| psy 第三章 |
| 「全くお前はもう少し警戒しろ」 「警戒って…何を?」 家に帰るなり苛々とそう言うロイにコーヒーを差し出しながらハボックは首を捻る。ロイが不機嫌な理由も、何に警戒しろと言われているのかもハボックにはさっぱりわからない。幽霊に気をつけろといわれているのかとも思ったが、ロイには全く見えていないのだからそれもあり得ないだろう。首を捻るハボックをロイはコーヒーを啜りながらじっと見つめていたが、ふっと息を吐くとカップを置いて言った。 「まぁ、お前らしいと言えばそうだが…」 ロイはそう言うとハボックの頬に手を伸ばす。 「私としては気が気じゃない」 「たいさ…?」 「私は心が狭いんだよ、ハボック」 そう言って近づいてくるロイの顔にハボックは目を閉じようとして、ロイの後ろにいるソレに気づいて思わずロイを突き放した。 「ハボック?」 「あ、いや、その…」 突然突き放されて不機嫌に顔を歪めるロイの後ろで悪戯っぽい笑みを浮かべている幽霊に、ハボックは慌てる。 (なんでここに?つか、ついて来たのか、画伯の家から!?) どうしてよいか判らずオタオタするハボックをロイは睨みつけて言った。 「おい、ハボック」 呼ばれてロイの顔を見たハボックはパチパチと瞬きすると取り繕うように答える。 「あ、あのっ先にシャワー浴びてきてもいいっスか?」 「シャワー?」 「あっ汗かいてるし、だからっ」 「身だしなみか?」 ロイはにんまりと笑うとハボックから体を離した。 「確かにあそこに行くと体がかび臭くなったような、古い空気が体に染みこんだような気がするな」 早く行ってこい、とロイに言われてハボックはそそくさと浴室へと向かった。パタンと扉を閉じると宙を見据えて小声で言う。 「何しに来たんだよ。さっさともといた場所に帰れ」 綺麗な顔をした女の幽霊はにっこりと笑うと答えた。 『早くシャワー浴びないと変だと思われてよ?』 「余計なお世話だ。早く出てけよ」 幽霊はくすくすと笑うと洗面台に腰かける。 『早くなさいな』 「あのな、一体なんの用が…」 「ハボック、大丈夫か?」 いつまで経っても聞こえてこない水音にロイが気遣って声を掛けてくる。ハボックは慌てて返事を返すと幽霊に背を向けて服を脱ぎ始めた。 『綺麗な体ね』 「見るな、ばかっ」 ハボックはそう言い捨てて浴室に飛び込んだ。ざっとシャワーを浴びると出てきて、まだそこにいる幽霊から隠すようにタオルを体に巻きつける。 「なんか用でもあるのか?そうでないなら画伯んちに帰れ」 『あるわよぉ、用事』 ハボックの言葉に幽霊はにっこりと笑うと答えた。 『あなた、これからあの男と寝るんでしょ?うふふ…け・ん・が・く』 語尾にハートがついているような幽霊の言葉にハボックは口をあんぐりと開けると次の瞬間声を出さずに怒鳴った。 「おまえっっ!!」 『だって、あの男、画伯の家にいる時からロベルトにヤキモチ焼いちゃって可愛かったんだもの。ものすごぉく気になってついて来たら楽しそうな展開になってるじゃない?やっぱりしっかり見てかなくちゃ』 帰れないわよぉ、とキャラキャラと笑う幽霊にハボックは絶句した。気を取り直してハボックが幽霊に何か言い返そうとした瞬間、がちゃりと洗面所の扉が開いてロイが顔を出した。 「ハボック、何やってるんだ」 「たいさっ」 タオルを巻きつけただけのハボックを見るなりロイが腕を伸ばす。 「もう、待てんからな」 言葉と同時に口付けられてハボックはもがいた。 「ちょっ…待って、たいさっ」 「ダメだ」 ぐいと抱き上げられて抵抗する間もなくリビングまで連れてこられるとソファーの上に放り投げられる。ボスンと弾む体の上に圧し掛かられて、見上げたロイの肩越しに楽しそうな幽霊の顔が見えた。 「たいさっ、やっ、待っ…ああっ」 タオルを剥ぎ取られて中心をぎゅっと握られ、ハボックは悲鳴を上げる。耐え切れずにぎゅっと目を閉じればロイの唇が降りてきた。 「ん…ぅん…」 ぴちゃぴちゃと舌を絡ませる間にもロイ以外の視線を強く感じて、ハボックは居た堪れない思いに駆られる。ハボックは腕を伸ばしてロイの体を引き寄せるとその肩口に顔を埋めた。ロイの手がハボックの体を滑り、感じる部分を刺激していく。きゅっと乳首を摘まれてハボックの唇から甘い悲鳴が零れた。くりくりと捏ねまわされてハボックは緩く首を振った。 「んっ…あっ」 『感じてるのね』 不意に幽霊の声がしてハボックはハッとして目を開いた。途端に幽霊と目が合って、かあっと顔に血が上る。 「やっやだぁ…っ」 急にぐいと押し戻されてロイはムッと顔を歪めるとハボックの脚を押し開いた。大きく開かれた脚の付け根でそそり立つ自身を曝されて、ハボックの瞳から羞恥のあまり涙が零れる。体の奥の蕾に舌を差し入れられてハボックの体が大きく震えた。 「んあっ…い、やっ…やめ…っ」 舌と指でぐちぐちとかき回されハボックは耐え切れずに喘ぎながら腰を揺らめかせる。そんなハボックの様子にロイはくすりと笑った。 「イヤじゃないだろう、こんなにして…」 「あっあっ」 とろりと蜜を零す自身をぐいと握られてハボックは体を仰け反らせた。ロイの声に被さるようにして幽霊の笑いの波動がハボックに感じられて、ハボックは思わず両腕を顔の上で交差させる。その時、ロイの指がぐいと奥をついてハボックは短い悲鳴を上げて熱を放ってしまった。 「なんだ、今日はやけに感じやすいな」 呆れたようなロイの口調にハボックはボロボロと涙を零す。 「可愛いな、ハボック…」 ちゅっと口付けてすぐ離れていく唇にハボックは手を伸ばすとロイの首に縋りついた。 「も…なんもわかんなくなりたい…」 舌足らずな口調でそう囁くハボックにロイは僅かに目を見開くと、次の瞬間ハボックの脚を抱えなおし、一気にハボックを貫いた。 「アッアア―――ッッ!!」 滾る熱に押し開かれてハボックの唇から悲鳴が零れる。自分を翻弄するロイの熱だけが全てになって、ハボックは快楽に溺れていった。 |
→ 第四章 |