「partner4」




ヒューズが見ていた資料───もとい、恋愛小説。

素っ頓狂な声をヒューズが出したのでロイは顔を上げ、ハボックはうたた寝から目を覚ました。



「どうしたんスか?中佐」

「なにか見つかったのか?ヒューズ」

「これを見てくれ。ロイ。辻褄があわないんだ」



ロイがヒューズから本を奪い取るように取り、ハボックはソファの後ろから本を覗いた。



「ここだよ。ここ。可笑しいだろ?」

「ふむ・・・確かに可笑しいな」

「?????」



わかってないのが約1人。

本には好きな女性への想いが綴られていたのだが次のページになると全く違う内容になっているのだ。



「普通、この流れで行くなら告白だろう?」

「ああ。それなのに次のページには嫌いになっている」

「そうなんスか?でも、急に嫌いになる出来事も書いてあるっスよ?」

「だけどな。ハボック。その出来事だって取って付けたようじゃねぇか」

「リアリティに欠けてるだろう。ここまで描写が書ける小説家ならこんな事はしない」

「ああ、なるほど。そうっスね」



ハボックも疑問がハッキリし頷いた。

ロイはそんなハボックが可愛いと思いながら兎に角、解読にかかる事にした。


まだ記していなかったがこの資料の山はロイが集めた鋼の錬金術師であるエドワードに渡す前の本。

錬金術の本だと言われて買ってもインチキな物も多いからロイが錬金術の本であるかどうかを簡単に判

断するのだ。


ふあぁぁぁと大きな欠伸をするヒューズ。

まだ夜の10時だというのにもう眠くなっていた。流石、子供の体である。



「ヒューズ。寝ていいぞ」

「でもなぁ、早く・・・戻りてぇし。俺だけが寝るのも・・・なんだかなぁ・・・」

「中佐ぁ。我慢しないで寝た方がいいっスよ。今もうつらうつらしてたでしょ」

「そうだぞ。ヒューズ。我慢しないで寝れ。邪魔だ」

「ひっどーい。ロイちゃん」

「・・・・・・」

「さ。寝ましょ?中佐」



見事にスルーされたカマ言葉と態度のヒューズは、仕方なし気にフラつく体で立ち上がり微笑んでるハ

ボックに支えられ目を擦りながら客室へと向かった。

ロイはというともう既に本に没頭している。


すぐにリビングに戻ってきたハボックはロイの可愛い姿に微笑む。

子供姿のロイは本当に可愛い。ソファに膝を折り曲げた形で本に没頭している。


───大佐が小さい頃は純粋にこうやって毎日をすごしてたんだろうな・・・・。


何処でねじ曲がってたしまったのか不思議に思いながらもクスリと笑うハボック。

それだけ今の子供の姿と横柄な大人がどう考えてもどっかで性格が変わるような事があったに違いない

からだ。

ハボックは台所へ行くとミルクティーを入れリビングに戻り、テーブルへそっと置いた。

そしてロイの隣へ座った。



「ああ。ありがとう。ジャン」



二人の時だけ呼ばれるハボックの名。

ハボックはそれだけで嬉しいと頬を染める。



「どうスっか?何かわかりました?」

「そうだな。どうやらこの本で正しいらしい」



つまりはヒューズが変だと思った恋愛小説は錬金術の本であり、あの酒のヒントを記しているという事だ。

大人に戻る可能性が大きく変化する事にハボックは喜んだ。

ロイはハボックがヒューズを寝かしつけて台所行っている間に本を読み終えたらしい。

パタンと本を閉じテーブルへ置くとミルクティーを啜った。



「私が見つけた本とヒューズが見つけた2つの本で若返った酒が出来る事がわかったよ」

「じゃぁ、元に戻る目処は・・・」

「ああ。目処はたった。大丈夫だ。心配はいらんよ。簡単な生態系錬金術だった。2日で戻る」

「ほんとっスか?!」

「本当だ。練習で作ったような代物だ。きっと大総統が悪戯に寄越したのだろう」

「あー、よかったっスよ。一生、大佐と中佐を育てていかなきゃいけないのかと思いました」

「莫迦な事言うな。ジャン。そんな目にあったら後何年お前を抱けないじゃないか!溜まったものではな

いぞ!」

「なっ!何言ってんスか」



真っ赤になってしまったハボックをロイは子供ではあり得ない色気を振りまきながら口角を上げた。



「お前は何年も私に抱かれなくても平気なのか?」



更に真っ赤になってしまったハボックは、もう言葉にも出せなくなり首を横に振った。

ロイに開発されたハボックの躯は、現在の推定年齢から考えると3〜5年待つなんて堪えられない。

ハボックの可愛い態度に嬉しそうに微笑むロイはソファの上に膝立ちになりハボックの頬を両手で触れる

とゆっくりと唇を寄せた。

子供らしかぬその口付けにハボックは身を任せた。



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