| 偏愛 第三章 |
| 「隊長、最近下士官用のシャワールーム、使わないですね」 訓練が終わった後、部下の一人から何気なくそう言われて、ハボックはぎくりと身を強張らせた。 「そう言えばそうっすね。前は下士官用のほうが気楽とか言って俺達と一緒に使ってたのに」 他の部下に追い討ちをかけるようにそう言われ、ハボックは力なく笑うと答えた。 「最近、忙しくてさ…。お前らと一緒にシャワー使ってるとのんびりしちゃうから…」 ハボックはそう言いながら自分の左胸をそっ押さえる。誰かと一緒にシャワーなど使えるはずがなかった。その身に刻まれた所有の証、ロイの火蜥蜴の紋章を誰かに見られるわけにはいかない。ハボックがそう思って唇を噛みしめた時、後ろから声がかかった。 「どうした、シャワールームの前でたむろして」 声の方向を振り向いた途端、部下達の背筋が伸びる。 「たいさ…」 「どうしたんだ、一体」 薄っすらと微笑んで尋ねるロイに部下の一人が答えた。 「最近、隊長と裸の付き合いをしてないって話をしてましたっ」 「裸の付き合い?」 「はいっ、前は一緒に下士官用のシャワールームを使ってたのに最近は使わないって話です」 緊張しながらもそう言う部下の言葉にロイはハボックを見つめた。 「そうなのか、ハボック」 なんでもないようにそう聞くロイに、ハボックは手を握り締めると小さな声で答える。 「ソイツらとのんびりシャワー浴びてる時間、ないんで」 忙しいんです、と言うハボックにロイは言った。 「シャワーをつかうくらいの時間、たいしたことはないだろう。一緒に浴びてきたらどうだ?」 楽しそうにそう言うロイをハボックは信じられないものを見るように見つめた。震える体を必死に宥めながら絞り出すように答える。 「ホントに忙しいんスよ…僅かな時間も惜しいくらい」 それじゃ、とハボックはロイの脇を擦りぬけその場から逃げだした。冷てぇよなぁ、などとぼやく部下達の声を背中で聞きながら、縺れそうになる足を必死に動かして廊下を駆けていく。ようやく脚を緩めると、ハボックは壁に手をついて荒い息を吐いた。目をぎゅっと瞑って落ち着こうと自分に言い聞かせていると、いきなり背後から腕を掴まれた。 「っっ?!」 驚いて振り向いたソコにはうっすらと微笑むロイの姿があった。そのままグイと腕を引かれ、手近な会議室に押し込まれる。カチリと鍵を閉めると、ロイはハボックに言った。 「どうした、見て貰いたかったんじゃなかったのか?」 楽しそうに笑うロイにハボックはくってかかる。 「アンタね…っ」 よくもそんなこと、と吐き出すように呟くハボックに歩み寄ると、ロイはいきなりハボックの股間を掴んだ。 「っっ!!」 すでに熱く滾っているソコにロイはくくっと笑う。 「どうした、見られることを想像したら興奮したか?」 「ちがうっ」 「じゃあ、コレはどういうことだ?」 ぐっと握りこまれてハボックは悲鳴を上げた。ロイはハボックの体を引き寄せるとその耳元に囁く。 「見て欲しかったんだろう。お前が私の所有物だという証を…。イヤらしいと詰られたかったんだろう…?」 甘く吹き込まれる声にハボックは息を弾ませた。 「ハボック…?」 ロイに名を呼ばれてハボックは苦しげに目を閉じると微かに頷いた。確かにさっき、ロイが一緒にシャワーを浴びてくればいいと言った時、ハボックの体を甘い痺れが走った。部下達にその身に刻まれた印を見られ、詰られる自分を思い浮かべ、その昏い快感に射精しそうになるのを必死に耐えたのだ。ハボックは目を開くと、震える唇でロイを呼んだ。 「たいさ…っ」 「なんだ?」 意地悪くそう聞くロイにハボックは下肢を押し付ける。 「判ってるくせにっ」 「判らないな」 冷たくそう言ってのけるロイをハボックは悔しそうに見つめた。そうして振り絞るようにして囁く。 「ほしい…っ」 そう言ってロイの耳の付け根に舌を這わせるハボックをロイは満足そうにみつめた。そうしてハボックの体を離すと会議室のテーブルに腰をひっかけた。 「私が欲しいなら、ズボンを脱いで自分で解せ」 そう言うとロイはテーブルに両手をついて背後に体重をかけ脚を組む。嬲るような色をその黒い瞳に浮かべて自分を見つめるロイを、ハボックは唇を震わせて睨み返したがふいと目を逸らすと諦めたように一つため息をついた。そうして軍靴を脱ぎ捨てるとズボンに手をかけ下着ごと一気に引き下ろす。軍靴の上に投げ捨てるとハボックは、テーブルの上に浅く腰かけた。ロイに向かって大きく脚を開くと自分の指に舌を這わす。ハボックの中心は既に頭を高くもたげとろとろと先走りの蜜を零していた。たっぷりと唾液を塗すと、ハボックは自分の指をぐっと蕾へと沈める。硬い入り口を丁寧に解すと根元まで指を埋め込み、ぐちぐちとかき回した。 「んっ…ふぅ…」 ロイの視線を痛いほど感じながらハボックは沈めた指を出し入れする。中心から垂れてきた蜜でしとどに濡れたソコは粘着質な水音を立てて卑猥に蠢いた。 「あ…くぅ…んんっ」 ハボックは片手で蕾を乱暴にかき乱しながら、もう一方の手の指を口の中に差し入れる。指で舌を挟んでぐりぐりともてあそべば、唇の端からは含みきれない唾液がとろりと溢れてハボックの軍服の襟を汚した。 「う…んくぅ…は…っ」 自身で蕾をかき回し、唾液を垂れ流しながら腰を揺らめかせるハボックの姿にロイはくくっと笑うと囁く。 「お前のその姿を小隊の連中に見せたらなんと言うのかな。イヤらしいと蔑むのか、それとも…」 ロイの視線がハボックの快楽に霞んだ視線と絡まって。 「犯したいと思うのか…」 「あっあああっっ」 ロイが低く囁くと同時にハボックの中心が白く爆ぜる。びくびくと体を震わせて白濁を撒き散らすハボックに歩み寄ると、ロイはその顎を掴んだ。 「まったく、はしたないヤツめ。そんなに私以外の男を咥え込みたいのか?」 「ちが…ちがう…っ」 「じゃあこれはなんだ」 ロイはそう言うと達したばかりのハボックの中心を握り締めた。 「ひっ!」 熱を吐き出して神経がむき出しになったように敏感なソコをぐっと握りこまれて、ハボックは苦痛に背を反らす。握りつぶされる恐怖にハボックはすすり泣きながら赦しを乞うた。 「ご、ごめんなさい…ゆるして…」 ハボックは沈めた指で己の蕾を割り開くと消え入りそうな声で囁く。 「たいさの…ここに挿れてください…たいさのが…ホシイ…っ」 そう言って腰を揺らめかすハボックからは凄まじい色香が漂っていた。ロイは満足げに笑うとハボックの脚を押し開く。そうしてひくつく蕾に己を押し当てると一気に貫いた。 「ヒッ…ひああああっっ!!!」 悲鳴を上げて仰け反るハボックを突き上げながらロイは囁いた。 「そんなでかい声をあげると誰か来るぞ」 それとも呼んでるのか、と意地悪く聞かれてハボックはふるふると首を振る。 「あっ…あんっ…た、いさぁっ」 ハボックは腰を揺すりながらロイに縋りついた。 「う…んっ…はっ…イイッ」 もっと、とうわ言のように呟くハボックを深く穿ちながらロイはうっとりと笑った。 |
→ 第四章 |