偏愛2  第四章


「やっぱり隊長はスゴイですねっ!」
 尊敬の念を輝く瞳いっぱいに載せて、最近ハボックの隊に配属になった部下達がハボックに言った。照れたように笑うとハボックはそっとため息をついた。もういいから早く一人にしてほしい。こんなところをロイに見られたらまた何をされるか判らない、と怯える反面、心のどこかでロイの姿を探している自分にハボックは気づいてしまう。
(オレ…どうなるんだろう…)
 ハボックはふと不安に駆られて手の平を握り締めた。最近ではロイに見つめられただけで期待のあまり体が震えてしまう。手酷く扱われてイヤだと思っている反面、それを望んでいる自分がいる。ハボックが自分の想いに沈み込んでいると、グイとその腕を引かれた。
「隊長、大丈夫ですか?」
 心配そうに覗き込んでくる部下にハボックは慌てて首を振る。
「だ、大丈夫。ちょっと疲れただけ…」
 ハボックがそう答えている間にも手が伸びてきてハボックの額に触れていった。
「顔が紅いですよ、熱でもあるんじゃないですか」
 そう言って額と言わず頬といわず触れてくる相手にハボックは慌てて距離をとろうとするが。
「ハボック、訓練は終わったのか?」
 後ろから聞こえた声に、身を強張らせて振り向く。
「たいさ…」
「訓練がおわったならちょうどいい」
 ついて来いと言い置いてさっさと歩き出してしまうロイの後を追って、ハボックは慌てて走り出したのだった。


 連れ込まれたのは下士官用のシャワールームに併設されているトイレの個室だった。狭いスペースに大の男が2人もいるのだ、まともに立っていることすらままならない。ハボックは瞬く間に下肢を覆う布を全て取り払われると、その中心に指を這わされていた。
「随分と楽しそうだったな」
「そんな…」
「あの若いヤツに突っ込まれたかったのか…?」
 耳元でそう囁いた途端、ロイはハボックの耳に噛み付いた。
「いっ!」
「相変わらず見境なく媚を振りまきやがって」
 この淫乱が、と言われてハボックはかぶりを振った。
「ちが…っ」
 そそり立つ自身を扱かれて、快楽に薄れそうになる意識を必死に手繰り寄せてハボックは言った。
「アンタのことを…っ」
 そう言うハボックをロイの黒い瞳が間近で見つめる。その瞳に吸い込まれそうになりながらハボックは呟いた。
「アンタのことを考えて…」
 そういった途端先端をきつく扱かれてハボックは喉を仰け反らせてびゅるりと熱を吐き出す。
「ヒアアアアッッ」
 仰け反らせた喉に歯を立てられてハボックはビクビクと体を震わせた。ほんの少しの刺激も全て快感に置き換えてしまう体を持て余して、ハボックはロイに縋りつく。
「あ…たいさぁ…っ」
 ロイはそんなハボックの後ろに熱に濡れた指をぐいと突きたてた。
「んっ…んくぅ…っ」
 ひくひくと蠢くソコをぐちゅぐちゅとかき回して乱暴に解すと、ロイは取り出した自身を宛がった。狭い個室の壁にハボックの背を押し付けると、その両脚を持ち上げてしまう。
「あ…」
 大きく広げられた脚の間に熱く滾る塊を感じて、ハボックの唇が期待に震える。そんなハボックにロイはうすく笑うと囁いた。
「どうした、挿れて欲しいのか…?」
「あ…」
「ハボック…」
 くちくちと入り口を熱で弄られてハボックの唇から熱い吐息が零れる。その唇が強請る言葉を吐き出そうとした瞬間、どたどたとトイレに入ってくる足音が聞こえた。
「あ〜あ、さっきは惜しかったなぁ」
「はは、憧れの君だからな、隊長は」
「顔をほんのり紅くしててさぁ、たまんねぇ」
「デカイなりして可愛いんだよね、隊長」
「可愛いっつうか、最近じゃなんとなく色っぽくねぇ?」
 声の数からして3人ほどの部下達が用を足す為に入ってきたようだった。凍りつくハボックににやりと笑うとロイは宛がった熱をハボックの中に一気に突き入れた。
「ひ…っ」
 上げかけた声を抑えようとハボックはロイの頭を引き寄せると唇を合わせる。じゅぶじゅぶと乱暴に突き上げられて、ハボックは必死に深く唇を重ねた。
「今ヘンな声が聞こえなかったか?」
  誰かが言った言葉にハボックの体が大きく震える。
「そこの個室で腹下してるヤツでも籠ってんじゃねぇか?」
「水かけてやるか」
「よせよ、ガキじゃあるまいし」
 ゲタゲタと笑いあう連中にロイを含んだソコがイヤらしく蠢いた。グイと突き上げられてハボックはボロボロと涙を零しながらロイにしがみ付く。必死に声を殺すことで余計に快感を感じてしまい、ロイにしがみ付く指がぶるぶると震えた。
「おおい、大丈夫かぁ?」
 からかうようにかけられた言葉に答えるわけにもいかず、ガンガンと突き上げられてハボックは声を上げる代わりにその瞳からぽろぽろと涙を零し続けた。
「ん…く…」
 深く唇を合わせていても時折鼻から抜けるような声が漏れてしまうのを止めることが出来ない。イヤらしい水音がやけに大きく響いている気がして、外にいる連中に気づかれてしまわないかとハボックは気が狂いそうだった。容赦なく突き上げてくるロイにやめてくれと訴えたいが、唇を離した途端はしたない声を上げてしまうのが判りきっていて、ハボックは抱え込むロイの頭を離すことが出来なかった。
「おい、いい加減行こうぜ」
 誰かがそういうのが聞こえ、ぞろぞろと足音が外へと出て行く。
「お大事になー」
 と言う声が最後に聞こえ、そこにはハボックとロイだけが取り残された。ガツンと最奥を突かれて、ハボックはとうとう唇を離すと悲鳴を上げてしまう。
「あああっっ」
 びゅるっと熱を吐き出して震える体を揺さぶられ、更に奥を犯される。
「ひぃっ…アアア…ッ」
 喘ぎ続けるハボックにロイは薄っすらと笑うと言った。
「連中にも聞かせてやればよかったのに…」
「あっ…い、やっ…また、だれか、きたら…っ」
 もう、これ以上声を抑えていることなど出来そうもない。ハボックは必死にロイに縋りつくと哀願する。
「おねが…も、やめて…っ」
「ダメだ」
 冷たく言い放たれて、ハボックは息を飲む。ぐっと突き入れられる熱にハボックは何度目かの熱を吐き出した。
「んあああああっっ」
 誰か来るかもしれないと言う恐怖がハボックの快感を煽って、感じる体をどうすることも出来ない。
 恐怖と快感に半ば正気を失ったハボックをロイは楽しげに犯し続けた。


→ 第五章