【caution】
このssではハボックがロイ以外の人物と意に沿わぬセックスをするシーンがありますのでそういうお話がお好きでない方はお避け下さい。


































純愛  chap.1



「口を開けたまえ、准尉」
 言われて嫌々あけた口の中へ男の滾ったものがねじ込まれる。金色の頭を鷲掴みにして無理矢理奉仕させると男はぶるりと体を震わせてその口内へと青臭い液体を吐き出した。逃げようとする頭をぐいと引き寄せて、放ったものを飲み込むよう強制する。なんとか喉の奥へ飲み込んだのを見届けると、男は手を離した。ベッドに腰掛ける自分の前に跪いて、咳き込む相手の顎を掴むと上向かせる。その冷たい空色の瞳を覗きこむと下卑た笑いを浮かべた。
「服を脱いでベッドに上がるんだ」
 空色の瞳に一瞬浮んだ抵抗の光はすぐに消えて、言われるままに衣服を落とすとベッドに上がり四つに這う。男は目の前に晒された下肢に手を這わすと、双丘を割り開き奥まった蕾へと指を差し入れた。潤いのないソコへ強引に差し入れられて、空色の瞳が苦痛に歪む。ぐちぐちと乱暴にかき回されて、シーツを掴む指が小刻みに震えた。
「どうした、痛いのか?泣き喚いてもかまわないぞ」
「…だ、れが…っ」
 苦痛に乱れる息を押し殺して勝気な答えが返るのを、男は楽しそうに聞いていた。乱暴に指を引き抜くと滾る自身を押し当てる。息を飲む相手の腰を押さえつけると、まだ堅く閉ざしたままのソコへ一気に熱を埋め込んでいった。
「あ、あああああっっ!!」
 引き裂かれる痛みに、耐え切れない悲鳴が堅く噛み締めたはずのハボックの唇から零れた。


 もうだいぶ夜も白んできた頃になって、ハボックは漸くアパートに帰り着いた。扉を開けて中へ入ると壁に寄りかかってため息をつく。
「…好き勝手しやがって、あのエロオヤジ…」
 壁づたいに手をついて浴室まで来ると服を脱ぎ捨ててシャワーのコックを開いた。熱い湯を頭から被りながら下肢にこびり付いた汚れを流していく。そっと脚の間に手をやると奥まった蕾へ指を沈めた。
「くっ…つうっ…」
 酷く傷ついたそこは微かに触れるだけでも激痛が走り、ハボックは顔を歪めて壁に縋りついた。それでもなんとか呼吸を整えると、差し入れた指で中に残されたものをかき出していく。とろとろと鮮血の混じった白濁した液がハボックの脚を伝って零れ落ち、湯と混じって流れていった。全てかき出してしまうと、ハボックは両手を壁について荒い息をついた。そうして暫く立ち尽くしていたハボックは、徐にスポンジを泡立てると乱暴に体を洗っていく。皮が剥けてしまうのではないかと思うほどごしごしと体中を洗ったハボックは、泡を全て洗い流しシャワーを止めるとのろのろと浴室から出た。
 部屋着を身につけ浴室から出ると、タオルでがしがしと髪を拭きながらリビングへと向かう。途中、棚の上に置いた紙を取るとソファーに腰掛け、畳んだ紙を広げた。
「東方司令部司令室付護衛官を任ずる、か…」
 ハボックはテーブルの上にその書類を放り投げると背もたれに寄りかかる。
「今度はもう少しましな上司に当たりたいもんだ…」
 そう呟くとハボックはため息をついて、ゆっくりと目を閉じた。


「今日は確か新任の護衛官が着任するのではなかったかな、少尉」
 ロイにそう問われてホークアイが時計を確認する。
「はい、南方司令部の方から本日付でこちらに転属になっているはずなのですが」
 遅いですね、と呟くホークアイにロイは眉を顰めた。
「護衛官のくせに遅刻するとはいい度胸だな」
 ロイは執務室の椅子の背に寄りかかると腕を組む。自分が人を待たせるのは一向に気にならないが、自分が待たされるのは我慢ならない。苛々と指で腕を叩くロイに苦笑して、ホークアイが様子を見ようと執務室を出ようとした時、コンコンとノックする音が響いた。
「入れ」
 ロイが入室を許可すると同時に執務室の扉が開いて、金髪の長身の男が中へ入ってくる。男はロイに向かって敬礼すると口を開いた。
「本日付で東方司令部司令室付護衛官として着任いたしました、ジャン・ハボック准尉であります」
 ロイは立ち上がると長身の男を見上げて言う。
「ロイ・マスタング中佐だ。こちらはリザ・ホークアイ少尉」
 冷たく見下ろしてくる空色の瞳を見返してロイは薄っすらと笑った。
「初日から遅刻してくるとはいい度胸だな、准尉」
「申し訳ありません、サー。広くて迷いました」
 情けない理由を平気で口にするハボックをロイは面白そうに見つめる。
「…まあ、いい。これから市内巡回に出かける。一緒について来い」
「中佐、その護衛は私が…」
 ロイの言葉に慌ててそう言うホークアイを制してロイは言った。
「行くぞ、准尉」
「Yes, sir!」
足早に部屋を出て行くロイの後を、ハボックは追う様に執務室を後にした。


 晴れ渡った空の下、ゆっくりと車を走らせるハボックにロイは声をかけた。
「イーストシティには来た事があるのか?」
「出張で2度ほど…です」
「ではとっとと慣れろ。司令部の建物内で迷うようなヤツでは護衛に使えん」
「精進します」
 堅苦しく答えるハボックにロイは笑みを浮かべる。
「なんだか喋りにくそうだな」
「…敬語、苦手なんス」
 参ったというように答えるハボックにロイはくつくつと笑う。
「仕事が出来れば些少のことは気にしない」
 そう言うロイをハボックは意外そうにルームミラー越しに見つめた。
「どうした、おかしいか?」
「いえ、そんなこという上司には初めてお目にかかったっつうか…」
「煙草も吸いたければ止めんぞ」
「…なんで判ったんスか?」
「それだけ煙草の匂いをさせといて何を言ってる」
 呆れたように言うロイに、ハボックは肩を竦めた。そのとき、ロイが突然車を止めるように言う。慌ててハボックがブレーキを踏むと、ロイはさっさと車を降りてしまった。
「ちょっ…中佐っ!」
 急いで後を追うハボックを尻目にロイは通りに面した菓子屋に入っていく。ハボックが一瞬入るのを躊躇する間に可愛らしい内装の店内へと足を進めたロイは、居並ぶ女性達に混じって菓子を買うと店の外へ出てきた。呆然と見つめるハボックににやりと笑うと袋の中からチョコでコーティングされた菓子をつまみ出すと口に放り込んだ。
「月に2度の限定販売のお菓子なんだ」
「アンタねぇ…」
 そういいながらすたすたと車に戻るロイにハボックは呆れたため息を零した。
「お前も食べるか?」
「…甘いもんは苦手です。」
「覚えておこう」
 後部座席にロイが座ると、ハボックは車の扉を閉めた。運転席に回ってハンドルを握るとルームミラーで菓子を頬張るロイをちらりと見やる。ゆっくりと車を発進させるとこっそりとため息をついた。
(変わってんな…)
 これまでとは全く勝手の違う上司にハボックは酷く戸惑うのだった。

「アンタ、普段何食ってるんです?」
 ハボックはロイの家の中へ頼まれた本を運び込んだついでに、飲み物を取ってくれと頼まれてあけた冷蔵庫の中身を見て、呆れた声を上げた。冷蔵庫の中はミネラルウオーターのボトルの他は酒が数本とつまみと思しきパックが数個入っているだけだ。
「家ではあまり食べないな」
 ハボックが注いでくれた水のグラスを受け取りながらロイが答える。
「外食?」
「…したり、食べなかった。」
「食べないって…」
「本読んでると、食べるのを忘れる」
「アンタねぇ、軍人なんスから、体作んのも仕事でしょうが」
「食べる時に纏めて食べるからいいんだ」
 そう答えながら、早速本を広げるロイにハボックは呆れてため息をついた。
 東方司令部に着任してそろそろ1ヶ月。焔の錬金術師と名高いこの上司が意外にいい加減で、サボり癖があることも、存外部下には甘いことも、しっかりしているようで、じつは結構うっかり屋であることもハボックにはわかってきた。そして、この一癖も二癖もある上司の下で働くことが、意外に自分に向いていることも。ハボックはリビングの入り口に手をつくと、本を読むロイに話しかけた。
「アンタ、好き嫌い、あります?」
 不思議そうな顔をして見上げてくるロイにハボックはちょっと顔を赤らめて言葉を続けた。
「シチューとか、嫌いじゃなければ作りますけど」
「お前が?」
「こう見えても料理、得意なんスよ」
 ハボックの言葉に一瞬目を瞠ったロイは、すぐに笑うと頷いた。
「食べさせてくれるのか?」
「お望みとあらば」
 そう答えるハボックにロイは嬉しそうに笑う。
「お望みだ、ハボック」
「かしこまりました」
 一礼してそう答えると、ハボックは笑って「買出しに行ってきます」と家を出た。


→ chap.2