| 純愛 chap.3 |
| 「中佐、こんな仕事は出来れば2度はお断りしたいですよ」 情報屋はロイの前に茶色い封筒を差し出すと言った。 「ネガも入ってます。処分はお任せしますんで」 そう言ってそそくさと立ち上がる。部屋を出る間際で振り返り、情報屋は言った。 「あたしね、あの准尉さん、すきですよ。何とかしてあげてください。あれじゃあんまりだ」 そう言って出て行く情報屋をロイは返す言葉もなく見送った。手渡された封筒に目を落とす。悩んだ末に封筒の中から写真を取り出すとそこに映し出されたものに目を向ける。 「…っっ」 息を飲むロイの手から滑り落ちたのは、メッケルに組み敷かれるハボックの写真だった。 それからの数日、ロイはあちこちにコンタクトを取り、いろいろと手はずを整えていった。数枚の写真と書類、そして小さな袋に入った白い粉状の物を手に取る。ロイはそこにいる筈のない誰かを睨みつけるように宙に視線を投げると席を立ち執務室を出て行った。 その日、情報屋はロイから渡された小袋を何人もの人物を経由してある人物の荷物に忍ばせる事に成功した。そうして自分は年に数十本しか出回らないという酒をホテルにいるハボックのもとへと持っていく。ロビーに呼び出されて下りてきたハボックににっこりと笑うと持っていた酒瓶をハボックに手渡した。 「アンタ、確か中佐の知り合いの…」 訝しげな表情を浮かべるハボックに情報屋は愛想よく笑う。 「准将閣下への贈り物ですよ。ある方からのね」 その言葉に一瞬不安げな光を宿すハボックの腕を叩いて情報屋は言った。 「大丈夫ですよ。きっと何もかも良い方向にいくようになりますから」 「それってどういう…」 尋ねるハボックの言葉を無視して、情報屋は掌をひらひらと振る。 「その酒、レア物ですから。美味いんで必ず准将閣下に飲ませてくださいよ」 そう言って足早に立ち去る男の後姿をハボックは言葉もなく見送った。 「何をしていた、さっさと来い。」 ハボックが部屋に入った途端、メッケルが苛々と言う。メッケルのイーストシティでの滞在は明日までだ。明日の昼前には南部へ帰らなければならない。メッケルはその前にハボックを味わいつくそうと、視察もそこそこに昼間からハボックをホテルへと連れてきたのだった。 「これを。准将への贈り物だそうです」 「誰からだ?」 「…この酒の香りを嗅げば思い出すそうですよ。ある女性の使いだという人が言ってましたけど。なんでしたら毒見しましょうか?」 そう言うハボックから瓶を受け取ると、メッケルはしげしげと手にしたそれを眺めた。正直その銘柄に記憶はなかったがその酒が大変貴重なものであることは判る。それにどう見ても未開封のそれに、メッケルの警戒心は緩んだ。 「毒見はいらん、どう見ても未開封だ。開けてくれ、二人の再会を祝って一杯いこう」 ハボックは瓶を受け取ると慣れた手つきで封を開き、取り出したグラスに酒を注いだ。ふわりと芳醇な香りが室内を満たす。 「毒見が必要ないなら、オレは遠慮します。一応、護衛の任務中なんで」 ハボックはそう言ってメッケルにグラスを差し出した。メッケルはグラスを受け取りながら下卑た笑いを浮かべる。 「護衛ね…とんだ護衛もいたもんだ」 そう言って手にしたグラスに口をつける。一口含んでメッケルは目を見開いた。 「ほう、これはたいしたものだ。准尉、本当にいいのかね?」 そう聞かれてハボックは首を振って答えた。メッケルはそんなハボックに戸棚から箱を取ってくるように言う。ハボックが持ってきた箱を受け取ると、メッケルはハボックに言った。 「服を脱いでベッドにあがりたまえ」 その言葉に僅かに顔を歪めるハボックにメッケルは傲慢に言い放った。 「上官命令だよ、准尉…」 ハボックは男のいやらしい顔を睨みつけたが、視線を外すと衣服を落としていった。ハボックが言われるままにベッドへ上がるのを見ると、メッケルはベッドサイドの引出しからクリームを取り出し、四つに這ったハボックの蕾へと塗りこめていく。びくんと震える体を楽しそうに見つめながら、暫くの間ハボックの蕾をぐちぐちとかき回していたが、乱暴に指を引き抜くと先ほどの箱の蓋を開けた。その中にはグロテスクな形をした男性器を模した張型が入っていた。メッケルが手にしたそれを肩越しに見たハボックは顔色をなくし、ベッドの上を這い上がった。だが、メッケルの手がハボックの足を掴むと強引に引き戻し、メッケルは張型をハボックの蕾へ宛がった。 「やめろっ!」 制止の声を上げるハボックに構わず、張型をハボックの中へと沈めていく。狭い器官をクリームの力を借りて、そのおぞましい物はずぶずぶとハボックの中へと入っていった。 「あ、あ、あ…っ」 温かみのない巨大なそれを無理矢理にねじ込まれて、ハボックの体が硬直した。震える指がシーツをかきむしる様につかみ、ハボックはまともに息をすることも出来ずにシーツに顔を埋めた。ハボックの中にそれをすっかり沈めてしまうとメッケルは箱の中から四角いものを取り出し、浅い息を吐くハボックに見せびらかすようにすると囁いた。 「准尉、まだまだお楽しみはこれからだよ」 そうして、手にしたリモコンのスイッチをカチリと押した。ブウ…ンと音がしたと同時にハボックの唇から悲鳴が迸った。 「ひああああっっ」 ハボックの中に深く穿たれたそれが、細かく蠕動しながらくねくねと動き回り、ハボックを犯していく。ぼろぼろと涙を零しながら喘ぐハボックを見下ろしてメッケルは楽しそうに笑った。ハボックの中心から白濁が迸るのを見て、意地悪く囁く。 「1人だけ楽しんではいかんな、准尉。上官の私を差し置いて、許されると思っているのかね」 そう言ってベッドの上に上がり、下肢を寛げるとびくびくと体を震わせるハボックの前に膝立ちになりハボックの髪を鷲掴んだ。 「しゃぶるんだよ、准尉」 メッケルは喘ぐハボックの口中へ己を強引にねじ込む。 「それを抜いて欲しければ私を満足させてみろ」 そうしてハボックの喉をぐいと突き上げれば、ハボックは苦しげに呻いた。 カーテンが引かれて薄暗い室内を、低いモーター音とぴちゃぴちゃと舌を這わす音、微かな呻き声とぐちゅぐちゅと淫猥な水音が満たしていく。ハボックはただもう、自分を犯すものを抜いて欲しくて必死にメッケルの物に舌を這わせた。メッケルはそんなハボックを見下ろすと、満足げに言った。 「たとえどこに行こうとも、お前は私から逃れられんのだよ、准尉。よく覚えておくことだ」 メッケルの言葉にハボックの胸を暗い絶望が満たしていく。胸の奥にいつしか芽生えていた大切な想いが、引き裂かれて行くのをハボックはぼんやりと感じていた。 口の中のメッケルがぐっと膨らんで熱を吐き出す。青臭い液体を必死に飲み下すと、ハボックは荒い息をついた。シーツに顔を埋めて息を整えると、メッケルを見上げてなんとか言葉を搾り出す。 「ぬ、抜い、て…くださ…」 息も絶え絶えに懇願するハボックを見つめながらメッケルはリモコンを手にすると笑みを浮かべた。 「ご褒美だよ、たっぷり味わうといい」 メッケルの指がリモコンについた強弱のコントローラーを強の方へスライドさせる。びくんと跳ね上がったハボックの唇から絶叫が迸った。 「あああああ――――っっ!!!」 体を仰け反らせて叫ぶハボックを尻目にメッケルはベッドを降りるとグラスを手にする。さっきは一口飲んだだけのそれを、一息に飲み干すとメッケルは満足げに笑った。ボトルから酒を注ぐと再び一息に飲み干す。グラスから唇を離すとメッケルは荒く息を吐いた。 「…?」 なんだか急に呼吸がせわしくなり、視野が狭まっていく。ベッドの上でもう声も出せずにぴくぴくと体を震わせるだけのハボックへ近づこうとしたが、メッケルはグラスを取り落とすとそのまま床へ突っ伏してしまった。 憲兵を連れたロイが靴音も荒く入ってくるのを、ホテルのロビーにいた人々は驚いて見つめる。慌てて飛び出してきた支配人に憲兵が一言二言言うと、支配人はマスターキーを差し出してきた。それを受け取るとロイ達は上へと上がっていく。目的の部屋の前に立つと、ロイはゆっくりとキーを差し込んだ。そっと扉を開けると薄暗い中を窺う。ばらばらと中へ駆け込んでいく憲兵を制してロイは寝室へ続く扉の前に立った。 「お前達はこの部屋の中を調べろ。私がいいと言うまでこちらには入ってくるな」 「しかし、中佐、危険では…」 「私を誰だと思っているんだね?」 引きとめようとする憲兵にロイはそう言った。ハッとした憲兵が敬礼を返すのをそのままに、ロイは寝室の扉に手をかけた。細く開けると体を中へ滑り込ませ、扉を閉じる。微かなモーター音が響く室内のベッドの手前に転がるメッケルの体を足で蹴飛ばすと、ロイは急いでベッドへと近づいた。ぐったりと横たわる人物の肩に手をかけて仰向かせる。 その涙に濡れた顔を覗き込んで、ロイは息を飲んだ。 「ハボック…っ」 そうしてハボックの体に埋め込まれたまま鈍い音を響かせるそれに気づくと怒りに唇を震わせた。 「よくもこんなことをっ」 ロイは張型に手をかけると、ハボックの体を傷つけないように注意しながらそれを引き抜いた。ハボックの唇から呻き声が漏れるのに、そのぐったりと力の抜けた体をかき抱く。ロイの瞳から涙が零れ、ハボックの髪に吸い込まれていった。 「すまない、ハボック…」 ロイは暫くそうしてハボックを抱きしめていたが、徐に体を離すと脱ぎ捨てられたハボックの軍服を拾い上げ、手早く着せていく。それからブランケットでその体を包むとロイはハボックを抱き上げた。足元に投げ捨てられた張型を目にすると、発火布を嵌めた指をすり合わせる。ボンッと音がして一瞬にして燃え尽きたそれに目もくれず、扉を開ける。一斉に振り向く憲兵達にロイは言った。 「奥にいる。連行しろ」 ばたばたと寝室へ駆け込んでいく憲兵達を置いて、ロイはハボックを抱いて部屋を出ていった。 |
→ chap.4 |