親友疑惑  第七章


「あ……ああ……」
 喉を仰け反らせハボックはゆっくりとロイを飲み込んでいく。そんなハボックの腰をロイは両手で掴むと一気に引き下ろした。
「アアアアアッッ!!」
「まどろっこしいぞ」
「……オニッ!」
 涙目でロイを睨んで、ハボックは弾む息を整えようとする。だが、ロイはそんな暇など与えず、ハボックの腰を押さえ込んで乱暴に突き上げ始めた。
「ヒアッ!……ちょ……ッ、待って、待っ……!」
「待てんな」
 ハボックの懇願を一言の元に切り捨てて、ロイは一層きつくハボックを突き上げる。ガツガツと抉るように最奥を突き上げられてハボックは喉を仰け反らせて喘いだ。
「ハッ……ああんっっ……あっあっ……イイ……ッ!」
 ロイの肩に手を置き腰をくねらせて喘ぐハボックにロイは笑みを浮かべる。ハボックの腰を引き寄せるようにしてガツンと突き入れればハボックの唇から嬌声が迸った。
「ヒャアアアアッッ!!」
 そのまま激しく身悶える躯を揺さぶってやるとハボックが力なく首を振る。ロイの頭を抱えるようにしがみついてハボックが呟いた。
「すき……たい、さ……、好きッ」
 その声に応えるようにハボックを貫くロイの嵩が増す。熟れた内壁を押し開かれて、ハボックは苦しげに呻いた。
「くぅ……ッ、おっき……っ、壊れる……ッ」
 緩く首を振ってそう訴えながらも、ハボックの蕾が咥えたロイを喰いちぎらんばかりにキュウキュウと締め付ける。ロイは微かに顔を歪めながらも楽しそうに笑って言った。
「こんなにしておいてよく言う」
 貪欲に食らいついてくる小さい唇を、ロイは指先でグルリと撫でると己の楔に沿うようにしてグイと指を潜り込ませる。
「ヒィィッッ!!」
 乱暴な所業にハボックは目を見開いた。裂ける恐怖に小刻みに震える躯に構わず、ロイは指と己とで乱暴にハボックを突き上げた。
「アヒィッ!やめ……ッ!!裂けちゃうッ!!」
「嘘つきめ、萎えてないぞ」
 ロイの指摘通り、こんなことをされてもハボックの楔は萎えるどころか嵩を増し腹につくほどそそり立っている。先端からたらたらとイヤラシい密を垂らしながら喘ぐハボックを、ロイはガツガツと乱暴に突き上げグチョグチョと掻き回した。
「アッ……アアアアアッッ!!」
 高い嬌声と共にハボックがビュクビュクと熱を吐き出す。ロイは仰け反る白い喉にきつく噛みつくと、一際奥を抉ると共に熱を叩きつけた。

 何度も何度も求めあって嵐のような時間が過ぎ去ると、二人は互いを優しく抱きしめあう。ハボックの頭を胸に抱き込んで優しくその金髪を撫でていたロイは、躯を離すとベッドから降りた。
「大佐?」
 離れてしまった温もりにハボックが不満げにロイを呼ぶ。己の姿を追う空色に微笑むと、ロイは脱ぎ捨てた上着のポケットから指輪の小箱を取り出した。
「ハボック、これをお前に」
 そう言ってロイは小箱の蓋を開けてハボックに見せる。ベッドに身を起こしたハボックは、だが手を出そうとはしなかった。
「受け取れないっス」
「────何故だっ?」
 思いがけない言葉にロイは驚いて身を乗り出す。
「これはお前の為に誂えたと言っただろう?そりゃヒューズに店まで取りに行っては貰ったが、それは────」
「そういうことじゃないんです」
 慌てるロイの言葉を遮るようにハボックは言った。
「国家錬金術師で軍の要職にあるロイ・マスタング大佐から指輪なんて受け取れる筈ないっしょ?」
 そう言うハボックをロイは目を見開いて見つめる。そんなロイにハボックは笑みを浮かべて言った。
「気持ちは嬉しいっス。でも、指輪なんて」
 無理っスから、と笑うハボックにロイは眉間に皺を寄せる。見つめてくる空色をじっと睨んで言った。
「どうしても受け取れない?」
「受け取れません」
 きっぱりと言うのを聞けば、ハボックが絶対に受け取る意志がないのが知れる。暫くの間睨むようにハボックを見つめていたロイが、フイと顔を背けるように背を向けるのを見れば、ハボックは不安になってロイを呼んだ。
「大佐?」
 折角自分のためにと用意してくれた指輪を断ってしまった事でロイを怒らせてしまっただろうか。ボトムだけを身につけたロイの引き締まった背中を不安げに見つめていたハボックは、ロイが振り返ったのを見てホッと息を吐いた。
「大佐────なんスか?それ」
 ハボックは戻ってきたロイの手にあるものを見て首を傾げる。ロイはベッドサイドのテーブルに手にした紙を置くとその上に指輪を載せた。
「錬成陣?」
 記された紋様を見て言うハボックに答えず、ロイは手を突いて錬成陣を発動させる。パアッと明るい光が部屋を包み、それが徐々に消えた後に残った小さな銀色のものをロイは指で摘むとハボックに差し出した。
「イヤーカフ」
「これならつけていても大丈夫だろう?作戦中に光ったりしないよう燻しにしておいた。目立つ模様をつけるとまた何か文句を言われそうだからな」
「あ、内側になんか書いてある」
 つけてしまえば耳に当たって見えない部分に火蜥蜴の模様と共に小さく刻まれた文字を、ハボックは目を凝らして見つめる。その文字の意味が判ると、ハボックは顔を赤らめてロイを睨んだ。
「アンタってホント恥ずかしい」
「失礼な奴だな」
 そう言われてロイは眉を顰める。ハボックの手からイヤーカフを摘むと、ハボックの肩をグイと引き寄せた。
「ほら、つけてやる」
「えっ?あ……っ」
 拒む暇を与えずロイはハボックの左耳にイヤーカフをつけてしまう。冷たい金属の感触にハボックは首を竦めた。
「似合うぞ」
「なんかすっげぇ恥ずかしいんスけどっ」
 ハボックは隠すように手のひらを耳に当てて訴える。それでも満足げに自分を見つめてくるロイの黒曜石を見れば、外せとは言えなかった。
「髪、伸ばそうかな」
「なんだ、それは」
「だって」
 ハボックは紅い顔でロイを上目遣いに睨む。そんなハボックをロイは笑って引き寄せた。
「愛してるよ、ハボック」
「────オレ、もっ」
 益々真っ赤になりながらそう言うハボックに、ロイは覆い被さるようにして口づけていった。


2007/08/23
2012/10/08改訂


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この話を書いたのはなんと今から五年も前です(苦笑)多分今書いたら随分と違う話になった上、もっと長くなるかなと思います。最初は大々的に書き変えようかとも思ったのですが、これはこれでその当時の私らしくていいかなと思い、ほぼそのままの形でアップしました。それでもロイが誤解を解くシーンは多少書き換え、その後のエチと事後は大幅に書き換えて最初書いた一章分が三章分になってたりしますが(苦笑)ハボに対する昔と今の愛をミックスした話、少しでもお楽しみ頂けましたら嬉しいです。