「アッ、アアアアアッッ!!」
ズブズブと狭い肉筒を押し開くようにして私は体を進める。ひんやりと冷たい雀の躯に反比例するように押し入った雀の中は燃えるように熱かった。
「ヒィんッ、増田さん……ッ!」
強引な挿入に雀がもがく。その手が私の背に縋りつき、私のシャツをくしゃくしゃと握り締めた。
「あ……んああッッ、無理ッ、も、入らな……ッ」
セックスの経験があるとは思えないほど、押し入った内部はきつく狭かった。苦しいと雀が弱々しく抵抗したが、とてもやめてやることなど出来なかった。
「ヒアアアアッッ!!」
猛る凶器で強引に雀を貫く。漸く根元まで押し込んで私はしなやかな躯を強く抱き締めた。
「雀……ッ」
漸く一つになれた喜びに私は雀の顔といい肩といいキスを降らせる。最後に深く唇を合わせてそっと離せば雀が涙に濡れた瞳で私を見上げてきた。
「増田さん……」
「雀……愛している」
そう囁く私に雀が顔を歪める。
「オレ、も……好きッ……増田さんが好きっス」
言って雀は私の髪に手を差し入れる。雀が引き寄せるままに唇を合わせれば雀が消え入りそうな声で言った。
「今だけでいい……オレの全部上げるから……増田さんをオレにください」
「雀っ」
切ない声でそう告げる雀を私は強く抱き締める。
「今だけなんて言うなっ、私の全てはこれからずっとお前だけのものだッ」
「増田さん」
そう言って雀の涙に濡れた頬を何度も撫でる。雀は何か言いたげに私を見つめたが、そっと目を閉じて私の背に回した手に力を込めた。
「きて……増田さん、オレの中にアンタを刻みつけて……」
忘れてしまわないように、と囁く雀の声の切なさに私は雀に噛みつくように口づける。
「忘れるなんてことはさせない」
だってこれから私たちはずっと一緒にいて愛し合っていくのだから。忘れるなんてあり得ない。そう囁いてガツンと突き上げれば雀が大きく背を仰け反らせた。
「ヒアアッッ!!」
逃げをうつ躯を引き戻すと同時に更に奥を抉る。熱い内壁を押し開かれ最奥を犯されて、雀が目を見開いて喘いだ。
「ンアアッ!!増田さん……ッ」
「雀……ッ、雀ッッ!!」
引き抜けば逃すまいとするように肉襞が絡みついてくる。それに答えるように私は容赦なく雀を突き上げた。
「あんっ……アッアッ、凄い、深い……ッッ!!」
奥を貫かれ、雀が身を仰け反らせて喘ぐ。涙に濡れたその顔が快楽に蕩けているのを見れば、堪らなく興奮した。
「ヒッ、あ……ッ?や、おっきくなった……ッ!苦し……ッ!!」
雀が僅かに目を見開きゆるゆると首を振る。逃れようともがく躯を押さえつけ、雀の下肢を抱えあげるようにして突き入れると大きく震えて雀が熱を吐き出した。
「ひゃあああんッッ!!」
高い嬌声を上げて雀が白濁をまき散らす。その白い顔を己の吐き出したもので汚す雀に興奮して、私は激しく腰を突き入れた。
「ヒィッ、ヒィィッッ!!待っ……待ってッ!増田さ……、ヒアアアアッッ!!」
ガツガツと激しく突き上げられて、雀が身悶える。私を咥える内壁がキュウキュウと収縮して締め付けるのが更に私を煽った。
「雀ッ!!」
「駄目……も……ッ!!」
弱々しくもがいて雀が涙に濡れる瞳で私を見上げる。その途端ググッと雀を犯す楔が嵩を増し、私は次の瞬間雀の中に熱い精を叩きつけていた。
「ッッ!!ヒアアアアアッッ!!」
大きく背を仰け反らせ、雀がガクガクと躯を震わせる。きつい締め付けに呻きながら私はたっぷりと雀の中に思いの丈を注ぎ込んだ。
「あ……増田、さん……」
雀が私を呼んでしがみついてくる。こんなにも激しく求め合ったのに未だひんやりと冷たい躯を抱き返して、私は雀に口づけた。
「ん……んふ……好き、……好きっ、増田さん……ッッ」
繰り返す口づけの合間に雀が切なく囁く。涙に濡れた瞳で私を見上げて、雀は呻くように言った。
「嫌だ……離れたくないッ、こんなに好きなのに……ッ!」
「雀」
ポロポロと涙を零して雀が私にしがみつく。好きだと繰り返す雀の、初めて逢ったときから惹かれていたその空色の瞳を見た時、私は漸く気がついた。ずっと微かに聞こえていた水音の意味を。
「雀、お前は……」
「ごめんなさい、増田さん、オレ……ッ、赦されないって判ってるのに……ッ」
それでも望んでしまうと雀は呻いて腕で顔を隠す。白く透き通る雀の肌を見つめていた私は、顔を覆う腕をそっと掴んで外させた。
「雀、さっき言っただろう?私の全てはお前のものだと」
「増田さん……?」
不安そうに見上げてくる空色に私は微笑む。
「一緒にいこう、雀。私たちは何処までも一緒だ」
「増田さんっ、でもッ」
「行き着く先が例え地獄だろうと、私はお前と共にいる」
そう告げる私を雀が目を見開いて見つめる。その唇にそっと口づけを落とせば、雀がくしゃくしゃと顔を歪めた。
「いいんスか?ほんとにいいの……?」
「当たり前だ。お前がいない人生など過ごしたところで何の意味もない」
だから、と私は言って雀の震える唇に口づけを落とす。雀は何度も言いかけては言葉を飲み込んだが、やがて絞り出すように言った。
「愛してます、増田さん……オレと……一緒に来て……ッ」
言ってしがみついてくる雀を私は優しく抱き返す。
「ああ、何処までも一緒に……もう二度と離さない」
微笑む私を雀が引き寄せ口づけた。
「好き……好きっス」
「私もだ、雀」
私は雀の耳元に囁き雀の脚を抱えあげる。再びゆっくりと突き上げ始めれば雀の唇から熱い吐息が零れた。グチュグチュと激しく掻き回す私の動きに合わせて雀の喘ぎ声も大きくなる。
「雀……雀……ッ」
「増田さん……ッッ」
互いを呼ぶ声と激しく交わる音が凌霄花を纏わせた屋敷に響き、そしてそれを打ち消すように大きくなった水音が天神川を流れるそれだと気づいた時。
私と雀の全てを冷たい流れが飲み込んでいった。
ギィと探偵事務所の扉を押し開けて男が出てくる。秋の気配を漂わせる空を見上げた男は、探偵事務所に預けられていた短剣を懐にしまい、その常盤色の視線を地面に落としてゆっくりと歩きだした。賑やかな通りを抜けて更に歩いていけば、鬱蒼とした竹林が見えてくる。男はさやさやと音を立てる林をじっと見つめていたが、やがてその中へ足を進めた。竹林の中を抜ける細い道を男はゆっくりとゆっくりと歩いていく。どれくらい歩いただろう、現れた朽ちかけた屋敷の前で足を止めると古い木戸を開いて中へと入った。男は所々残っている飛び石を辿って屋敷に近づく。玄関の引き戸をガタガタと鳴らして中へ入れば、男の体をひんやりとした空気が包んだ。足を一歩踏み入れると水分を含んだ畳がずくりと沈む。濡れた畳の上に落ちている白いものを広い上げた男は、それがかつて親友だった男の持ち物だと気づいた。
「……結局お前は最期まで自分の欲しいものを手にすることが出来たってことか、絽音」
彪守はそう言って手にした発火布を握り締める。
「ずるい奴だよ、ホントに」
呟いた彪守の視線の先に手を取り合う絽音と雀の姿が浮かび、吹き抜けた風に揺らいで消えた。
「絽音……雀……俺もそこに……」
言いかけて彪守は緩く首を振って屋敷を出ていく。そうして彪守が去った後には、地面に散った凌霄花が秋の風に震えているだけだった。 |