| 金剛石 6 |
| 「大佐、拘束したテロリスト達の護送を始めます」 「ああ、十分注意するように」 報告に来た隊員にロイが頷けばピッと敬礼を返して持ち場に帰っていく。占拠した建物の一角、テロリストの掃討作戦を終えてその事後処理の為次々とやってくる部下達に指示を与えながら、ロイはガラスの壊れた窓から外を見つめるハボックの姿に目をやった。 もうこれまでと自暴自棄に陥ったテロリストの一人が爆弾を爆破させようとした。幸い一瞬早く気づいたロイが錬金術を使って防いだ為に大きな爆発には至らなかったが、建物のガラスが十数枚吹き飛び天井や壁の一部が崩れた。幸い大怪我をした者はいなかったものの、その大きな音に一瞬動揺が走ったのは確かだった。それでも一気に崩れたテロリスト達に反してロイの的確な指示の下、東方司令部の部隊は一気に攻勢を強め、結果として計画より早くテロリスト達を押さえ込むことに成功した。そんな中。 『大佐ッ』 瞬間混乱した現場の中、隊員達をかき分けるようにして姿を現したハボックは、信じられない程青褪めていた。 『どっか怪我して……ッ』 そう言いながらロイの腕を掴んでその身に怪我のない事を確かめホッと息を吐く。青かったハボックの顔に安堵の色が広がるのを信じられない思いで見つめたロイは、ハボックに向かって言った。 『もしかして心配してくれたのか?』 おそらくハボックがいた場所からは爆発があった事しか判らなかったのだろう。爆発に巻き込まれて怪我をしたのではと心配して飛んできてくれたのだと思えば、ロイが浮かんでくる笑みを堪えきれずにそう尋ねればハボックはハッとしてロイの腕を離した。 『べっ、別に心配なんてしてねぇっス!アンタがどうなろうとオレの知った事じゃないしッ!』 ハボックはさっきまで青かった顔を赤らめてそう怒鳴ると持ち場に戻ってしまった。 (少しは気にしてくれているんだろうか) 窓の外を見つめるハボックの横顔を見ながらロイは思う。ほんの僅かずつでもいい、ハボックとの距離を縮めて彼を手に入れる事が出来るなら。 (ハボック) ロイは少しでも早くその日が訪れる事を祈って、ハボックの横顔を見つめ続けたのだった。 2011/02/08 |
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