華降る夜の褥  後編

 ハボックはロイの身体を改めて花びらの上に横たえるとその細い脚を大きく開いてしまう。
「──ッ!」
 息を飲んで腕で顔を隠そうとするロイを押さえ込んでハボックは言った。
「駄目、全部見せて」
 そう言うとハボックはロイの両手をひと纏めにして頭上に押さえ込んでしまう。そうして開いた脚の奥まった蕾へと指を這わせた。さっき吐き出した白濁のぬめりを借りて指を一本中へと潜り込ませる。微かに息を飲むロイの顔を見つめながら沈めた指をクチとかき回した。
「んっ」
 噛み締めた唇の奥からくぐもった呻きが聞こえる。ぎゅっと瞳を閉じてピクピクと身体を震わせるロイをハボックは熱く見下ろした。
「んっ、んっ」
 指を増やしていけば零れる声も甘さを増す。いつしかロイの楔は勢いを取り戻し、トロトロと密を零していた。
「ッ、ハ、ハボックっ」
 後ろを弄られて感じることを覚え込まされた身体は、男の手管にあっと言う間に追い上げられてしまう。切なげに腰を揺らし始めるロイにハボックはくすりと笑った。
「まだ駄目っスよ。今挿れたらアンタのこと傷つけちまう」
「で、もっ、もう平気っ、平気だからっ」
 そう言って腰を突き出すように揺するロイにハボックは笑みを深める。だが、実際にはロイの願いには答えず、沈めた指を更に乱暴にかき回した。
「ああっっ!!ハボックぅッ!」
 グチグチとイヤらしい水音が響き、ロイの甘い啼き声が風の唸り声さえかき消すように大きく流れる。全身を桜色に染めて啼くロイは堪らなく綺麗で堪らなく淫猥だった。
「たいさ…」
 ハボックはロイの蕾に指を沈めたままロイの首筋に唇を寄せる。その薄い皮膚に歯を立てるとロイの唇から甘ったるい悲鳴が零れた。
「ああ、やっぱり綺麗だ…」
 ハボックはそう言って桜色に染まった肌に散る紅い花びらを見て呟く。焦らすように花びらを散らし、沈めた指を揺らめかせれば、ロイがポロポロと涙を零した。
「ハボック…っ、ハボ……」
 切ない声で呼ばれてハボックは嬉しそうに笑う。涙に濡れた頬に口づけて聞いた。
「そんなに欲しいんスか?オレのこと」
 そう尋ねればロイが恨めしげにハボックを見る。
「お前は……お前は私が欲しくないのかっ、さっき私の中に出したいと言ったくせにっ」
 先に欲しいと言ったのはお前だろう、と身悶えながらも責めるロイにハボックは笑う。ねっとりと責める唇を塞ぐと囁いた。
「ごめんなさい、先に欲しいと言ったのに……アンタ、あんまり可愛いんだもん」
「バカ…っ」
 紅い顔で怒るロイは実際可愛いとしか言いようがないのだが、ロイには全く判っていないようだ。ハボックはロイの蕾からわざとゆっくり、内壁をこするようにして指を抜いていく。胸を仰け反らせてその甘い刺激に堪えようとするロイをハボックはギュッと抱き締めた。
「たいさ……」
 戦慄く唇をキスで塞いでその合間にハボックはロイを呼ぶ。閉じていた瞳を開いて見つめてくるロイにハボックはゾクリと背筋を震わせると改めてその細い脚を抱えなおした。そうして物欲しげにヒクつく蕾に自身を押し当て、欲望のまま一気に根元まで突き入れる。ロイの喉から迸る甘い悲鳴に目を細めると奥まで沈めた楔を小刻みに揺らした。
「ヒィッ!!ヒィィッッ!!」
 熱く熟れた内壁をこすられてロイは背を仰け反らせる。狭い器官の中でハボックの牡は存在を主張し、猛々しく暴れ回った。
「たいさ……たいさ…っ」
 ハボックは小刻みに揺らしていた動きを止めて今度はがつがつと突き上げ始める。みっちりと肉筒を埋め尽くした楔が動くたび内壁が縒れるような錯覚に陥って、ロイは嫌々と首を振った。
「ハボ、いやっ……中が…っ」
「中?中ってどこのことっス?」
 判っていながら意地悪に問い返す男をロイは恨めしげに見上げる。だが、はっきりと答えない限りハボックは尋ねるのをやめないだろうとロイは顔を真っ赤にして答えた。
「……こっ、この中…ッ」
 それでも言葉にするのははばかられて、ロイはハボックの手を牡を受け入れている蕾へと導く。そうして「変になる」と呟くロイにハボックは笑った。
「変になる?じゃあ様子見てみましょうか?」
 ハボックは楽しそうに言うと、導かれた指をハボックの楔を迎え入れてキチキチに口を開いているロイの蕾に添える。そうしてそのまま蕾の中へと指をねじ込んでいった。
「…っ?!い……いやっ!!」
 蕾は既に牡を咥えていっぱいに開いているのだ。そのわずかな隙間に強引に指をねじ込まれて、ロイの唇から悲鳴が零れた。
「ヒィィィィッッ!!」
 見開いた黒い瞳からロイはポロポロと涙を零す。黒曜石の瞳から零れる美しい真珠をハボックはうっとりと見つめた。
「ヒィッ、ハボ…ッッ!!」
 痛みと共に続々と沸き上がるものにロイは弱々しく首を振る。縋るように見上げればハボックがゆっくりと指を引き抜いた。ホッとしたのも束の間、今度は両脚を胸に着くほど押し上げられてガツガツと突き上げられる。痛みと快楽とに身悶えて頭のてっぺんが地面に着くほど胸を仰け反らせたロイは吹き荒れる花びらに目を見開いた。
「……あ…」
 思わずそれに向かって伸ばした手を、ハボックに引き戻されたかと思うと強引に身体を起こされた。
「ッッ!!」
 下肢はまだ繋がったままだから当然自重で深々と貫かれることになる。声を上げることも出来ずに身体を震わせるロイの唇を塞いでハボックが言った。
「駄目……どこへも行かないで、たいさ……」
 せっぱ詰まったような声にロイは涙に曇った瞳でハボックを見る。ひどく不安げな表情を浮かべる空色にロイは微かに笑った。
「私がどこに行くと言うんだ……」
 バカなことを、と呟けばハボックが骨が砕けるほどの勢いでロイを抱き締める。その桜色に染まる耳朶に唇を寄せて囁いた。
「だって……桜に浚われるかと思った…っ」
 そう言って力任せに抱き締めてくる男にロイは微かに笑う。こんなに自分を翻弄しておきながらこんなことを言うなんて、と笑みを深めればハボックが恨めしそうにロイを見た。
「そんな顔して……いいっスよ、宣言通り、何にも考える暇なんてなくしてあげますから」
 ハボックはそう言うとロイの双丘を鷲掴むようにしてその細い身体を突き上げる。根元よりも更に奥深くまでねじ込む動きにロイは嬌声を上げ続けた。
「ハボック…ッ、ハボック………ハ、ボ…っ」
 譫言のように名を呼び続けるロイにうっとりと笑うと、ハボックは奥を抉り熱くたぎる白濁を叩きつけた。

 気がついたときには身なりをきちんと整えられてハボックの肩に寄りかかっていた。身じろぎしたロイに目を覚ましたのだと気づいたハボックが言う。
「もうちょっと待って起きなかったらダッコして帰ろうと思ってたんスけど」
 残念と喉奥で笑う男をロイは軽く睨んだ。その視線を床へと向ければ一面に降り積もっていたはずの花びらがない。息を飲むロイにハボックが察して言った。
「アンタが気を失ってすぐに風が吹き込んできて、花びら全部浚って行っちまいました」
 ハボックはそう言ってロイの髪を撫でる。
「アンタの事、抱き締めておいてよかった……でなかったらきっと今頃、花びらと一緒に消えちまってたかも」
 本気でそう言っているらしい男にロイはクスクスと笑う。拗ねたような表情を浮かべるハボックにロイは言った。
「どんなに強い風に煽られてもそう簡単に飛んでいったりしないさ。私をここに留める錨があるからな」
「いかり?」
 不思議そうに聞き返すハボックにロイはだが答えない。
「たいさぁ」
 焦れて名を呼ぶハボックに笑うと、ロイはハボックを引き寄せその唇に自分のそれを重ねたのだった。


2009/05/01


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拍手リクで「ハボロイで野外エッチ」でした。無理矢理にするか、成り行きにするか、最初からそのつもりで出かけるかと色々パターンを考えたのですが、今回は成り行きでわりかし綺麗に収めてみました。ギリギリ季節だったしね(苦笑)そんな訳でお楽しみいただければ〜v