| 偏愛 第二章 |
| 「明日は非番だったな、お前は」 家に戻って交代でシャワーを使った後、ロイにコーヒーを差し出したハボックはそう言われて頷いた。 「大佐は午前だけでしたよね」 「ああ」 コーヒーに口を付けるロイの顔をハボックは期待に満ちた目でそっと見つめる。初めてロイをその身に受け入れて以来、ほとんど毎日のように抱かれたハボックは、今ではロイなしではいられない体にされていた。明日、非番なら多少の無理は構わないだろう。そう思うとハボックは体が期待に打ち震えるのを感じる。ロイはハボックが物欲しそうな目で自分を見つめているのに気がつき、内心ほくそ笑んでいた。だが、表にはそれを出さずに平然とコーヒーを飲み続ける。近くに置いてあった本を手に取り、ページを捲れば、ハボックが焦れたようなため息を零した。 「どうした?」 わざと殊更なんでもないようにそう問いかければ、ハボックが責めるような視線を向ける。くすりと笑えばハボックは悔しそうに顔を歪めた。 「意地悪っスね、アンタ」 「なにがだ?」 「判ってるくせに」 ハボックはそう言うと立ち上がってロイのところへくるとその前に跪いた。そうしてロイの前をくつろげるとロイ自身をそっと取り出す。ぺろりと先端を舐めるとゆっくりと舌を這わせ始めた。双球をやわやわと揉みしだきながら、唇全体でロイ自身を擦り上げる。舌先で先走りの蜜を零し始めた先端の穴をくりくりと押し広げ、じゅぶじゅぶとしゃぶった。 「美味いか?」 笑いを含んだ声でそう聞かれ、ハボックは上目遣いにロイを見ると微かに頷いた。口の中でロイ自身を転がし、喉の奥で締め上げる。イヤらしい水音とハボックの荒い息遣いが部屋の中に静かに広がって、ロイは楽しそうにハボックを見下ろした。僅かに眉根をよせて必死にロイに奉仕する様は、昼間の健康的なハボックの姿を知る者からはとても想像がつかないだろう。ロイはそんなハボックに満足げに嗤うとハボックの金色の髪をぐいと掴んだ。 「随分覚えたな。今日は褒美にいい事をしてやろう」 ロイがそう囁けば、ハボックの欲に濡れた瞳が期待に揺れる。くくく、と嗤うとロイは、ハボックの髪を引き掴んで立たせ、その唇に口付けた。 「脱げ」 寝室に入るとロイはハボックにそう告げる。ハボックはシャツを脱ぎ捨てるとズボンに手をかけた。 「たいさ…電気…」 煌々と照らされた室内に流石に羞恥を煽られてそう言ったが、腕組みをして壁に寄りかかったまま自分を見つめるロイに、ハボックはそっとため息をつくと下着ごと一気にズボンを脱いだ。 「ベッドに上がってこちらに背を向けろ」 そう言われてハボックはベッドに上がるとロイに背をむけてぺたんとベッドに座り込んだ。背後から近づく気配に何をされるのだろうと、不安げにロイを振り向く。いつの間にかロイの手に縄が握られているのを見て、ハボックは目を見開く。 「いやだっ」 自分が為される行為を予想して、逃げようとするハボックの腕をロイは掴むとハボックの体を俯せに押さえ込んだ。 「やだっ、やめてっ」 だが、ロイはハボックの言葉に耳を貸そうともせず、ハボックの両腕を後ろに捻り上げると両腕を重ねて縛り上げる。そのまま表に返すと、ロイはハボックの体に手早く縄をかけていった。瞬く間に脚をM字に開かれた状態で身動き出来ないように縛られてしまったハボックは、屈辱のあまり涙を滲ませた目でロイを睨みつけた。 「ほどいて…っ、ヤダ…こんなのっ」 必死に身を捩るが却って縄が食い込むばかりでどうにもならなかった。 「嫌ばかりじゃないだろう?」 ロイはそう囁くと縛めた縄の間から覗く乳首に指を這わせる。そこは既に硬く色づいており、ハボックの体がきつい縛めの中にも快楽を探し出そうとしていることを窺わせた。きゅっと摘み上げればびくんと震える体にロイがくすくすと嗤う。 「あ…ちがうっ」 だが、顔を赤らめて首を振るハボックの中心はゆっくりと頭をもたげ始めていた。 「いやらしいな、ハボック」 「そ、んなんじゃ…っ」 「ひくついてるぞ」 そう言ってロイはハボックのむき出しにされた蕾に指を這わせる。そこはひくひくと蠢きながら、ロイの指を待ちわびているように見えた。 「あっ…いやっ…さわらないで…っ」 くちくちと入り口の襞を弄られて、ハボックがもどかしげに腰を揺らす。その頃にはハボックの中心はすっかり育ちきってとろとろと蜜を零し始めていた。ロイはその蜜を掬うとハボックの蕾に塗りたくり、つぷりと中へ指を沈める。 「んああっ」 ぐちぐちとかき回されて、ハボックの唇から喘ぎ声が零れた。緩く首を振り、必死に快感を逃がそうとするが、ロイは容赦なく指を増やしてハボックを攻め立てた。 「ああっ…うふぅ…あんんっ」 快感にハボック自身が小刻みに震え、限界が近いことを知らせている。ロイはその様子を見ると、ベッドサイドのテーブルから細い紐を取り出し、ハボック自身の根元をぎちぎちと縛り上げた。 「あ…やだぁっ」 突然為された無体にハボックは悲鳴を上げる。ギリギリで押し留められた熱に、ハボックは荒い息を吐いて身悶えた。そんなハボックにロイはうっすらと笑うと、テーブルからおぞましい代物を取り出す。ロイはそれをハボックの口元にやると無理矢理に咥えさせた。 「んぐっ…んんっ」 目を瞠って吐き出そうとするハボックにロイは冷たく言った。 「しっかり濡らさないと辛い思いをするのはお前だぞ」 びくんと震えたハボックは、ぽろりと涙を零すと大人しく咥えさせられたものをしゃぶりだす。その様子を暫く見ていたロイは、ハボックの口から張型を抜き取ると大きく開かれた脚の奥でひくつく蕾に押し当てた。 「ひ…」 次に来る衝撃を予想してハボックの体が強張る。だが、ロイはお構いなしに手にした張型でハボックを一気に貫いた。 「あああああっっ」 背を仰け反らせて悲鳴を上げたハボックの奥深くまで張型を沈めると、ロイはリモコンを手に取る。そうしてスイッチを入れると強弱のスライドを一息に強へと滑らせた。 「―――ッッ!!」 声もなく目を見開いてハボックは弓なりに体を仰け反らせた。縛められた中心から僅かに白濁が零れたが、解放することは許されず、その熱はハボックの身の内を暴れまわって苦しめる。ロイはハボックの内で淫らに蠢く張型に手をかけると、情け容赦なく抜きさしし始めた。 「ひ、いぃぃっ」 ハボックの唇から悲鳴が上がり、涎が垂れる。びくびくと震える体に指を這わせながらロイはハボックの唇に己のそれを重ねた。 「愛してるよ、ハボック…」 吹き込むように囁けばハボックの体がぴくりと震える。涙に濡れた空色の瞳がロイを捉え、その唇がロイを呼んだ。それに答えるようにロイの手がハボックの中心を縛める紐をほどき、ハボックはロイの口中へ悲鳴を迸らせながら長く長く熱を吐き出したのだった。 その後、体を縛めるものをほどかれて、ぐったりとベッドに沈み込む体をロイは思うままに愛していく。過ぎる快感に身悶えて、ハボックは何度もロイに赦しを乞うたが聞き入れてはもらえなかった。 「も…ムリ…狂うっ」 「構わないさ、狂ってしまえ…」 「そ、んなっ」 「狂った瞳に私だけを映せばいい…」 「あ…」 吹き込まれる甘い毒にハボックは体を震わせて、ロイの背をかき抱いた。途端にがつんと突き上げられてハボックは何度目になるか判らない熱を吐き出す。それはもうすっかり薄くなって粘性のないものと化していた。 「あ…たいさ…っ」 呟いてキスを強請るハボックにロイはうっすらと笑うと願いを聞き入れて口付けてやる。ハボックはロイの頭を抱えこんでロイの唇を貪った。その間にもぐちゅぐちゅと揺すりあげられて、ハボックは下肢から駆け上がる快感とロイと舌を絡ませ唾液を混ぜあわせることで得る快感とにすっかり翻弄されていた。 「ああんんっっ…や…も、イきたくない…っ」 きつすぎる快感はハボックの下肢をぐずぐずに融かし、体全体が快感だけで作り上げられているような気にさせる。ほんの少しでもロイが触れたところから貪欲に快感を拾いあげてしまう自身が、ハボックには信じられない。 「ああっ…アッあああっっ―――!!」 びゅるんと熱を吐き出して、ハボックは薄暗い闇へと落ちていくのだった。 |
→ 第三章 |