| 同棲 |
| 「はぁ…」 オレは会議室のパーティションの影でずるずると座り込んだ。はっきり言って体がだるくて仕方がない。昨夜も散々大佐に好き勝手された。仕事に差し支えるから勘弁してくれと言っても聞く耳を持ちやしない。むしろこっちが止めろと言えば言うほど嬉々としてヤッテいるようなところがある。といって何も言わなきゃ言わないでこれまたいくらでもエスカレートするから堪ったもんじゃない。今日もこれから小隊の訓練があるというのに、こんなに体がだるくてやってられるんだろうか。これが実戦だったらきっと動けると思う。スイッチが切り替わるから。でも、訓練だと思うとどうにもスイッチが切り替わる前に未だに含んだ感じがするアソコとかひりひりと痛む掠れた喉とか、そんなもんが気になってしまうような気がする。 「ホントにもう、勘弁してくんないかな…」 男同士ですることがされる側にこんなに負担になるとは知らなかった。しかも、最近さらに困ったことには、事あるごとに 「ハボック、一緒に暮らそう」 「うわぁっっ」 突然耳元で囁かれてオレは飛び上がった。 「何だ、その態度は」 思わず後ずさったオレに不服そうに大佐が言う。 「な、なんでここにっ」 「後姿が見えたんでな、追ってきた」 「追ってきた、って」 じゃあなんですぐ声をかけてこないんだ。 「気だるげにため息などついて色っぽかったぞ」 まったく、この男は。オレみたいなデカイ男をつかまえて、どこをどう押せば色っぽいなんて言葉が出てくるんだ。睨みつけるオレのことなんて全く意にも介さずその端正な顔を近づけると言った。 「で、何を勘弁して欲しいんだ?」 げ、しっかり聞いてやがる。しどろもどろになるオレを見下ろしていた大佐は手を伸ばすとオレの顎を掴み上向かせた。 「とにかく、もう待てないからな。荷物を持って私の家に越して来い」 「いや、だから、それは…」 「どうしてイヤなんだ。理由を言え」 理由?そんなもん判りきってるじゃないか。一緒に暮らしたりしたら、それこそヤリ殺されそうだ。でも、それを言おうものならきっとすげぇ喜ぶに違いないんだ。そんなに期待してるのかとか何とか言って。だから絶対に言えないのだけれど。 大佐は言葉に詰まるオレの唇を舌先で舐め上げると軽くキスを落とした。 「とにかくノーはなしだ。明日にでも荷物を持って…」 「待ってください」 オレは大佐の言葉を遮った。もう、断るのもめんどくさくなってきた。オレは大佐の黒い瞳を見つめていった。 「判りました。一つだけ条件があります。それを聞いてくれるなら明日にでも大佐の家に引っ越します」 大佐は目を見開いてオレの次の言葉を待っている。 「ヤルのは週に1度だけ。そう約束してくれるなら一緒に暮らしてもいいです」 どうだ、こんな条件、絶対に首を振るわけない。そう思って言ったのに。 「わかった。お前がそうしたいと言うならそうしよう」 大佐は素直にそう答えた。 「だから明日、引っ越して来い」 満面の笑みを浮かべてそう言う大佐の顔を穴の開くほどオレは見つめていた。 取敢えず、必要最低限な身の回りのものだけ持って、オレは大佐の家にやってきた。これまでだって料理やら掃除やら洗濯やらをやりに散々きているし、それに、もう数えるのもいやになるほど泊まってもきた。今更引っ越して来なくても殆んど一緒に暮らしているような状況だったのに。それでも、アパートに帰る必要がないというのはなんだか不思議な気がした。 「この部屋を好きに使ってくれ」 そう言って大佐はオレを2階の一室へ案内した。大佐の寝室の隣の部屋でここにも無駄にデカいベッドが置いてある。オレは荷物を下ろすと、取敢えず軍服や普段着をクローゼットの中へ吊るした。そんなにしまう物があるわけではないので、あっという間に荷物の整理も済んでしまう。なんだかどうにも落ち着かない気分のオレに大佐は近づいてくるとオレの体をそっと抱きしめた。 「やっと、一緒に暮らせるな」 あまりに嬉しそうに言うので、思わず笑みが零れてしまう。きゅっと抱き返すとすごく幸せそうな顔で聞いてきた。 「キスしていいか?」 いつも強引な大佐にそんな風に尋ねられて、却って心臓がドキドキした。そっと目を閉じると大佐の顔が近づく気配がして優しく唇が合わさる。触れるだけのキスをして大佐は満足げに笑うと、オレの手を取り階下へと促した。 「今日は外に食べに行こう。何がいい?」 そう尋ねてくる大佐に優しく微笑み返して。引っ越してきて良かったかもしれない、とオレは思い始めていた。 「大佐!早くしないと遅刻ですよ!」 一緒に暮らし始めて3日。最初のうちこそ緊張したけど、結局は帰る場所がここだと言う以外何も変わらない生活が待っていた。出勤前に洗濯物を干すオレを尻目に優雅に二度寝を楽しむ大佐は、約束どおりオレに手を出してこなかった。正直あんな約束をしたところで、力技で来られたらどうにも防ぎようがないとビクビクしていたのだが、大佐は時々触れるだけのキスをするだけでそれ以上のことをしかけてはこない。かえって拍子抜けするくらい何もなくてオレは久しぶりに万全の体調で日々を過ごしていた。 「たーいーさーっ、マジ、起きてくださいよっ!朝一番で会議でしょ?遅刻したら中尉に怒られますよ!」 上掛けをまくってそういうオレの腕を大佐がぐいと引いた。倒れこむ所を咄嗟に手を付いて踏みとどまる。 「たいさっ」 「ん、ハボック、おはようのキスは?」 朝っぱらから何恥ずかしいこと言ってんだ、この人は。 「もう、いい加減にして下さいっ」 腕を振りほどいて立ち上がったオレに「つれないな」とくすくすと笑いかける。 「朝メシ、出来てますから!」 オレはそういい捨てるとそそくさとキッチンへと向かった。 5日たち、6日立っても変わらない毎日だった。一緒の家に帰って、一緒に食事をしてたわいもないおしゃべりをしてベッドに入る。一緒のベッドに入っても特にするわけでもなく、ただ優しく抱きしめられて眠るだけだ。温もりは居心地良くて、安心して眠れる。最初のうちはそうやって眠れるのを最高だと思っていたけれど、あんまり何もしてこない大佐はなんだかヘンな感じがした。強引でない分、むしろひどく優しくてぬるま湯につかっているみたいだ。 (大佐って、こんなに穏やかな人だったかな) オレは今夜も大佐の胸に顔を埋めて眠りながら、奇妙な違和感を感じていた。 「え、今日も晩飯、食わないんですか?」 「ああ、ちょっと用事があるんでな」 大佐と暮らし始めて2週間が過ぎた。ここ5日ほど、大佐は毎晩のように出かけていて夜遅くならないと帰ってこない。理由を聞いても答えてくれないどころか、鼻のいいオレは気づいてしまっていた。 香水の匂いがする。 夜、出かけるようになってから大佐の服からは微かに香水の匂いがするようになった。遅くなるから先に休んでいていいと言い、起こしては可哀想だからと別のベッドで眠るようになった。もう2週間も立つのに、大佐はオレに指一本触れては来なかった。オレからキスを仕掛けても優しく抱きしめてくれるだけでそれ以上何もしようとはしない。 (一緒に暮らすようになったら、もうどうでもよくなっちゃったのかな) 家事全般をやってくれる便利な存在、結婚を迫られることもない気楽な相手と思われているのかもしれない。 暗闇の中、大佐のベッドに腰掛けたオレは膝の上に置いた手を握り締めた。ぽたりとその手の上に涙が零れ落ちる。こんな女々しい自分は嫌いだ。でも、溢れ出した涙はどうにも止まらなくて。オレは声を上げることもできずにただぽろぽろと涙を零し続けた。 どれくらい立ったのだろう、寝室の扉が開いて大佐が入ってきた。ぱちりと明かりをつけるとベッドの上のオレを見てぎくりとする。 「ハボック」 呼ばれて顔を上げたオレを見て大佐が目を見張る。 「泣いているのか」 そういってベッドに近づいてくるが、オレに手を伸ばしもしない。そのことがオレをひどく傷つけて新たな涙を誘う。 「たいさ…」 オレは涙で掠れる声で大佐を呼んだ。 「オレの事、嫌いになりました?」 「何を言って…」 「だって、一緒に暮らし始めて2週間も経つのに、指一本触れようとしないじゃないですかっ」 オレはぼろぼろと泣きながら叫んでいた。 「最近はベッドも別だし、夜遅く、香水の匂いさせて帰ってきて!オレのこと嫌いになったんでしょう?!」 「ハボック、落ちつけ」 宥めるだけで近寄ってこない大佐にオレは大声で叫んだ。 「抱いてよっ、オレ、大佐のこと…っ」 黒い瞳が大きく見開かれて、大佐は腕を伸ばすと涙に濡れたオレの頬にそっと触れた。 「抱いていいのか…?」 「なんでそんなこと…っ」 「お前が嫌がるから、私は」 「嫌がってなんかいません、ずっと抱いて欲しかったのにっ」 「ハボック…」 そっと抱きしめられてオレは大佐に縋りついた。 「今抱いたら、もう、毎日だって求めずにはいられないぞ」 「たいさ…」 「いいんだな?」 オレが小さく頷いた途端、噛み付くようにキスされた。背骨が折れそうなほど強く抱きしめられて息が出来ない。苦しくて開いた唇の中へすぐさま大佐の舌が差し込まれ痛いほど舌を絡めとられた。深い口付けに力が抜けていく。大佐はゆっくりとオレをベッドに押し倒すと瞬く間に服を脱ぎ捨てて覆いかぶさってきた。久しぶりに綺麗に筋肉の付いた大佐の体に触れて、心が躍る。掌で肩や腕の筋肉を撫で擦ると大佐がくすりと笑った。指の腹でゆっくりと胸の筋肉を辿るオレの手を取ると指先に口付けてそのままベッドに縫いとめた。 「私にも触らせろ」 微かに頷くオレの乳首をゆっくりと捏ね上げる。びくりと震えるオレにうっすらと笑うと舌を這わせてきた。 「あっ、はぁ…っ」 ほんの少し触られただけなのに瞬く間に中心に熱が籠っていく。あまりの浅ましさに大佐から腰を引こうとすると寧ろぐいと引き寄せられた。 「今日は早いな」 そう囁かれていたたまれずに目を伏せる。笑う気配がしてやんわりとソコを握られた。 「んぁっ…、あ、は…っ、やっ」 数度扱かれただけであっという間に追い上げられていく。 「や、あっ、も、でる…っ」 自分でも信じられないくらいあっけなく大佐の手の中に熱を放っていた。大佐は手の中のものをぺろりと舐めながら低く笑った。 「随分たまってたようだな」 あからさまに言われてかぁっと顔に熱が上がる。大佐はオレに口付けながら手を回してオレの蕾に指を沈めた。 「んんっ、あんっ」 甘ったるい声が零れて咄嗟に手を口に当てた。その手を大佐がそっと引き剥がして囁く。 「声を聞かせろ」 「そ、んな…」 恥ずかしくて死にそうだ、そう言うオレの言葉を無視して大佐は沈める指の数を増やすとぐちゃぐちゃとかき回した。 「あっ、やん、は、ああ…っ」 感じるところをしつこく弄られて、オレの口から勝手に甘い喘ぎが零れ落ちていく。あまりの恥ずかしさにぽろりと涙が溢れた。大佐はそれを舐め取ると軽く口づけて言った。 「可愛いよ、ハボック」 かぶりをふるオレの中から指を引き抜くと低く囁く。 「入れていいか?」 答えて、と強請る大佐の胸元に顔を伏せてオレは「入れて」と呟いた。 途端に脚を抱え上げられて熱い塊が宛がわれた。ぐぐっと押し入ってくる感触に思わず息が詰まる。一気に奥まで貫かれて耐え切れずに悲鳴を上げた。 「あああああ―――っ」 無意識にずり上がる体を引き戻されて突き上げられる。 「あ、はっ、ああっ、たい、さ、たいさぁ」 名を呼んで縋りつくオレを抱きしめて更に奥を抉ってくる。気が狂いそうなほどの快感が打ち寄せて二人の腹の間に熱い液体を迸らせていた。達した余韻に震える体を大佐は容赦なく攻め立ててくる。あっという間に追い上げられて殆んど間をおかずに再びイかされていた。 「あ、やだぁ、もうっ」 強すぎる快感に頭がおかしくなりそうだ。助けて欲しくて自分を貫く男に縋りついた。いきなり背中に回った腕がオレの体を引き起こし、気がついたときには向かい合ってベッドに座った大佐のものの上に跨がされていた。 「ああ―――っっ」 自重で深く大佐を迎え入れて唇から悲鳴が零れる。ぐいと下から突き上げられて脳天を快感が突き抜けた。 「やあっ、もう、やめ、てっ」 がくがくと震える体をもてあまして叫んでも、大佐は許してくれるどころか更に激しく突き上げてくる。腹に付くほどそりあがった自身からびゅくびゅくと白濁した液が迸った。そんなオレの様子にオレの中の大佐が一際膨れ上がる。それでも、大佐は顔を顰めて耐えると、がんがんとオレを揺さぶった。 「は、なん、でっ…」 もう、解放して欲しい。死んでしまうと訴えるオレを満足げに見つめて大佐は一層深くオレを突き上げると熱い飛沫を中へと迸らせた。体の中から焼かれていく錯覚に、オレは意識を手放した。 結局、あの後、一体何度イかされたか、どれだけ大佐の熱を受け止めたか、もうわからないほど抱き合って、気がつくと夜が白んでいた。ぐったりとベッドに沈み込んだ体はもう、指一本動かすことも出来ない。散々含まされたソコは腫れ上がって今でも大佐が中にいるように錯覚させる。大佐はベッドに半身を起こして、優しくオレの髪をなでていた。久しぶりの優しい感触にうっとりと目を閉じていると大佐が耳元で囁いた。 「これから毎日できるな」 ギクリとして目を見開いたオレに大佐が嬉しそうに笑った。 「言ったはずだぞ。今抱いたら毎日だって抱かずにはいられないと」 「だって、そんなの、言葉のあやで…っ」 「いいんだな、と聞いたろう?」 「でも…っ」 「頷いただろうが」 「…っっ」 絶句するオレを抱きしめて大佐が楽しそうに笑う。そんな大佐に眩暈がした。 もしかしてオレは嵌められたのかもしれない。 2006/7/4 |
| 二重の意味でロイにハメられたハボの話だったり(←下品!!)ハボは絶対ロイにはかないませんよね〜。いっつもロイにいいようにされてしまうハボが好きです〜〜vv → 同棲2 |