ハイムダール国物語番外編  〜王子様のレッスン〜


Lesson1 by みつき


「あーあ」
 ハボックは肺の中の空気を全て吐き出すような勢いでため息をつくとペンを放り投げる。ハボックが問題を解くのを見ていたティワズは眉を顰めると言った。
「若。まだ全部終わってませんよ」
「…もう飽きた」
 ハボックはそう言うと唇を尖らせる。睨んでくる紅い瞳を見返すと言った。
「剣の練習しようよ、ティ。ね?」
「終わるまではダメです」
 ピシリとそう言えばハボックが頬を膨らませる。ティワズは1つため息をつくと言った。
「若も来週の誕生日で15です。15といえばハイムダールではもう大人なのですから、しっかりして下さらないと困るんですよ?」
「判ってるけど…」
「とにかく、それを全部終わらせるまでは他の事は一切ダメです。私はちょっと陛下に呼ばれているので行って来ますが私がいない間きちんとやっていて下さいね」
 ティワズはそう言うと椅子から立ち上がる。ムゥと不貞腐れて見つめてくるハボックの頭をくしゃりとかき回すと優しく笑った。
「いい子にしててください」
 そう言ってティワズは部屋を出て行く。
「…大人って言ったくせに」
ハボックはそう呟くと乱された髪を撫で付けたのだった。

「お呼びでしょうか、陛下」
 部屋に入ってくるとそう言って跪くティワズを王は手招く。立ち上がってその傍へ行けば王が口を開いた。
「ハボックの様子はどうだ?」
「…まだどうにも剣や体術の方にばかり関心があって困ります」
 そう言って困ったように顔を顰めながら、だがその声音には慈しむような響きを載せるティワズに王は目を細める。椅子の袖を指でトントンと叩きながらティワズに言った。
「ところで、ティワズ。ハボックも来週には15になる。そうすればもう立派な大人。すぐにも結婚の話が持ち上がるやもしれん」
「はい」
「そこでだ。お前があやつに男とのセックスの仕方を教えてやってはくれぬか?」
「…私がですか?」
 突然の王の言葉に驚いて聞き返せば王は頷いて言う。
「そうだ。ハイムダールは知っての通り同性間での婚姻が認められた国。もしかするとハボックの相手が男とも限らぬ。その時いらぬ恥をかかずに済む様、お前が手ほどきしてやって欲しいのだ」
 王はそう言うと一呼吸置いて続けた。にんまりと目を細めて笑うと言う。
「勿論、男として妻を娶る場合と、妻として夫を迎え入れる場合の両方とも、だ」
「…えっ?!」
 ギョッとしてティワズが目を見開けば王は言った。
「お前が嫌だというなら他の者にその役目をふるだけのこと。嫌ならそう言っても別段咎めはせぬ」
 王の言葉にティワズは更に目を見開く。他の者にハボックが、とそう考えた瞬間、唇から言葉がついて出た。
「私にやらせて下さい、陛下」
 キッパリとそう言うティワズに王は頷く。
「ではお前に任せよう、ティワズ」
「はっ」
 ティワズはそう言って礼をすると王の前を辞そうとする。だが、部屋を出ようとするティワズを引き止めて王が言った。
「これを持っていくといい。きっと役に立つ」
 そう言って王が差し出した袋をティワズは受け取る。もう一度礼をすると改めて部屋を出て行った。

 だが、「やる」と言ったものの正直なところを言えば、ティワズにも男同士でヤる時の知識は皆無だった。それでもこれまでその成長を見守って大切に大切に育ててきたハボックが、自分以外の誰かにいい様にされてしまうなどと考えただけでもゾッとする。
(そんな事になるくらいなら私がこの手で…)
 技術的なことならいくらでも教本らしきものがあるだろう。ティワズはそう考えるとそう言った本を持っていそうな男の事を思い浮かべた。その時、王から手渡された袋が手の中でかさりと音を立てる。
(陛下は何を…)
 そう思って袋の中を覗けばそこには小さな瓶がひとつ。取り出してラベルを見てもさっぱり用途が判らない。首を捻って他にも何か入っていないかと見た袋に入っていた小さな紙片を取り出すと、ティワズは目を通した。読み進めるうちにティワズの顔が明らかに紅くなる。片手で顔を覆って廊下に立ち尽くしたティワズはそれでもひとつ首を振ると自分を叱咤するように拳を握り締めた。
「が、頑張らねばっ」
 大切な王子の為、一刻も早く勉強しなくてはと思うティワズだった。

「若。私はこれから出かけてきますから。帰ってきたら採点しますからね!サボっちゃダメですよ!」
「えっ?出かけるってどこに?…ティっ!」
 扉から顔だけ出して言いたいことだけ言うと行ってしまったティワズに、ハボックは上げかけた腰をドサリと椅子に戻す。
「ちぇー、つまんないの…」
 一人きりで残されてハボックは机に懐くとペタリと頬を押し当てた。幼い頃に母を亡くして以来、ハボックにとってティワズは友人であると同時に母であり兄であり、誰よりもかけがえのない存在だった。いつまでも一緒にいたいと望むハボックにとって、来週に控えた誕生日は少々恐ろしいものでもあった。
(もう大人なんだからいつまでもティと一緒にいちゃダメだって言われたらどうしよう…)
 そんな不安に駆られて、ハボックはため息をつくとそっと目と閉じたのだった。

「ほら。これだろう、お前が入り用なのは」
 マニはそう言いながらティワズに数冊の本を手渡す。それを受け取りながらティワズは顔を顰めると言った。
「ホントにお前のところにはどんなものでも揃ってるな」
 ティワズはそう言いながらパラパラと本を捲る。図解で詳しく説明してある内容に、目尻を染めると慌てて本を閉じた。
「で?何に使うんだ?もしかしてお前、ソッチの恋人が出来たとか…」
「そんなんじゃない」
 ティワズはそう言うと本を持っていた袋に入れる。興味津々の体で見つめてくるマニに嫌そうなため息をつくと言った。
「若にお教えするんだよ。もうすぐ15だからな」
「ああ、そう言えば来週誕生日か。…ってお前、それじゃあ若と?」
 へええ、と楽しそうな顔をするマニをティワズは睨む。
「訳のわからんヤツに若を勝手にさせるわけにはいかん」
「そりゃまあ、確かに」
 ティワズの言葉にマニも納得して頷いた。
「まあ、若様としても初めての相手がお前なら安心だろうしな」
 感想聞かせろよ、とニヤニヤ笑って言うマニを本で一発ぶん殴ると、ティワズは家を出たのだった。

「ティ!サッシュベルト、どこにあるか知らないっ?」
 わたわたと部屋の中を探し回るハボックにティワズはため息をつく。まだ頭ひとつ小さい少年の腕を掴むと自分の前に立たせた。
「少し落ち着きなさい。ベルトなら私がクローゼットにかけておきました」
 ティワズはそう言うとハボックの上着のボタンを留めていく。クローゼットからベルトを取り出すとハボックの腰に巻きつけ、綺麗に整えてやった。
「今日で15ですね。おめでとうございます、若」
「う…ん。ありがとう、ティ」
 ハボックはティワズの言葉に小さく笑うと答える。そんなハボックの頭を撫でるとティワズは言った。
「陛下からお言葉を貰ったら若ももう立派な大人です。これまで以上に王子としての自覚を持って――」
「判ってるよ」
 ティワズの言葉を遮ってハボックはそう言う。見事な細工が施された剣をティワズが差し出せばハボックはそれを受け取って腰につけた。
「よくお似合いです」
 ティワズに言われてハボックは嬉しそうに笑う。扉を開けて部屋を出ればティワズが付き従った。ハボックの15の誕生日を祝う宴の間にハボックが足を踏み入れればワッと歓声があがる。照れくさそうな表情を浮かべるハボックに、居並ぶ臣下たちが口々に祝いの言葉を述べた。少しして王の到着を告げる声がして皆が王を迎える為に立ち並ぶと頭を垂れる。広間に入ってきた王は玉座につくとハボックを呼んだ。
「お前も今日で15、一人前の大人だ。これからは今まで以上の自覚を持って日々を過ごすよう。判らぬことは積極的にティワズ達に聞いて精進するように」
 ハボックは王の言葉を神妙な顔で聞いていたが、これまでどおりティワズと一緒にいられるのだと判ると嬉しそうに顔を弛める。それだけ判れば後はどうでもいいと聞き流していたハボックを、父王はジロリと睨むと言った。
「ちゃんと聞いておるのか?」
「はいっ、勿論っス!」
 慌ててそう答えるハボックを王は胡散臭げに見たが、流石に祝いの席だと言葉を飲み込むと声を上げる。
「今宵は王子の15歳の誕生日を祝う席だ。皆、多いに食べ、飲んで楽しく過ごしてくれ」
 王はそれだけ言うとハボックにもう一度祝いの言葉をかけた。無礼講との合図をすれば広間の空気はグッとくだけた物となり、人々は楽しく言葉を交わしていた。ハボックも人々の祝いの言葉を受け止めながら広間を歩いていく。
「おめでとうございます、王子」
 一際大きな声に振り向けばフェンリルが顔を輝かせて立っていた。
「王子もこれで立派な大人。次はお妃を迎えてお世継ぎですな」
 ニコニコと嬉しそうに話すフェンリルに適当な相槌を打ちながらハボックは内心眉を顰める。
(お妃だのお世継ぎだの…気が早いよ、そんなの)
 やっと今日、15になったばかりなのにとハボックはゲンナリとため息をつくと、早々にフェンリルの前から逃げ出した。
 そうやって臣下たちから祝福を受けながら過ごしていたハボックだったが、流石に2時間もたってくるとウンザリしてくる。
(もう、こんなパーティより剣の練習でもしてた方がよっぽどいいよ)
 ハボックがそう考えた時、背後から聞き慣れた声がした。
「若、楽しんでらっしゃいますか?」
 そう聞かれてハボックは露骨に嫌な顔をする。
「もう飽きた。まだここにいなきゃダメ?」
 そんなハボックにティワズはクスリと笑う。スッと目を細めると言った。
「それでは若。今日で15になったことですし、ひとつ若にお教えしておきたいことがあるのですが」
「え?」
 突然そんな事を言われてハボックは目を丸くする。それでも興味が驚きを上回ってハボックはティワズに聞いた。
「教えたいことって何?」
「知りたいですか?」
「うんっ」
 剣にしろ体術にしろ、ティワズがハボックに教えてくれることは概ね楽しいことばかりだ。まあ、勉強はそうとばかり言えないが、誕生日パーティの席上、そんな変なことは言わないだろう。
「教えて、ティ」
 目を輝かせて言うハボックにティワズは笑うと答えた。
「では庭に参りましょう」
 そう言われてハボックは促されるまま庭へと出たのだった。

 たくさんの灯りが灯された城の中とは違って月の明かりだけに照らされた庭は真っ暗に見える。それでも目が慣れてくると月明かりひとつの庭は薄青く沈んで幻想的だった。それでもなんだか不安に駆られて思わずティワズのマントを掴めば、驚いて振り向いたティワズがフッと笑ってハボックの手を握ってくれた。そうして手を繋いだまま二人は庭の木々の間へと入っていく。城の騒めきは遠くなり、枝の間から灯りがチラチラと見えるだけになった。どこまで行くのだろうとハボックが思い始めた時、ティワズが足を止めて振り向く。夜の中、いつもより黒ずんで見える紅い瞳がハボックを見つめると言った。
「若。若も今日で15におなりです。ハイムダールでは15は大人と見なされる。王子である若にはこれからいくらでも婚姻の話が持ち込まれるでしょう」
「婚姻…」
 そんな事を言われて、ハボックは顔を顰める。まだそんな話は早いのに、とさっき思ったことをもう一度ハボックが考えているとティワズが続けた。
「ハイムダールは同性間の婚姻が認められた国。婚姻の相手が女とは限らない、そうでしょう、若」
「うん…って、えっ、オレに男から結婚の申込みとか来てるのっ?!」
 何となく相槌を打って、それからハタと気付いた事に目を見開いてハボックが聞けばティワズがクスリと笑う。
「将来来るかもしれませんが、今のところはまだです」
 そう言われてあからさまにホッとするハボックをティワズはじっと見つめると言った。
「ですが、来ないとは限りません。その時何も知らずに恥をかかずに済む様、今日は若に男とのセックスの仕方をお教えしようと思うのです」
「…え?」
 突然の言葉にハボックはポカンとしてティワズを見る。そのまだ幼さを残す表情にティワズは苦笑した。
「教えるってティが?」
「ええ、私が」
「オレ、ティと、その…セックスするの?」
「私が相手ではご不満ですか?」
 そう聞かれてハボックはティワズをまじまじと見る。端正なその顔は小さい時から見慣れたものであり、ハボックにとってティワズは誰よりも大切で大好きな相手ではあった。それでもセックスをするなどと考えたことはなく、ハボックはいきなりの話にボッと火がついたように顔を赤くした。
「ふ、不満なんか…ない、けど…」
 顔を赤くして俯くハボックにティワズは笑うと手を伸ばす。そっと抱き締めればハボックは恥ずかしそうにティワズの胸に顔を埋めた。静かな庭でドキドキと高鳴る自分の心臓の音だけが響く。そっと頬を撫でる指に顔を上げればそのまま唇をティワズのそれに塞がれた。
「ふ…んっ」
 ティワズの舌が歯列を割って口中へと侵入してくる。きつく舌を絡められ口内を弄られ、ハボックは思わずティワズの胸に縋りついた。
「ンッ…んふぅ…っ」
 深い口付けに上手く息が告げない。苦しさに縋りついた指が震え、カクリとハボックの膝がくず折れた。
「あ…」
 ティワズは片腕で少年の体を支えながらつけていたマントを外す。木の根元にふわりと敷くとハボックをその上に座らせた。ティワズはもう一度軽く口付けるとハボックのマントを外す。それを手近の木の枝にかけ、サッシュベルトを外し上着を脱がせるとそれも枝にかけた。
「若…」
 体を寄せて耳元でそう呼べばハボックの体が震える。ティワズはシャツのボタンを外すと白い肌に手のひらを這わせた。それと同時に首筋に唇を寄せ、きつく吸い上げる。
「アッ」
 ビクッと震えるハボックを宥めるように手のひらを這わせながら白い肌に唇を這わせていった。
「あ…ティ…っ」
「大丈夫…何も心配しないで…」
 不安げな声に答えてティワズが言う。肩からシャツを落とし、スルリと腕から引き抜くと胸の飾りへと唇を寄せた。ペロリと舌先で舐め、甘く食む。もう片方を指で捏ねればハボックの唇から熱い吐息が零れた。
「アッ…あんっ」
 自分が上げた甘ったるい声にハボックは驚いて口を手で塞ぐ。ティワズに胸を弄られる度体を走り抜ける甘い快感に、ハボックは嫌々と首を振った。
「ヤッ…ティっ」
「…気持ちよくないですか?」
「そ、じゃなく、てっ」
 弄られた乳首は夜目にも赤く色づき固く尖っている。ティワズが指先でこねればビクンとハボックの体が揺れた。
「ヤダ…ゾクゾクする…っ」
 ゆるゆると首を振るハボックに笑って、ティワズはわざと強く乳首をこねる。
「ヤッ…あんっ…ヤダ、って…言ってるの、にっ」
 拒絶の言葉とは裏腹に零れる吐息は甘く濡れていた。
「あ、あ…んっ…ンハァ…ハッ」
 ティワズはハボックの胸を弄りながらあちこちに唇を押し付ける。首に、肩に、腕に、胸に、脇腹に、幾つも綺麗な花びらが散っていった。
「はあ…あんっ」
 木の幹に体を預けてハボックが仰け反る。ティワズはハボックのズボンに手をかけると下着ごと引き抜いた。
「アッ!」
 スラリと長いハボックの脚がむき出しになる。その根元では立ち上がった中心がふるりと震えた。
「ヤダッ…ティっ」
 恥ずかしくて首を振ればティワズが優しく抱きしめてくれる。暫くの間そっと背を撫でていたが、ティワズは立ち上がると服を全て脱ぎ捨てた。ハボックの傍らに跪きその頬を両手で包む。月明かりに照らされた白い顔を見つめると優しく微笑んだ。
「若…好きですよ…」
「ティ…」
 ハボックが名を呼べば優しく口付けが降ってくる。何度も口付けを交わし、舌を絡めればハボックがうっとりとしたため息をついた。その蒼い瞳は熱に蕩けてティワズを見つめている。ティワズは一度体を離すと脱ぎ捨てた服の中から瓶を取り出す。蓋を開け中のクリームを指で掬うとハボックの脚を開き、その奥まった蕾に触れた。
「アッ!」
「大丈夫…私を信じて…」
 ティワズはそう囁くとハボックの唇に己のそれを重ねる。それと同時にクリームをつけた指を蕾へと潜り込ませた。
「んっ…」
 ビクッと震えてハボックの体に僅かに力が入ったが、ティワズは構わず沈めた指をクチクチとかき回す。違和感にハボックは眉を寄せて地面に敷いたマントを握り締めたが抵抗はしなかった。


「んっ…んっ」
 かき回す指にハボックは頬を染めビクビクと体を震わせる。かき回されるそこからじんわりと広がっていく熱に、ハボックの唇から零れる吐息も熱を増す。
「ティ…変、オレ…凄く熱い…」
「クリームに媚薬が入ってるんですよ…」
「び、やく…?」
 ハボックは呟いてビクッと体を震わせる。深く埋め込まれた指が探り当てた1点を掠めるたび、ハボックの体がビクビクと跳ねた。
「アッ…やっ…ティっ」
 腹につくほどそそり立った中心からは止めどなく蜜が零れる。ハボックは体の奥を弄られる快感に震えながらティワズの口付けをうっとりと受け止めていた。
「ふ…ぅん」
 いつの間にか増やされた指がハボックの奥を弄りハボックはビクビクと体を震わせる。急速に高まってくる射精感にハボックは嫌々と首を振った。
「ティッ…で、ちゃうっ…でちゃうよっ」
「いいですよ…一度イっておいた方がいい…」
 ティワズはそう言うと乱暴に指を蠢かす。ハボックは背を仰け反らせると大きく体を震わせた。
「アアッ…アアアアアッッ!!」
 びゅくびゅくと熱を吐き出すとハボックは荒い息をつく。ティワズの体に縋りつくと、真っ赤に染まった顔を埋めた。ティワズはハボックの顎を掬うとその唇に口付ける。ひとしきり舌を絡ませると唇を離し、優しく微笑んで言った。
「力を抜いていてください…」
 ティワズはそう言うと広げたマントの上に座り込む。ハボックの体を引き寄せ、自分の脚を跨がせるようにすると双丘を割り開き、そそり立つ己の上に引きつける。蕾に宛がい先端を馴染ませるように入口をつつくと、ハボックの体をゆっくりと引き下ろしていった。
「あ…」
 いきり立ったティワズの中心がハボックの蕾を押し開いて中へとめり込んでいく。ハボックはティワズの肩に手を置いて背を仰け反らせた。
「あ、あ、あ」
 みちみちと狭い器官を強引に開いて入っていく熱にハボックは目を見開き口を大きくあける。強張る体はティワズが侵入してくるのを拒んだ。
「若、力を抜いて…」
「い、たいっ…ティっ…くるし…っ」
「力を抜くんです…」
「イヤアッ…ッッ!」
 ポロポロと涙を流し、体を震わせるハボックを宥めるようにティワズは何度も背を撫でる。ハボックの顔にキスを降らせながらその中心に指を絡めるとゆっくりと扱き始めた。
「ンッ…」
 ピクンと震えたハボックの体から僅かに力が抜ける。それを見逃さずティワズは一気に己を埋め込んだ。
「アア―――ッッ!!」
 ハボックの唇から悲鳴が上がる。ティワズはハボックの腰を掴むと乱暴に突き上げ始めた。
「アッ…ヒィッ…アッアッ」
「若…私を見て…若」
 何度も呼びかければハボックが涙に濡れた瞳を向ける。ティワズは微笑んでその頬に口付けると言った。
「私の動きに合わせて…ゆっくりでいいですから体を揺らしてごらんなさい…」
「ティに、あわせて…?」
「そう…焦らなくていいですよ」
 そう言ってティワズはハボックを突き上げる。ハボックは荒い息を吐きながら必死にティワズにあわせて腰を揺らめかせた。
「アンッ…アッアッ」
「上手ですよ、若…」
「んんっ…ハアッ…アアンッ」
 だんだんとハボックの動きが激しくなり、ティワズの突き上げもきつくなる。最初は苦しかったそれが、いつしか快感へと代わり、ハボックの体を甘い疼きが支配し始めていた。
「アアッ…ティっ…ヤアッ…」
「若…っ」
「ヒアッ…ヒッ…アアンッ…」
 熱い内壁をすられるたびゾクゾクと背筋を何かが走りぬける。ハボックはふるふると首を振ると囁いた。
「イッ…アッ…な、に…これっ」
 そんなところに男を迎え入れて、体を支配する快感にハボックは怯えて涙を零す。ティワズは唇でそれを拭ってやると言った。
「怖がらないで…いいんです、それに身をまかせて…」
 じゅぶじゅぶと湿った水音が響き、互いの唇から熱い吐息が零れる。ハボックは背を仰け反らせて喘いだ。
「アッ…イ、く…イクッ!!」
 そう言った途端、そそり立った中心から迸った熱が二人の腹を濡らす。ティワズは達して弛緩する体を容赦なく突き上げた。
「ヒッ…イヤッ…アアッ」
 達したばかりで敏感な内壁を乱暴に擦り上げられてハボックは身悶える。瞬く間に再び射精感がこみ上げて、ハボックは啼き叫んだ。
「アッ…また、イっちゃうっ…ティっ…アアッ」
 啼きながら快感に身を震わせるハボックの姿にティワズはうっとりと微笑む。涙に濡れた頬に口付けを降らせながら言った。
「かわいいですよ、若…」
「ティっ…ティっ…アアアッッ」
 ハボックは高い悲鳴を上げると熱を吐き出す。止めどなく涙を流し喘ぐハボックの唇を塞ぐと、ティワズはガツガツと突き上げた。
「ンッ、ンンンッッ!!」
 埋められたティワズ自身が膨れ上がったと思うと、次の瞬間ハボックの中で弾ける。
「ヒャアアアッッ!!」
「わ、か…っ」
 身の内を熱く焼かれて、ハボックはその衝撃で気が遠くなった。力の抜けた体をティワズに預けていると優しい口付けが何度も降ってきて、ハボックはゆっくりと目を開いた。
「ティ…」
「大丈夫ですか?」
 そう言って汗に濡れた髪をかき上げる手が気持ちよくてハボックは頬を擦り付ける。暫くの間二人はそうして身を寄せ合っていたが、やがてティワズがゆっくりとハボックから身を引いた。
「あ…っ」
 ずるりと出て行く感触にハボックが小さく呻く。ティワズが抜け出た後はぽっかりと穴が空いたようで、その心もとなさにハボックは緩く首を振った。
「若。女性と違って男は子供を産めませんから、注ぎ込んだものをそのままにしておいたら体によくありません」
 ティワズはまだぐったりとしているハボックの背を優しく撫でながらそう言う。ハボックの瞳が自分に向けられるのを見ると続けた。
「本当はゴムを使った方が相手には優しいのですが、今回は後始末の方法も覚えていただかないと困りますからあえてつけませんでした…すみません」
 そうティワズが謝るとハボックが首を振る。
「ティのなら嫌じゃない…」
 そう呟いて頭をすり寄せてくるハボックを一度抱き締めるとティワズは体を離す。木の陰から籠を引っ張り出してくると中からタオルを取り出しハボックの脚を開かせその間に置いた。
「こんなの、置いといたの?」
「始末しに城に戻るわけにいかないでしょう?きちんと風呂に入るのは全部終わってからにして、とりあえず今は、ね」
 ティワズはそう言うとハボックの脚の間に手を入れる。
「力を抜いていて下さい」
 そう言うとつぷりと蕾に指を差し入れた。
「あっ」
 ビクッと震えるハボックを宥めるように優しく背を撫でながら続ける。
「始末をするときは手早く、相手に性的なものを感じさせないように」
「ンッ」
「お互いまたその気になったら困りますから」
 ティワズはそう言って注ぎいれたものを素早くかき出してしまった。濡れたタオルでハボックの体を清め、自分の身も拭くとハボックを見つめる。その頬を両手で包みそっと口付けると言った。
「落ち着いたら次のレッスンに進みましょう」
「次のレッスン?」
「はい。今度は若の番です」
 そう言うとティワズはにっこりと笑ったのだった。


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