勝気に自分を睨みつけていた空色の瞳が恐怖と絶望に濡れて揺れている。ぞくぞくとする喜びにロイは低く笑うとハボックをそのままに部屋を出て行った。
「たいさっ…たいさぁっ!!」
 身を捩ってハボックはロイを呼んだが、シンと静まり返った家の中から帰ってくる声はなかった。
「い、やだ…どうして…っ」
 涙を流していたハボックは緩く振動する淫具にゆっくりと頭をもたげていく自身に絶望する。
「やだ…やだぁ…」
 このまま一日中蕾を嬲られて、何度熱を吐き出せばいいのだろう。いや、実際には熱を吐き出す術もなく自身の熱に身を焼かれるしかないのだ。昨夜の恐ろしいまでの苦痛を思い起こしてハボックは震える。ぎちぎちと食い込み始めたリングにハボックは荒い息を零した。
「は…はあっ…いた…たいさ…たすけて…」
 綺麗に筋肉の付いた体に汗が噴き出てハボックは喘いだ。もう頭を占めるのは蕾を犯す淫具と己を戒める拘束具のことだけだ。ハボックは喉を仰け反らせるとひくひくと震えた。
「いやっ…イきたくないっ…やだっ、やだぁぁぁっっ」
 ハボックの唇から零れた悲鳴と同時に縛められた自身からとろりと白濁が零れる。身の内を焼く痛みにハボックはぶるぶると震えた。
「あひ…いやっ…いやだぁっ…」
 再び駆け上ってくる快感にハボックは怯える。1日はまだ始まったばかりでハボックをこの苦しみから解き放ってくれる男が再び戻ってくるのはまだだいぶ先のことだった。

 かちゃりと音がして寝室の扉が開いた。日は中天を過ぎた頃だったが、ロイはハボックが待つ家に戻って来ていた。荒い息を零しながらぶつぶつと呟くハボックの頬をロイはそっと撫でた。ハボックの唇に耳を寄せてその言葉を聞いたロイはにんまりと笑う。
「たいさ…た、いさ…」
 過ぎる快感と痛みに半ば正気を失ったハボックの唇からはロイを呼ぶ声が零れ続けていた。ロイはハボックの唇を塞ぐときつく舌を絡める。ぴくんと震えたハボックの視線がロイを捉えて、途端、その空色の瞳に涙が盛り上がった。
「たいさぁ…たい、さ…っ…た、すけ…」
 緩く首を振るハボックの蕾から淫具を引き抜くと、ロイはハボックを縛めるリングを解き放つ。
「ひいいいっっ」
 身を仰け反らせて熱を吐き出したハボックは、ぼんやりとロイの顔を見つめた。
「私が欲しいか、ハボック。」
 聞かれてコクコクと頷くハボックの拘束を解くとベッドへ連れて行き自身を取り出すとハボックを貫く。ロイにその身を差し出してハボックはあられもない声を上げていた。

 その日ハボックはこれまでとは違う椅子に跨がされていた。俯せに椅子を抱えるように四肢を拘束され、尻を高く突き上げるような格好を取らされる。屈辱に唇を噛み締めたハボックは部屋の外から聞こえるロイ以外の声に身を硬くした。怯えるハボックの耳にかちゃりと扉を開ける音がして、聞きなれた楽しげな声が聞こえてくる。
「へえ、いい格好じゃないか」
 それがセントラルにいるロイの親友のものだと気づいてハボックは縛められた体で必死にもがいた。
「今、躾の真っ最中でね」
 そう言うロイにヒューズが聞く。
「触ってもいいか?」
「加減しろよ」
 笑って答えるロイにヒューズはハボックの顔を覗き込んだ。
「よお、少尉。久しぶりだな」
「ヒューズ中佐…」
 情けない自分の姿をこの男に見られるなど、あまりの屈辱に涙が滲む。それでも必死に自分を見返してくる空色の瞳にヒューズは目を細めた。
「啼かせたくなる目だ」
にやりと笑うと突き出されたハボックの双丘に手を這わせる。その狭間に指を滑り込ませるとしっとりと濡れた蕾をやわやわと擦った。
「っっ!や、めて…やめてくださ…っ」
 ハボックは首を振って少しでもヒューズの手から逃れようと身を捩る。だがそれは尻を振り立てる仕草にしかならず、ヒューズはそんなハボックにくくっと喉奥で笑った。
「そんなに喜ぶなよ。早く挿れて欲しいってか?」
 そう言うとヒューズはつぷりと指を差し入れる。ぐいぐいと押し入れて根元まで差し込むとぐりぐりとかき回した。
「ああっ…やだぁっ」
 ヒューズは涙を滲ませて荒い息を零すハボックを見つめながらその蕾を弄っていたが、やがてロイに聞いた。
「なぁ、アレないか、アレ?」
「そこの引き出しに入ってるだろ」
 ロイの答えにヒューズは指を引き抜くと立ち上がって引出しを探る。目当てのものを見つけ出すとにんまりと笑ってソレを手に取った。
「好きだな、お前、ソレ」
 半ば呆れたように言うロイにヒューズは手にしたものを振って答える。
「無防備なとこを押し開いて奥の奥まで覗くのって堪んないぜ。えらく善がるしな」
 ヒューズはそう言うとハボックの鼻先に手にしたものをかざした。
「今、これでお前の中をたっぷり覗いてやるからな」
「…やだ…やめてください、ちゅうさ…」
「大丈夫だって。もともと女のアソコを広げるためのもんなんだから」
 怯えるハボックの頬を優しく撫でるとヒューズは銀色に輝くクスコをハボックの蕾に押し当てる。ひやりとした感触にハボックの体がびくりと震えた。先をぐっと蕾に差し込むとヒューズは遠慮会釈もなくハボックの蕾を左右に押し開いた。
「やだぁっ!!」
「へぇ、真っ赤だなぁ、ひくひくうねってるぜ」
「見るな…っ」
 突き刺さるような視線にいたたまれずハボックは椅子に顔を伏せる。小刻みに震える尻肉に舌を這わせてヒューズはなおも覗き込んだ。
「綺麗なもんだ。ロイによっぽど大事にされてんだな。どれ、少尉の感じるとこは、っと…」
 ヒューズはそう言ってクスコで無残に割り開かれたハボックの蕾に指を差し入れる。ゆっくりと襞を辿り指の腹を押し付けるように蠢く内壁を擦った。
「あ…あ…」
 ひくひくと震えるハボックの中を探っていたヒューズの指がある一点に辿り付いた時、ハボックの体が大きく揺れる。ソレを見逃さず、ヒューズはその箇所をしつこく攻め立てる。
「ああっ…ひぅ…やめ…や…っ」
「すげぇ…ビクビク蠢いてやがる」
「言わないで…っ」
 浅ましい自分の様を具体的に言葉にされて、ハボックは恥ずかしさのあまり死にたくなった。乱暴に擦る指の動きでハボック自身はそそり立ちたらたらと蜜を零している。
「ん…くぅん…」
 甘い吐息を吐き出すハボックをヒューズは乱暴に攻め立てた。
「んんっ…はあん…あっあああっっ」
 びゅるんと熱を吐き出すハボックをヒューズは楽しそうに見下ろして笑う。
「感じやすいな。こんなんじゃロイの相手は大変なんじゃないの?」
 そう言ってずるんとクスコを抜き出すとベッドの上にソレを放り投げた。薄っすらと笑うロイを見ると言葉を続ける。
「抱いて見せろよ」
「そこで?」
「まずはな」
 にたりと笑うヒューズと交代してハボックの脚の間に立ったロイはハボックの背後から覆い被さった。ねっとりと首筋を舐め上げ、硬く尖った乳首を背後から摘むとぐりぐりと押しつぶす。
「う…ふぅ…んっ」
 喘ぎ声を上げて腰をくねらすハボックの蕾に指をつぷりと沈めるとロイは囁いた。
「ヒューズの指はどうだった…?随分善がっていたようだが…」
 聞かれてふるふると首を振るハボックの蕾をかき回しながらロイは続ける。
「アイツの指と私のと、どっちがイイんだ?」
 くちゅと耳の中を這い回る舌にハボックの蕾がきゅっとロイの指を締め上げた。誰の指だろうとそんな所をかき回されるのは嫌でしょうがないのに、快楽を覚えこまされた体が心を裏切る。唇を震わせて目を伏せるハボックの後ろから指を引き抜くとロイは滾る自身を押し当てた。又強引に押し開かれるのだと身を硬くするハボックに構わずずぶずぶと沈めていく。
「んあああああっっ」
 指よりも硬く大きいものに刺し貫かれてハボックは悲鳴をあげた。もう数え切れぬほど受け入れさせられ散々に嬲られていながら、ハボックの心は行為に慣れることはなかった。快楽と苦痛に耐えかねてロイのものになると誓わされたとは言え、心の奥底では嫌で嫌で仕方がない。それでも与えられる快楽から逃れる術もなく、ハボックはロイの望むままにその身を差し出すしかなかった。
「あひぃっ…あっ…ああんっ」
 乱暴に突き上げられかき回されてハボックは啼きながら喘ぎ続ける。その様子を食い入るように見つめていたヒューズはベッドから腰を上げると二人に近づいていった。
「ロイ」
 呼ばれてロイは仕方ないなと言うように頷く。ヒューズは楽しそうに笑うと喘ぐハボックの髪を鷲掴む。
「随分よさそうじゃないか、オレのも咥えてくれよ」
 そう言って熱い吐息を零すハボックの唇に昂る自身をこじ入れた。
「ぐぅっ…んぐっ」
 喉奥まで突き入れられて苦しげな表情を浮かべるハボックの髪を掴んで、ヒューズは乱暴に抜きさしする。
「んっ…んふ…んんっ」
 涙を滲ませるハボックの顔を見つめながらヒューズはロイに聞いた。
「どうよ?」
「すごいな、きゅうきゅう締め付けてくる」
「口に突っ込まれて感じてやがんのか」
 いいねぇ、と笑うヒューズの声にハボックの瞳から涙が零れる。辛くて苦しくて仕方ないのに感じる体をどうすることも出来ない。絶望に染まるハボックの耳にヒューズが囁いた。
「嫌で嫌で仕方ないって顔だな。でも感じちまう。あのな、生まれつきヤられるように出来てるヤツっているんだよ。お前がそう」
 だから諦めて溺れちまえ、と嘲るような笑い声と共に上下の口を同時に熱で焼かれて、ハボックは意識を手放した。


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