| 幻想女神 第三十九章 |
| ロイは抱えていたハボックの躯をそっとベッドに横たえる。自分もベッドに上がるとハボックの躯に圧し掛かり上気した頬を撫でた。 「ハボック……」 愛しげに名を呼べばぼんやりと紗がかかったような空色の瞳がロイを見る。ロイはそんなハボックにうっとりと微笑んで言った。 「女性のお前も綺麗だったが、やはりお前はお前のままがいい」 「え…?」 「愛してるよ、ハボック」 ロイは囁くように言ってハボックに口づける。啄むように何度も何度も口づければ、いつしかハボックの腕がロイの背に回されていた。 「たいさ……」 さっきよりずっとはっきりとした光を宿す瞳がロイを見上げる。ハボックが引き寄せるようにロイの背に回した腕に力を込めればロイがハボックの唇に己のそれを重ねた。 「ん……ッ、んふ…」 ぴちゃぴちゃと舌を絡めあい、互いの口内を貪る。飲みきれなくなった唾液がハボックの唇の端から銀色の糸になって零れ落ち、シーツを濡らした。 「ハボック……」 ロイは合わせていた唇を離すとハボックの耳をゾロリと舐め上げる。わざとぬちゃぬちゃと音を立てて舌を這わせればハボックがピクピクと震えた。 「あ……んっ」 嫌々と逃げるように首を振るハボックの耳を追いかけ柔らかい耳朶に歯を立てる。甘い痛みにハボックは、ビクリと一際大きく体を震わせてロイを睨んだ。 「たいさっ」 「相変わらず弱いな、ここが」 楽しそうに言う男にハボックは頬を染める。紅く染まった頬にチュッとキスを落として、ロイはハボックの首筋に舌を這わせた。 「アッ」 女性の時よりずっと逞しくなった首筋にロイは躊躇わずに歯を食い込ませる。ズキンと走った痛みからじんわりと広がる快感に、ハボックは目を潤ませてロイを見た。 「ヒドい、噛んだ…ッ」 恨めしげに見つめてくる空色の瞳にロイはクククと喉奥で笑う。うっすらと血が滲むそこにねっとりと舌を這わせながら言った。 「やはりこっちの方がいいな。手加減しなくてすむ」 「なんスか、それっ」 楽しそうにとんでもないことを言うロイをハボックは睨む。 「それって、セックスのためだけに男でいた方がいいってことっ?」 何となく傷ついて涙ぐむハボックにロイは苦笑した。 「好きな相手を思う存分抱き締められる幸せを味わっていたんだが」 気に入らないか? そう聞いてくるロイにハボックはムゥと押し黙る。 「だって……なんか微妙」 正直なところロイは自分が女性のままでいた方がよかったのか、一体どっちなのだろう。ふと、不安になってぼそぼそと呟くハボックにロイは一瞬目を見開きそれからフッと笑った。 「どちらでも。お前がお前ならそれで構わない。私が愛しているのはジャン・ハボックという魂であって器は関係ないからな」 「大佐……」 言って笑うロイにハボックは目を瞠る。それからクシャリと顔を歪めるとロイにギュッと抱きついた。 「大佐……たいさ…っ」 「……とりあえず今はお前がちゃんと元に戻ったことを確かめさせろ」 私の錬金術の成果をな、と悪戯っぽく笑うロイにハボックも笑うと自分から口づけていった。 「たいさぁ……っ」 ベ ッドの上に座り込み、しどけなく脚を開いてハボックがロイを呼ぶ。開いた脚の奥で戦慄く蕾を長い指で掻き回されてハボックは喘いだ。 「も、いいっしょ?もう、散々確かめたじゃんッ!」 ちゃんと男に戻ったか確かめると言って、浴室でもたっぷりと嬲った挙げ句、寝室に来てからももっぱら指で嬲り続けるロイにハボックが言う。もどかしげに腰を揺らめかすハボックにロイが楽しそうに言った。 「もう散々確かめたからいい、と言うことはこれ以上確かめなくてもいいと言うことか?」 「な…っ」 ロイはそう言ってハボックの蕾から指を引き抜いてしまう。それ以上何もしようとしないロイをハボックは恨めしそうに睨んだ。 「アンタってどうしてそう意地が悪いんスか…ッ」 「苛めると楽しいから」 「はあっ?」 にっこりと極上の笑みを浮かべて言うロイにハボックは開いた口が塞がらない。信じられないと言う顔で見つめてくるハボックにロイは言った。 「いいじゃないか、お前が戻ったことを実感してるんだから」 「もっと素直に実感してくださいよ」 楽しそうなロイにハボックがげんなりとして言う。じっと見つめてくる黒曜石の瞳に、ハボックは一つ息を吐くとロイに向かって手を伸ばした。 「大佐ので確かめて……早くッ」 そう言ってベッドに座り込むロイの首にしがみつくようにして身を寄せれば、ロイが満足そうに笑う。ハボックは顔を赤らめながらもロイの腰を跨ぎ、そそり立つ楔の上にそろそろと腰を下ろした。 「あっ」 熱い塊がヒクつく蕾に触れれば反射的に体が逃げてしまう。そうすればロイの手がハボックの双丘を掴んで、蕾を押し開くようにして中指の先端を潜り込ませた。 「ダメッ!!」 ハボックはむずかるように尻を振って指を拒む。紅い顔でロイを睨んで言った。 「今挿れるとこなんスから邪魔しないでッ」 「そうか?それは悪かったな」 シレッとして言うと指を抜くロイに、ハボックは一つ息を吐くと腰を落としていった。 「あ、んっ!」 ぬぷ、と入り込んでくる楔の先端にハボックは喉を仰け反らせる。グググと狭い器官を押し広げて入ってくる塊に喘ぎながら、それでもハボックは一気に腰を落としてロイを飲み込んだ。 「ハアッ!ハッ……あ、ふ…ッ」 「大丈夫か?ハボック」 苦しげに息を弾ませるハボックに流石のロイも心配して声をかける。考えてみればこうして体を繋げるのも久しぶりなのだという事に気づいて、ハボックはロイを見つめた。 「へい、き…ッ!だってオレっ、ずっと大佐とこうシたかったんスもん…っ」 「ハボック」 そう言って笑うハボックにロイの中に愛しさがこみ上げる。それに呼応するように嵩を増す楔に、ハボックが首を振って喘いだ。 「やあっ、おっきくなった…ッ!」 「お前が可愛いことを言うからだ…ッ」 ロイは悔しそうに言うと噛みつくように口づける。きつく舌を絡めてハボックの口内を思う存分に味わうと、唇を離して言った。 「動くぞ」 そう宣言すると同時にハボックを思い切り突き上げる。いきなりガツンと最奥を突かれて、ハボックは悲鳴を上げた。 「アアッ!!ヒィッ!!」 ガツガツとロイはハボックを突き上げる。あまりに激しいそれにハボックが無意識に躯を浮かせて逃げようとすれば、ロイがハボックの腰を掴んで引き戻すと同時に下から突き入れた。 「ヒアアアアアッッ!!」 ガンッと脳天を殴られたような衝撃にハボックがびゅくりと熱を吐き出す。ビクビクと震える躯にロイは構わず更に楔をねじ入れた。 「ヒッ……!ま、待ってっ、待って、たい…ッ、アアアッッ!!」 グリリと前立腺を押し潰されてハボックの躯が跳ね上がる。硬直した躯が熱を吐き出さぬまま達したのだと気づいて、ロイは執拗に小さなしこりを突き上げた。 「…ィッ!……ヒ、ィ……ッッ!!」 強烈な快感にハボックは声を上げることもままならない。ガクガクと躯を震わせ見開いた瞳から涙を零すハボックをロイは愛しげに見つめてその躯をかき抱く。 「愛してる……ハボック…ッ」 合わせた唇を僅かに離して囁くと、抱き締めた躯の最奥に熱を叩きつけた。 何度も何度もハボックに熱を吐き出させ、熱く熟れた内壁を注ぎ込んだ白濁で濡らしてやる。たっぷりと注ぎ込んだ熱が犯され過ぎて締まりをなくした蕾からタラタラと零れ落ちる頃には、ハボックはベッドの上で指一本動かせなくなっていた。 ロイはぐったりと横たわるハボックの躯を抱き上げて浴室に連れていくと汗と涙と精液に塗れた躯を清めてやる。柔らかいタオルで包み込んだ躯を、もう一方のベッドに横たえるとそっと抱き締めた。 「…大佐?」 少しして眠ってしまったとばかり思っていたハボックの声が胸元から聞こえて、ロイはハボックの顔を見つめる。 「なんだ?」 と問いかければ閉じていた瞳が開いてロイを見つめた。 「あのね、風土病にかかった錬金術師の恋人、ちゃんと元に戻れたんスよ」 突然そんな事を言い出すハボックをロイは驚いたように見つめる。自分を見つめてくる黒い瞳にハボックはにっこりと笑って言った。 「ホントっスよ。声が聞こえたんス」 あの金色に輝く水の中で聞こえた声。あれは決して夢などではなかったのだとハボックは思う。 「そうか。ならよかったな」 「はい」 笑って抱き締めてくるロイに頷いてハボックがロイの胸に顔を埋めた時、部屋の電話がリンと音を立てた。 「………なんだ?」 漸く全てが終わって幸せの余韻に浸っているのにそれを引き裂くように鳴り響く電話のベルにロイは顔を顰める。思わず無視を決め込もうとしたもののしつこく鳴り響くベルに、ロイは渋々と起き上がると受話器を取り上げた。 「はい」 『マスタング様?外線をお繋ぎします』 フロントの女性の声がそう告げて回線が繋がる音がする。次の瞬間聞こえてきた声に、ロイはギクリと身を強張らせた。 『大佐、ホークアイです』 「ちゅっ、中尉っ?」 「えっ?!」 ロイの唇から零れた言葉にハボックも驚いて目を開ける。身動きもままならない躯を必死に起こして、受話器を握り締めるロイを見つめた。 「どうしてここが?」 『片っ端から電話をかけました。それで、大佐。ハボック少尉はどうなりましたか?』 微かに心配を滲ませる声にロイは一瞬目を見開く。それからフッと微笑んで答えた。 「私の腕を疑うのかい?中尉」 その言葉に無事ハボックが元に戻ったと察してホークアイは安堵のため息を漏らす。 『それを聞いて安心しました』 「すぐ連絡を入れずにすまなかった」 そう詫びるロイに『いいえ』と優しく答えたホークアイは、次の瞬間声色を変えて言った。 『それで大佐。こちらへはいつお着きになりますか?』 「……えっ?」 『既に休暇の一週間は過ぎております。書類も山ほどたまっておりますから一刻も早くお帰りいただきませんと』 何時に着くか判れば迎えの車を駅にやると言うホークアイの言葉に、ロイはチラリとハボックを見る。その視線に電話の内容を察してハボックが言った。 「オ、オレっ、すぐには動けないっス…ッ!」 「無理してでも動けっ!今すぐ帰らんと中尉が」 「アンタが調子に乗ってヤりまくるからっしょッ!!」 『大佐』 ハボックが喚けば受話器の向こうから冷ややかな声が聞こえる。 『少尉を担いででも、今!すぐ!戻ってらして下さい。いいですね?』 「判ってるともッ」 そう叫んで受話器を置けばハボックが紅い顔で睨んでくる。 「オレ、抱っこされて帰るなんて、ぜっったいに嫌っスからねッッ!!」 そう怒鳴るハボックに、もう一度ファントム・レディを飲んで貰おうかと思ってしまうロイだった。 2010/05/18 |
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漸く終わりました―っ!ハボ、女体化話。文章だと女体なんだか何なんだかよく判りませんが(苦笑)そもそも女体苦手な私がこの話を書く発端となったのは、某素敵さまでのチャットが切欠でした。「女体は書かないのですか?」と聞かれ「女体は苦手なので」とお答えした筈が、いつの間にやら等価交換で女体を書くことに。でも生来のニョは無理なので突発女体でならとこんな話になってしまったのでした(笑)それにしてもこの話、書き始めた当初は六章乃至八章で終わる予定でした。「ハボがニョになって、誰にも判って貰えないけどロイにだけは判ってもらえて、ロイが元に戻る薬を錬成してオシマイ」まあ六章は無理でも八章あれば終わるだろうと思っていたのですが……。ええと、三十九章?どんだけ枝葉が生い茂ってるんだか!!いやまったく自分でもちょっと信じられませんがー(滝汗)でもまぁ、書いている本人は楽しかったのですがね。ニョを書く機会はもうないだろうなぁ…。長々と書いてしまいましたが、お楽しみ頂けましたら嬉しいです。 |