| 偏愛2 第二章 |
| その日、ハボックはロイについてイーストシティの市議のパーティに出席していた。先方の要望でロイたちは軍の礼服ではなく、黒いタキシードに身を包んでいる。上質のタキシードはロイの黒い髪によく似合っており、ロイは美しい女性達に囲まれて会話を楽しんでいた。少し離れた壁際からハボックはロイの様子を窺う。こういう席は苦手だ。場違いな所にいると思う。ハボックはため息をついて視線を足元に落とした。と、一瞬遮られた光に自分の前に誰か来た事に気づき顔を上げる。そこにはアッシュブロンドの髪に灰色がかった瞳の男が立っていた。 この男は、とハボックは記憶を探る。確か新鋭の作曲家でリチャード・バートンとかいう男だ。 「やあ。君はマスタング大佐のお付きの人だろう?」 聞かれて、だが、ハボックは眉を僅かに寄せただけで答えなかった。 「そんなに警戒しないでくれ。私は――」 「知ってます。リチャード・バートン、作曲家…ですよね?」 ハボックの答えにバートンは嬉しそうに笑う。 「うれしいな、知っていると言ってもらえて」 「で、そのバートンさんがオレなんかになんの用っスか?」 ハボックがそう聞けば、バートンが答える。 「少し話をしたいと思ってね。そう、マスタング大佐のことなんだが」 「大佐の?」 聞き捨てならないと言う顔をするハボックにバートンは笑って扉を指差した。 「静かな所で話をしないか?」 そう言われてハボックはちらりとロイを見たが、ロイはちょうど話しかけてくる女性の方を向いていてハボックには背を向けていた。 「こっちだ」 バートンはそう言って扉から出て行ってしまう。ハボックは一瞬躊躇したが、仕方なしにバートンを追って部屋を出た。 「この部屋を使おう」 バートンはそう言うと幾つも並ぶ扉の一つを押して中へ入った。ハボックも慌てて中へ入るとすぐさまバートンにむかって口を開く。 「大佐のことってなんです?」 そんなハボックにバートンは笑うと、まあまあと手を振った。そして、テーブルに置いてあるボトルの液体を注ぐとハボックに差し出す。 「そんなに慌てていたら話が出来ないだろう。これでも飲んで気を静めたまえ」 目の前に突き出されたグラスをハボックは仕方なしに受け取る。バートンが自分の分も注いで口を付けるのを見ると、ため息をついてグラスに口を付けた。 「?」 一口飲んでからハボックはグラスを見つめる。透明な液体をてっきり水だと思っていたが、口にしたそれはほんのりと甘くて僅かにとろみがあった。不味くはないが、妙に喉に張り付くそれにハボックは唾を飲み込む。グラスをテーブルに置こうとしてずくんと体を走り抜けた感覚に、ハボックは思わずグラスを取り落とした。 「あ…」 毛足の長い絨毯に落ちたグラスは割れることなくその中身を撒き散らした。その飛び散る飛沫が赤みを帯びて見えたような気がして、ハボックは咄嗟にテーブルに手をついた。 「な、に…?」 ついた手の平からじんわりと熱が広がって全身に伝わっていく。瞬く間に体を支配する熱にハボックは立っていられずに床に膝をついた。 「なに、を…っ」 今更ながらよく知りもしない人物から渡されたものに安易に口をつけてしまったことを後悔する。熱に震える体をかき抱くハボックに近寄ると、バートンはハボックの顎を掴んだ。 「ここの市議とは懇意にしていてね、色々便宜を図ってもらっているんだよ。気に入った相手と楽しむ部屋を提供してもらったり、ね」 そう言うとバートンはハボックの肩をトンと押す。ハボックは抵抗できずに床へと倒れこんだ。そんなハボックの体に手をかけると、バートンは楽しそうにその服を脱がせていった。 「や、めろっ」 震える手で押し返そうとするが、大した抵抗にはならずバートンはハボックのシャツに手をかけた。ボタンを外してその素肌を覗き込んだバートンは目を瞠る。 「これは…」 ハボックの胸に刻み込まれたサラマンダー。バートンは暫くの間目を見開いて見つめていたが、やがてにんまりと笑った。 「そうか、君はマスタング大佐の持ち物ってワケだ」 楽しそうに呟きながらハボックのズボンに手をかける。下着ごと一気に剥ぎ取ったそこに、もう一匹のそれを見つけてクツクツと笑った。 「自分のものを他人が汚したと知ったらあの男はどうするんだろうね」 そう言って、バートンがハボックに体を寄せようとした時。 パチン。 小さな音がしたと思うと、バートンのタキシードの裾に火がつく。 「う、わあっ?!」 慌ててハボックから身を離すと、パンパンと手で叩いて必死に火を消すバートンの耳に低い声が聞こえた。 「勝手に汚されては迷惑だな」 なんとか火を叩き消したバートンが扉の方へ目をやるとそこには笑みを浮かべたロイが立っていた。 「マスタング大佐…」 よろよろと後ずさってテーブルに手をつくバートンには目もくれず、ロイは床に横たわったハボックへと近づいていった。 「まったく、護衛がこんなことでどうするつもりだ」 吐き捨てるように言うと、ロイはハボックの肌蹴たシャツの襟をグイと掴んでハボックを起こす。体を支配する熱にその空色の瞳を潤ませて、ハボックはロイを見つめると言った。 「す、みません…っ」 そうしてロイの襟元に縋りつくと荒い息をつく。 「あつ、い…っ」 媚薬に犯されたハボックの体は熱に支配され、その中心は既に高々とそそり立っていた。 「たいさ…っ、たすけ、て…っ」 震える体をロイに預けて、そう囁くハボックの顎を掴むとロイはその唇に口付けた。 「ん…んふぅ…」 無我夢中で舌を絡めてくるハボックの体を押し留めると、ロイはハボックの後ろに手を回しひくつく蕾をそっとなでる。 「欲しいのか、ここに」 「あ…ホシ、イ…っ」 ロイの指に蕾を押し付けるように腰を揺らすハボックにロイは低く笑うと、凍りついたように2人を見つめるバートンに目をやった。冷たい笑いを浮かべるとハボックに言う。 「2人だけで楽しんでは申し訳ないな。ハボック、彼も誘ってあげたらどうだ?」 ハボックはロイの顔色を窺うように潤んだ瞳を向けたが、ゆっくりと立ち上がるとテーブルに縋るように立っているバートンの前に歩み寄った。そうしてその足元に膝立つと、バートンのズボンをくつろげて自身を取り出す。ハボックは舌を差し出すとぺろりとバートン自身を舐め上げた。 「…っっ」 信じられないという目をして見つめてくるバートンに構わず、ハボックは深くくわえ込んだ。舌を絡めて吸い上げ、じゅぶじゅぶと唇で擦る。 「う…あ…」 荒い息を零し始めるバートンをロイは黙って見つめていたが、やがてハボックに近づくと言った。 「ハボック、腰を上げろ」 バートンを咥えたままハボックは言われるままに腰を上げる。ロイはテーブルに置いてあったボトルを取り上げるとハボックの蕾に垂らした。くちゅりと指を差し入れると乱暴に解していく。 「んっ…ふ…っ」 バートンに奉仕を続けながらロイに蕾を嬲られ、ハボックはもどかしげに腰を揺らした。ロイは解していた指を引き抜くとハボックの蕾に自身を宛がう。そうして期待に打ち震えるハボックの体を一気に貫いた。 「ぅんんんっっ」 ハボックはロイの熱に貫かれながらもバートンを傷つけないよう、必死に口を開いた。喉奥にバートンを迎え入れ締め上げながら指で袋を揉みしだく。ハボックの与える快感にバートンは息を荒げて腰を打ちつけた。 「ん…んくぅ…んっ…んんっ」 乱暴に口中を犯されハボックは涙ぐみながらも必死にバートンを慰め続けた。ロイはそんなハボックを冷たく見下ろしながら、強引に突き上げる。ぐちゅぐちゅと言うイヤらしい水音と、ハボックの喘ぎと、男たちの荒い息遣いが部屋を満たしていく。最初に熱を吐き出したのはバートンだった。ハボックの喉深くに自身を突き入れ、ぶるりと体を震わせると熱を叩きつける。激しく打ち付ける白濁にハボックは吐きそうになりながらも、必死にソレを飲み干した。 「ふあっ、あふ」 熱を吐き出してよたよたと後ずさるバートンから唇を離して、ハボックは必死に息をつく。途端にグイと突き上げられて、ハボックはびゅるりと熱を吐き出した。 「あああああっ」 胸を仰け反らせて悲鳴を迸らせるハボックをロイは情け容赦なく追い上げる。 「ひあっ…ああっ…た、いさぁ…っ」 四つに這ったハボックはイヤらしく腰を振りながらロイを呼んだ。体を支配する熱に、もっともっとロイに犯して欲しくて、ハボックは肩越しにロイを振り向くと荒い息を零しながら言った。 「は…ちょうだ、い…っ…たいさの…あつい、の…ほしい…っっ」 乱れるハボックにロイは唇を歪めると言葉を吐き出した。 「イヤらしいヤツめ…快楽を与えてくれるなら誰でもいいのか…っ」 バートンの熱を飲み干して快楽に震えるハボックにロイは胸の中に昏いものが広がっていくのを感じる。ハボックは体を震わせると必死に囁いた。 「た、いさが…いい…たいさが…ほし…」 言葉を吐き出した途端にガツンと突き上げられて、ハボックは悲鳴を上げると熱を吐き出す。ずるりと抜かれるロイ自身にハボックは、必死に蕾を締め上げた。 「や…ぬかないで…っ」 まだ全然足りない。ハボックはロイの脚に縋りつくとロイを見上げた。そうしてロイ自身に指を絡めると舌を這わせ始める。 「たいさの…のみたい…た、いさのが…いいっ」 囁きながら舌を絡めるハボックをロイは昏い瞳で見つめていた。 |
→ 第三章 |