偏愛  第四章



「久しぶりだな、ロイ。珍しく真面目に仕事してるじゃないか」
 執務室のソファーにどっかりと腰を下ろしてヒューズはそう言った。それから首をぐりぐりと回すとやれやれとため息をつく。
「どこに行っても人使いが荒いのは変わんねぇよな。ああ、疲れた…」
「なんだ、年寄り臭いな」
 ぼやくヒューズにロイは低く笑う。ヒューズはそんなロイを見つめて言った。
「お前は何やら楽しそうだな。なんかイイコトでもあったか?」
「まあな」
「なんだよ、教えろよ」
 意味深に笑うロイにヒューズが不貞腐れた声を出す。だがロイは笑うばかりで答えなかった。そんなロイを面白くなさそうにヒューズが睨んだ時、ノックの音と共にハボックが執務室に入ってきた。
「失礼します。コーヒーをお持ちしました」
 そう言ってヒューズの前にコーヒーを差し出すハボックを何気なく見つめて、ヒューズはぎくりとした。
(コ、コイツ、こんなに色っぽかったっけ?)
 ふいと上げたハボックの空色の瞳から漂う秋波にヒューズはごくりと唾を飲み込む。
「ヒューズ中佐?」
 その色の薄い唇が紡ぐ自分の名にぞくりと体が震えて、ヒューズは慌ててカップを引っつかむとガブリとコーヒーを口にした。
「あっちいっっ」
 喉を焼く液体を必死に飲み干して叫ぶヒューズをハボックは目を丸くして見つめる。
「何やってるんスか。あーあ、染みになっちまいますよ」
 ハボックはそう言うとポケットからハンカチを取り出してヒューズの軍服に飛び散ったコーヒーを拭った。自分の鼻先に揺れる金色の髪にヒューズは心臓が口から飛び出しそうになり、そんな自分を必死に宥める。
「早めに洗った方がいいっスよ」
 ハンカチをしまいながら微笑んでそう言うハボックに、ヒューズはがくがくと頷いた。そんな2人をロイの昏い瞳が見つめている事にハボックは全く気がつかなかった。


 将軍に話があるからとヒューズが出て行ってしまうと、ロイはハボックを執務室に呼んだ。
「なんでしょうか、大佐」
 てっきり仕事の話だろうと執務室にやってきたハボックは、ロイの口から出た言葉に目を瞠る。
「そんなにヒューズに興味があるのか、お前は」
「…え?なんのこと…」
「とぼけるな、ヒューズを誘惑してただろうが。」
 突然そう決め付けられてハボックはびっくりして言葉を失う。
「全く、お前のように誰にでも脚を開きたがるヤツは躾直さないといかんな」
「なっ…ちょっと、待ってくださいっ」
 ヒューズを誘惑したつもりなど全くないハボックにとって見れば、ロイが言うことは全くの言いがかりだ。だが、慌ててロイを宥めようとするハボックの態度はむしろ逆効果だった。
「オレ、中佐を誘惑なんて…」
「黙れ」
 ロイはぴしゃりと言いきるとハボックの腕を取り俯せにソファーに押さえつけた。そうしてハボックのズボンに手をかけると引き摺り下ろして下肢をむき出しにする。
「たいさっ?!」
 突然の事にハボックは驚いて身を捩るが、後ろ手に押さえ込まれた体はびくともしなかった。怯えて肩越しにロイを見上げるハボックにロイは冷たく笑うと、手の中のものをハボックに示した。
「きっちり躾けなおしてやる」
 ロイはそう言うと手にした卵型のものをハボックの蕾に押し当てる。びくんと震えるそこに唾液を流し込みながらロイは卵形のバイブをハボックの蕾に沈めていった。
「ひ…や…やめてっ」
 冷たい塊りが自分の中に押し込まれる感触にハボックは総毛だって喘いだ。くちゅんと中に飲み込んでしまうとハボックの蕾は微かに蠢きながらもその口を閉じてしまう。がくがくと体を震わせるハボックを冷たく見下ろしながらロイは手にしたリモコンのスイッチを入れた。
「ひああっっ」
 ぶん、と低い音がしてハボックの中に埋め込まれたバイブが振動を始める。背を仰け反らせて震えるハボックの体を表に反すと、まださほど反応を示していないその中心にロイはリングをはめた。
「ヒューズを誘惑したイヤらしい体を躾けなおしてやる。」
 ロイはそう言うとハボックの体から身を離した。ずるずると床に滑り落ちて、ハボックはぶるぶると震える体をかき抱く。
「今日一日そのままで過ごせ」
 冷たく放たれたその言葉に、ハボックは信じられないと言うようにロイを見上げた。
「そ、んなっ」
 低く響くバイブに刺激されてハボックの中心は硬くそそり立ってきていた。もう少しすれば根元にはめられたリングがハボックを苦しめる事になるだろう。
「はずして…はずしてください…っ」
 ロイの脚に縋りついてハボックが懇願する。だがロイはそんなハボックを冷たく見下ろすと言った。
「お前が誰のものか、しっかりその身に思い知るがいい」
 ロイはそういい捨てるとハボックをそのままに執務室を出て行ってしまう。ハボックは無情にも閉ざされた扉を見つめて呆然と座り込んでいた。


「…っ」
 ハボックは書類を書いていた手を止めてそっと息を吐き出した。一体あれからどれだけ時間が過ぎたのか、あまりに進むのが遅い時計の針に、ハボックの中ではもう時間は何の意味もなさなくなってきていた。ハボックの中に埋め込まれたバイブが絶え間なくハボックを攻め立て、張り詰めた自身に根元のリングは食いちぎらんばかりに食い込んでいた。目の前が快楽に霞んで、何を書類に書き込んでいるのかすらさだかではない。ともすれば荒くなってしまいそうな呼吸を必死の思いで宥めているハボックの耳に、フュリーの声が聞こえた。
「…え?」
 何を言われているのか咄嗟には理解できずにハボックはぼんやりとフュリーの顔を見返す。そんなハボックにフュリーはもう一度繰り返した。
「なんだか顔が紅いですけど、大丈夫ですか?」
 心配そうに見つめてくるフュリーにハボックは引きつった笑いを浮かべると答える。
「別になんともないよ…それよりちょっと暑くないか、この部屋」
 ハボックの言葉にフュリーは部屋を見回した。
「そうですか?むしろ涼しいくらいだと思いますけど」
 フュリーはそう言うと熱でもあるんじゃ、とハボックを気遣う。そんなフュリーにハボックは「なんともないから」と必死に言い募るのだった。


「あっ…ああ…っ」
 ロイに続いて玄関の扉をくぐった途端、ハボックはその場にくずおれた。荒い息を零し床に這い蹲るハボックの顎を掴むとロイはその視線を上げさせた。
「どうだ、ヒューズを誘惑したことをたっぷり後悔したか?」
 冷たく見つめる黒い瞳にハボックは唇を震わせると必死に答えた。
「オレ…中佐を誘惑なんて…」
 囁くように言うハボックにロイは眦を吊り上げるとハボックの股間を蹴り上げた。
「ひああっ」
 張り詰めたソコを蹴られて、ハボックはのた打ち回る。ロイはハボックの髪を掴んでその目を覗き込むと繰り返した。
「後悔したか?」
 ハボックはロイの昏く燃える黒い瞳を見つめて掠れた声で答える。
「ごめんなさい…もう、しません…」
 だから赦して、と縋るハボックの腕を掴んで立たせると、ロイはハボックを引き摺るようにして歩き出した。そのまま2階に上がると寝室に入り、ベッドの上にハボックを突き飛ばす。もう体を起こす気力もないハボックの服を引きちぎるようにして脱がせると、自身も服を脱ぎ捨てハボックの顔の上に跨った。その唇に自身をねじ込むと無理矢理にハボックの口を犯していく。
「う…ぅふ…」
 蕾を埋め込まれたままのバイブに犯され、口に滾るロイを突き入れられ、ハボックは涙を零して喘いだ。リングで縛められた自身は真っ赤に膨れ上がり、ハボックを苦しめる。それでもハボックは口を犯すロイ自身に必死で舌を絡めて奉仕した。そんなハボックの様子にロイは満足げに笑うとより一層深くハボックの口中に突き入れる。喉の奥を犯されて吐きそうになりながらも尽くすハボックの、自身を戒めるリングを外すと同時にロイはハボックの喉奥に熱を吐き出した。
「―――ッッ!!!」
 口中に熱いロイの白濁を受け止めながら、ハボックはようやく戒めを解かれた自身から大量の熱を吐き出す。目を見開いてびくびくと体を震わせながらハボックはその身を白く汚されていく。
 見開いた空色の瞳にロイの黒いそれが映し出されて。
 ハボックは恍惚とした表情を浮かべると、昏く沈んだ快楽と狂気の中へその身を投じていった。


2007/1/31


ええと…。ここまでついてきてくださった方がいるのか不安ですがー。先日拍手リクで黒ハボを書いたら黒ロイを無性に書きたくなってしまい、思わず大暴走を…(汗)黒ハボはどっちかって言うと言葉でネチネチ虐めてましたが、黒ロイ…もうホントにヘンタイエロオヤジと化してますね。スミマセン…。ハボはハボですっかりM入ってますしね…。すみません、すみません(滝汗)しかし、この話、書こうと思えばいくらでもイケそう…。つか、止まらなくなりそうなので一応、ここで打ち止めにしてみました。でも、エロ細胞が止めどなく増殖している今、続きを書いてしまいそうな自分がコワいですー。やめとけ、いい加減。それにしてもロイハボはイロモノが多いですね、ははは(滝汗)


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