| 狂愛 第一章 |
| 「オレ……アンタの事が好きなんです…ッ」 ギュッと両手を握り締め、俯いたまま吐き出すように言うハボックをロイは目を見開いて見つめる。首まで真っ赤になった長身の部下の告白にロイは咄嗟に言葉が出てこなかった。 その夜、ロイは部下達と一緒に飲みに出かけた。抱えていた事件が漸く片付き、気が緩んでいたのかもしれない。普段なら酔わない量ですっかりいい気分になってしまったロイは、自宅まで帰る面倒を省いてハボックの家に転がり込んでしまった。そうして家の主を追い出したベッドに潜り込んだロイが、微かに聞こえる甘い声に眠りの淵から引き戻され目にしたのは、自分の名を呼びながら自慰に耽るハボックの姿だった。 「たいさ……た…さァ…ッッ!」 ハボックは荒い息と共に言葉を吐き出しながら曝けだされた楔を夢中で扱く。目尻を染めたハボックが楔を扱く度、ぐちゅぐちゅと濡れた音がそそりたった中心から零れた。そのうちハボックは扱く手の動きに合わせて下肢を揺らめかせ始める。そうして喉を仰け反らせて小刻みに震えたかと思うと、どっと青臭い液体を手の中に吐き出した。 「ハアッ……ハッハッ…」 達してハボックが荒く息を弾ませる。ハボックを食い入るように見ていたロイがうっかりとリビングの扉を扉を押し開いてしまったのはその時だった。 「え…っ?」 突然開いた扉にハボックがギョッとして身を強ばらせる。驚いたように見開く黒い瞳を見て、ハボックは弾かれたように立ち上がると慌ててずり降ろしていたズボンを引き上げた。そのまま大きな体を縮めるようにして背を向けて立っているハボックをロイは呼ぶ。恐る恐る振り向く涙を滲ませる空色の瞳を見つめてロイは尋ねた。 「どう言うことだ?ハボック」 ボインが好きだと豪語する部下が自分をオカズに自慰に耽る理由などロイには思いつかない。その疑問を素直にぶつければ、ハボックの唇から零れたのは思いもしない言葉だった。 「好き、だと?」 ロイは告げられた言葉を繰り返してハボックを見る。これまでにも男から告白された事は幾度となくあった。だが、まさか部下から、しかもこのハボックからそんな言葉を聞くことになろうとは思いもしておらず、ロイはジロジロとハボックを見つめる。そうすれば居たたまれないようにその大きな体を更に小さく縮めるハボックにロイは目を細めた。 「お前はボインの女性が好きなんだと思っていたが……。いつの間に宗旨替えしたんだ?」 そう聞かれてハボックがパッと顔を上げる。 「宗旨替えなんてしてないっス!オレが好きなのはアンタだけ…っ!」 そう口走ってしまってからハボックは慌てて口を噤んだ。再び俯いてしまったハボックをロイはじっと見つめていたが、やがてゆっくりと言った。 「この際だ。言いたいことがあるなら聞いてやる。どうして私が好きなんだ?」 「どうして、って……」 聞かれてハボックは困ったようにロイを見る。うろうろとさまよわせた視線を落として小さな声で答えた。 「判んないっス……気がついたら好きになってた…」 「オカズにするくらいに?」 「……ごっ、ごめんなさいっ…!」 羞恥に身を縮めるハボックをロイはじっと見つめる。いつもはふてぶてしいほど不遜な態度の部下の、見たこともない姿にロイは面白そうに笑った。 「まさかお前にオカズにされるとは思ってもみなかったな、ハボック」 そう言えばハボックがビクリと震える。ロイはスッと目を細めて言った。 「抱いてやろうか?」 「えっ?!」 不意に思い浮かんだ言葉をそのまま口にすればハボックが驚いた様に目を見開く。子供のようなその表情に、妙にゾクゾクしながらロイは言った。 「まさか私を抱きたいとか言うんじゃないだろうな。生憎男に抱かれる趣味はないぞ」 ロイはそう言ってハボックの顎を掴む。見開く空色の瞳を覗き込んでうっそりと笑った。 「抱いてやる、ハボック。私が好きなんだろう?」 「あ……」 目を見開いたまま身動き出来ないハボックの腕を掴むと、ロイは引きずるようにしてハボックを寝室につれていく。その長身をベッドに突き飛ばすと上から圧し掛かった。 「抱かれた事はあるのか?」 そう聞かれてハボックはふるふると首を振る。 「男は嫌いっス」 「私のことは好きなのに?」 意地悪く聞かれてハボックは恨めしげにロイを見た。そんな視線はものともせずロイはハボックから一度身を離して言った。 「脱げ。全部脱いで素っ裸になるんだ」 事も無げに言われてハボックは目を見開く。肘をついて身を起こしたまま身動き出来ないハボックにロイは言った。 「別に脱ぎたくないなら構わないが。その気がないなら私は帰るよ」 そう言って寝室を出ていこうとするロイにハボックはハッとする。 「待ってッ!」 叫ぶような声に振り向けばハボックはシャツの裾に手をかけた。キュッと唇を噛んで、それから勢いよくシャツを脱ぎ捨てる。ボトムも脱いだハボックは僅かに迷った末、下着を下ろして長い脚から引き抜いた。 「ぬ……脱いだっス…!」 ベッドに膝立ちになったハボックはギュッと目を閉じて言う。ロイは綺麗に筋肉に包まれた体をジロジロと無遠慮に見た。ロイの視線に興奮したのか、淡い茂みを押し分けるようにしてハボックの楔が顔をもたげ始める。その様子にロイはクスリと笑って言った。 「ベッドに座って脚を開け。さっきやっていたことをもう一度やって見せろ」 「…ッ!!」 ヒュッと喉を鳴らすハボックをロイは見る。 「私が好きでヤってたんだろう?だったらもう一度ヤって見せろ」 そう言われてハボックは目を見開いてロイを見つめていたが、やがてベッドに座ると脚を開き楔に指を絡める。目を閉じてそろそろと扱き出せばハボックの唇から熱い吐息が零れた。 「あ……ンッ……は、あっ…っ」 長い脚を大きく開いて自分を慰めるハボックの姿をロイは食い入るように見る。ハボックが切なく自分を呼ぶのを聞けば、どくりと心臓が鳴った。 「は……ふぁ…っ、たいさァ…ッ!」 最初は遠慮がちに扱いていた手の動きがだんだんと勢いを増し、それに伴うようにハボックの喘ぎも大きくなる。ハボックはロイを呼び続けながら己を追い上げると、ロイの視線の先でびゅくびゅくと白濁を迸らせた。 「アッ、アアア───ッッ!!」 鍛えられた体に欲望を撒き散らして果てると、ハボックは荒く息を吐く。涙の滲む空色の瞳がロイを見上げれば、ロイはたまらなくなってハボックをベッドに押し倒した。 「あっ」 短い叫びを上げて見上げてくる幼げな瞳にロイはゾクゾクする。長い脚を大きく開かせハボックが吐き出したものを掬い取ると、ロイは双丘の狭間で息を潜める蕾に塗り込めた。 「たいさ…ッ」 怯えたような声がハボックの唇から零れる。それに煽られるようにロイは白濁を塗り込める指を蕾の中にグッと突き入れた。 「……ッ!」 途端に強張る体をロイは乱暴にかき回す。体の他の部分には全く愛撫を施されないまま、繋がる部分だけを解すロイにハボックはポロポロと涙を零した。 「やっぱり嫌っス!……こんなの、やだァっ!!」 そう言ってもがく姿はロイをとどめるどころか嗜虐心を煽るばかりだ。ロイは指を引き抜くとハボックの脚を抱え上げ、取り出した楔を押し当てた。 「嫌っ、たいさっ!」 熱く滾った牡を押しつけられ、ハボックが怯えた声を上げる。その声に構わずロイはズッと押し込んだ楔を一気に根本まで沈めた。 「ヒアアアアアッッ!!」 ズブズブと押し入ってくる熱い塊にハボックが悲鳴を上げる。絡みついてくる熱い秘肉にロイは興奮してガツガツと突き上げた。 「ヒィッ!……痛いっ、いたいッ、たいさっ!!」 ハボックは泣き叫びながら逃れようと必死に身を捩る。ずり上がろうとする体を引き戻したその勢いのままガツンと突き上げれば、ハボックが悲鳴を上げて身を仰け反らせた。 「ヒィィッッ!!」 「……ハボックっ」 キュウと締め付けてくる蕾にロイは顔を歪めながらも突き上げる動きを緩めない。容赦ない攻めにハボックはもう抵抗する事も出来ずに弱々しくすすり泣いた。 「も……赦して…ッ」 涙を零しながら懇願するその顔は、昼間の彼を知る者には想像もつかないだろう。ロイはうっとりと笑うと痛みに萎えてしまったハボックの楔に指を絡めて扱き出した。 「あ…っ、嫌ァ…ッ!」 蕾を犯される苦痛と楔を扱かれる快感にハボックは泣きじゃくる。ロイは一層激しく突き上げながら、手の中の楔の先端を抉るように引っかいた。 「ッ!!……ァ…ッ!!」 びゅくりとハボックが熱を吐き出すのと同時にロイは最奥を穿つと白濁を叩きつける。初めて身の内を男の熱に濡らされて、ハボックは背を仰け反らせて震えると意識を失った。 |
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