エフィアルテスの悪夢  第一章


「まったくもう、自分で作ったんなら最後まで責任持てっての」
 ハボックはそう呟きながら狭い路地を辺りに注意しながら歩く。一緒に歩いていた部下がハボックの呟きを聞いて言った。
「全くその通りですよ。おかげで俺らがこうして探す羽目になってるんですから」
 心底嫌そうに言う部下にハボックは思わず苦笑する。ハボック達がいま探しているのは、潜りの錬金術師が錬成したはいいが飼いきれずに捨てたというキメラで、部下が嫌がるのも頷けるものだった。
「どこ行ったんでしょうね。五十センチ位って言ってたけど、そんなんじゃどこか潜り込んだら見つけるの大変ですよ」
「そうだな」
 錬金術師が錬成したキメラは食虫植物となにやら数体の軟体動物を掛け合わせたもので、サイズは五十センチ足らずとさして大きくないものらしかった。
「大きくなくても食虫植物と軟体動物のハーフなんて気持ち悪そう」
「俺たちより先に他の連中が見つけてくれるといいですね」
 出来ることなら会いたくないと、やる気の全く見えない会話を続けていたハボック達だったが、路地が幾つにも別れている場所に出ると言った。
「ここはちょっと手分けしよう。オレはこっちの二本に行くからお前はそっちの通り二本見てくれ。三十分後にここで落ち合おう」
「了解!」
 部下は言って軽く敬礼すると指示された通りに入っていく。それを見送ったハボックは残りの二本の通りを調べるべく、細い通りへと入っていった。
「ホント、こんなとこに入り込まれたら見つけるの大変だってぇの」
 ハボックはそう嘆きながら通りを用心深く歩いていく。その時、ずるりと何かが這うような音が聞こえた気がして、ハボックは背後を振り返った。
「………気のせいか?」
 あちこち覗いてみたがなにも見当たらない。ハボックがひとつため息をついて先に進もうとした時。
 シュルルッッ!!
 風を切るような音が聞こえたと思うと、ハボックは背後から巻き付いて来た触手に声を上げる間もなく通りの下水溝の中に引きずり込まれていた。
「な……ッ?!ウワアアッ!!」
 触手は昏い下水溝をもの凄い勢いでハボックの身体を運んでいく。漸く触手の動きが止まった時には、ハボックは巻き付いた触手に身体を圧迫されて息も絶え絶えになっていた。
「ハアッ……ハアハア…ッ」
 ポンとまるでゴミを投げ捨てるように触手はハボックの身体を放り投げる。薄汚れた床に身体を投げ出されたまま、ハボックは荒い息を吐いた。やっと呼吸が整ってきたハボックがのろのろと身体を起こせば、そこは小さな穴蔵のようにぽっかりとあいた空間だった。そして。
「なん……ッ、あ、あれは……ッ」
 目の前に蠢く無数の触手。赤黒くぬらぬらした触手を揺らめかしてハボックを見下ろすのは、グロテスクな姿に昏い光を湛えた目を持つ巨大なキメラだった。
「う、そだろ……?五十センチくらいって……」
 捨てたキメラは五十センチ足らずだと錬金術師は言っていた。だが今目の前にいるのは高さが優に三メートル、身体の周りはハボックが三人手を回して漸く届くかという太さだった。
「育ったのか……」
 ここには様々なゴミが流れている。その中から栄養になるものを接種して、キメラは大きく成長したようだった。
「とにかく逃げなきゃ」
 そうは思うものの出口はキメラが塞いでいる。ハボックは必死に考えてポケットの中からライターを取り出した。
「食虫植物がベースなら火が苦手かも」
 ハボックはライターを握った手をキメラに向かって突き出す。カチッと火をつければキメラは一瞬怯んだように見えた。
「よしっ」
 今のうちにとキメラの背後にちらりと見えた出口に飛び込もうとする。だが、ハボックの身体が出口から外へと出る前に数本の触手が伸びてきてハボックの身体に巻き付いた。
「クソッ!この、離せッッ!!」
 ハボックは身体に巻き付いた触手を外そうとライターの火を押し当てる。ジュッと肉が焼ける匂いがして縮みあがった触手に、逃れられると思ったハボックを、伸びてきた別の触手が叩いた。
「アッ!!」
 叩かれた拍子に手からライターが飛ぶ。
「しまったっ!」
 慌てて伸ばしたハボックの腕を触手が絡め取り、ハボックはアッという間に何本もの触手に身体を拘束されてしまった。
「チキショウッ!!離せ、このっ、ぬるぬる野郎ッ!!」
 ハボックは必死にもがきながらキメラに罵詈雑言を浴びせる。だが、キメラはそんな言葉はまるで意に介さず、ハボックの軍服に触手を絡めると一気に引き裂いた。
「……ッッ!!」
 突然のことに目を見開き凍り付くハボックの軍服をキメラは楽しげに剥ぎ取っていく。その触手がボトムにかかって、漸く我に返ったハボックは必死になってもがいた。
「イヤだッ!!やめろッッ!!」
 だが、キメラはそんなハボックの声になど耳を貸さずボトムを引き裂いていく。あっという間に全裸に剥かれて、ハボックは顔をひきつらせて浅い呼吸を繰り返した。キメラがハボックの両脚に巻き付けた触手をゆっくりと左右に開いていく。そうすればキメラの濁った瞳の前にハボックの中心とその奥にひっそりと息づく蕾が露わになった。
「やだあッ!」
 恥部を晒されてハボックが羞恥に顔を染める。その時、シュルリと伸びてきた触手がハボックの中心に絡みついた。
「ヒィッ!!」
 絡みついた触手はゆっくりとハボックの楔を扱き出す。そうすればハボックの意に反して、楔は瞬く間に嵩を増していった。
「ヤダっ!!やめろッ!!やめろってばッ!!」
 ハボックは必死に首を振って快感をやり過ごそうとする。だが、直接的な刺激に熱は瞬く間に高まりハボックは涙を滲ませて喘いだ。
「ンッ……アッ、ハアッ……い、やッ!!やだ……ッ」
 触手に絡め取られた楔は高々とそそり立ち蜜を垂れ流している。触手が搾り取るようにしてきつく楔を扱けば、ハボックはあっけなく果てた。
「イ、ヤアアアッッ!!」
 ハボックはびゅくびゅくと宙高く身体を掲げられたまま白濁をまき散らす。触手に嬲られて絶頂を極めた羞恥にハボックはすすり泣いた。
「ひ……ぅ……ッ、も、やめ……ッ」
 ぽろぽろと涙を零すハボックをキメラは昏い瞳で見つめる。するすると触手を伸ばすと開いた脚の間にその先端を押し当てた。
「……ッ?!」
 奥まった蕾はハボックが垂れ流した蜜でしっとりと濡れている。その蜜を塗り込むようにして蠢く触手に、ハボックはサーッと蒼褪めた。
「いやだ……それだけはイヤだッッ!!」
キメラの意図を察してハボックは大声で叫ぶと必死になって身を捩る。だが、触手に拘束された身体はビクともせず、やがて触手は小さな蕾にその先端をグッと押し当てた。
「ヤダアッッ!!……ッ、大佐ッ、大佐ぁッ!!」
 押し当てられるぬるりとした感触にハボックの身体が総毛立つ。そこだけは自由になる首を必死に振って拒んだものの、そんな抵抗など何の役にもたたず触手はヌプリとその先端を蕾に潜り込ませた。
「ヒッ!!」
 多少濡らされたとはいえ全く受け入れる準備のされていない体に強引にねじ込まれてハボックが痛みに目を見開く。
「痛いッ!!……イッ!…無理っ!!入らな……ッッ!!」
 太い触手がその表面をぬらぬらと濡らす体液の助けを借りてハボックの体に潜り込んでいく。ハボックは痛みと得体の知れないものに犯される恐怖に目を見開き、ビクビクと震えた。
「ヒ…ィッ!」
 ぬぷぬぷと触手がハボックの中にその身を沈める。
「あ……あ…も、無理ィ…ッ」
 小さな蕾を限界まで押し開き、狭い器官を最奥まで犯した触手は一度その場で動きを止める。次の瞬間、ズルルッッと入口まで先端を引き抜き、再び一気に潜り込んだ。
「ひゃあああッッ!!」
 太くて長い触手がハボックの蕾を容赦なく突き上げる。熱い内壁を擦り上げられて、ハボックの唇から嬌声が上がった。
「ヒィィッッ!!アアッ!!……イヤアアアッッ!!」
 じゅぶじゅぶと乱暴に犯されてハボックは瞬く間に絶頂に追い上げられる。びゅくりと白濁を吐き出して喉を仰け反らせて喘ぐハボックの口に、別の触手が伸びてきてその身をねじ込んだ。
「んぐっ?!……ぐぅっ!!」
 キメラは何本もの触手を伸ばしてハボックの体を愛撫し始める。上下の口を犯され全身を嬲られて、ハボックは身悶えた。
「んんッ!……んぐっ!!んっ、ン───ッッ!!」
 何度目かの絶頂をハボックが極めた時、口を犯していた触手が漸くハボックの唇を解放する。ゲホゲホと咳込みながらそれでもグロテスクな触手が出ていった事にホッとしたのも束の間、ハボックは出ていった触手が既に太い触手に犯されている蕾に近づいていくのを見て、身を強張らせた。
「な……ッ、…ヤダっ、やめろッッ!!」
 明らかな意志を持って蕾に近づく触手にハボックは必死に首を振る。だが、脚に巻き付いた触手がハボックの脚を更に大きく開かせると、近づいてきた触手が既に潜り込んでいる触手に沿うようにしてその身を強引にねじ込んできた。
「……ッッ!!!」
 無理矢理開かれる激痛にハボックは声も出ない。ビクビクと震える体に構わず触手はハボックの蕾に捻じ入ると、元いた触手と一緒になって乱暴に突き上げ始めた。
「……ッ!!ヒッ!!……アアッッ!!」
 二本の触手がずぶずぶとハボックの蕾を蹂躙する。強引に開かれる痛みはやがて快感にすり替わり、ハボックはあられもなく喘いだ。
「ひゃうんッ!!アッ、アアッ!!アヒィッ!!」
 びゅくびゅくと白濁を吐き出しながらハボックは二本の触手を締め付ける。そうすれば触手は喜んだように震えてハボックの最奥にどろりとした液体を吐き出した。
「……ッッ!!ヒィィッッ!!」
 最奥を濡らしたことで満足したのか、触手がずるりとハボックから抜け出ていく。ハボックはしどけなく脚を開いた姿で宙に掲げられていたが、やがてハボックを拘束する触手がハボックの体をキメラ本体にゆっくりと近づけていった。
「………な…に…?」
 快楽と触手に犯されたショックで、ハボックはぼんやりとキメラを見つめる。自分の体が運ばれていく先にあるものに気づいた瞬間、ハボックは涙で霞んでいた瞳を大きく見開いた。
「……ッ!!ヤダッ!!離せッ!!離せェッッ!!」
 必死に叫んで逃れようともがく。だが、触手はいとも簡単にハボックの身体を運ぶと、キメラの体からそそり立つ巨大な楔の上に掲げた。
「イヤだッ!!もう、やめてッッ!!……大佐ッ!!大佐ッ、助けてッッ!!」
 あんな巨大なものに貫かれたらきっと死んでしまう。やめてくれと泣き叫ぶハボックに、だがキメラは構わずに開かせた脚の間で戦慄く蕾に楔の先端を押し当てた。
「ヒ…ッ!─────ッッ!!」
 ググッと押し入ってくる凶器にハボックの目が大きく見開かれる。キメラは触手で引き寄せるようにしてハボックの体を一気に貫いた。
「ヒャアアアッッ!!」
 ガツンと最奥を突き上げられてハボックが悲鳴を上げる。触手を使ってハボックの体を揺さぶりながらキメラは巨大な楔でハボックを犯した。
「ヒィッ!!ヒィィッッ!!」
 グリグリと前立腺を犯されればハボックの悲鳴が甘さを帯びる。
「アッ、んふ……アアッ、イくッ!!また、イっちゃう……ッッ!!」
 キメラに犯されてハボックは身悶える。何度となく絶頂を極めさせられたその体の奥深く、キメラの精をたっぷりと注ぎ込まれて、ハボックは快楽の渦へと飲み込まれていった。

「ハボックが消えたのはどれくらい前だ?!」
 下水溝の中を走りながらロイが叫ぶ。ハボックと一緒にキメラの探索に当たっていた部下が答えた。
「三十分後に合流しようと言って別れたんです。合流場所に行って十分しても来ないので隊長が調べに行った路地を探したら下水溝の蓋が開いていて……」
 一人で探しに行くのは危険だと判断した部下がロイに連絡を入れロイが現場に駆けつけたのが十五分後。ほぼ一時間経っている。
「クソッ」
 その時、昏い下水道を部下たちを引き連れて走るロイの耳に高い嬌声が飛び込んできた。ギョッとして立ち竦む部下達が闇に沈む下水溝の奥を恐る恐る伺う。その瞬間再び甘ったるい悲鳴が聞こえて、ロイは唇を噛み締めた。
「お前達はここにいろ」
「ですが、マスタング大佐っ」
「いいからここにいろッッ!!」
 鋭い声に息を飲む部下達をおいてロイは奥へと進む。漸く声が聞こえた場所に辿り着いたロイは、視界に飛び込んできたものに我が目を疑った。
「ハボック……」
 ぬらぬらと赤黒く光る何本もの触手に絡め取られた体を、キメラの楔で貫かれて喘ぐハボック。自分の吐き出したものとキメラの体液とに下肢をしとどに濡らしたハボックは、快楽に溺れきってその空色の瞳はなにも見てはいなかった。
「ああんっ!!」
 キメラに揺さぶられてハボックが甘い悲鳴を上げる。その声にハッとしたロイは顔を歪めて発火布をはめた手を突きだした。
「よくも……っ、よくもハボックを……ッッ!!」
 怒りに震えた声で呻くと同時に指をすり合わせれば、宙を走る火龍がキメラを焼く。ぞっとするような断末魔の悲鳴を上げたキメラは、ハボックの体を地面に投げ出した。
「ハボックっっ!!」
 ロイはハボックの体に飛びつくと、ハボックを抱き上げその場から逃げ出す。吐き出しそうなほどの臭気から遠ざかると、ロイはゆっくりと足を止めた。
「……ハボックっ」
 ロイは呻くように名を呼ぶと涙に濡れた頬を撫でる。そうすれば金色の睫が震えてハボックがゆっくりと目を開けた。
「た…いさ?」
 ロイの顔を見てハボックが安心したように笑う。だが、次の瞬間、恐怖に顔を歪めると大声で泣き喚き始めた。
「イヤだっ!イヤだァァッッ!!」
「ハボックっ!もう、大丈夫だ、大丈夫だからッ!!」
 ロイは叫んでもがく体をしっかりと抱き締める。そうすれば漸くハボックの瞳がロイを見つめ、暴れていた体からがっくりと力が抜けた。
「ハボック……遅くなってすまなかった」
「……たいさ、オレ…っ、オレっっ!!」
 ぼろぼろと涙を零して泣きじゃくるハボックの傷ついた体を、ロイはただ抱き締めると唇を噛み締めた。
 

→ 第二章
 

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「エロが足りーん!!」と発作的に書き殴ってしまいましたー(笑)基本、連載はどうしてもエロが少なくなるので、時々無性にエロが書きたくなります。そんなわけでひたすらはぼっきゅが可哀想な話になってしまいました。ごめんよ、ハボ(笑)ちょっとした気分転換になれば幸いです。
本当はロイが助け出したところで終ってましたが、それだとハボが可哀想なので続きも書こうということで、前編に変更しました。続きはまた後ほど〜v