第八章


 ぽとり、と。
 脚の間に落ちた気配にハボックは荒い息を吐く。全身にびっしょりと汗かいて涙を滲ませるハボックがそのわななく蕾から必死の思いで吐き出した物を、ヒューズは拾い上げると言った。
「出せたじゃねぇか。散々無理だの何だのごねやがって」
 手にしたコルクを指先で弄びながら言うヒューズをハボックは睨み付ける。荒い呼吸を必死に整えながら言った。
「どうしてっ、どうしてこんなことするんスかっ?!オレを大佐に近付けない為ならもう十分でしょうっ、……ここまでしなくたってもう
――
「うるせぇよ」
 低い声に遮られてハボックは口をつぐむ。自分を見つめる昏い瞳に息を飲んだ。
「うるせぇ、俺のすることに口答えすんな。お前は黙って脚開きゃいいんだよ」
「なっ
 目を見開くハボックにズイと顔を寄せてヒューズは低く囁く。
「ロイの気持ちが自分にあると聞きゃどうしたって欲が出るだろ。もしかしたらロイと上手くいくかも知れない……だからそんなこと欠片も思うことが出来ないように徹底的に汚してやるんだよ、徹底的にな
 低いだがやけに明瞭なその声にハボックはぞっとして身を震わせた。身を翻して逃げようとしたものの一瞬早く伸びたヒューズの手に押さえ込まれて短い悲鳴をあげる。必死にもがくものの逃れることの出来ぬ力の強さにハボックは浅い呼吸を繰り返した。
「逃がさねぇよ。どうしてもって言うんならロイを呼ぶんだな」
 ヒューズはそう言うとハボックの長い脚を抱え上げる。たぎる自身を取り出すと震える蕾にグイと押し入れた。
「ヒ
 上げかけた悲鳴をハボックは唇を噛み締めて必死にこらえる。押し入ってくる狂暴な熱にふるふると頭を振った。
「旨そうに喰ってくぜ、この淫乱め」
 楽しそうにそう囁くヒューズの声にハボックの心は切り裂かれる。拒もうにも散々に異物を銜え込まされてゆるく解かれたそこは拒む術もなくヒューズを受け入れてしまう。ゆっくりと突き上げられてハボックははらはらと涙を零した。
「どうした、泣くほど嫌ならロイを呼べよ。きっと助けてくれるぜ?」
 そう言いながらヒューズはハボックを緩く突き上げる。乱暴に開かれるのならまだしも快楽を与えようとハボックの弱いところばかりを狙ってすり上げるその動きはハボックの心を酷く傷つけた。
「んっ……んんっっ」
 血が滲むほど唇を噛み締めてハボックは快楽にたえる。すぐそこにロイがいるこの場所でヒューズを受け入れることを強要されてハボックの心は悲鳴をあげていた。それでも懸命に声を飲み込むハボックをヒューズは深々と犯しながら見つめていたがやがて低く囁く。
「お前が呼べないなら俺が代わりに呼んでやるよ」
 その声にハッとしてハボックが見上げればヒューズは大きく息を吸い込んだ。
「ロ
――
――ッッ」
 ギョッとしたハボックがヒューズの首に腕を回す。そのまま引き寄せると声を上げようとする唇を自分のそれで塞いだ。呼ばせまいと自分から深く唇を合わせるハボックの金色の睫をヒューズはじっと見つめる。合わされた唇の中に舌をねじ込めばハボックの体がビクリと震えたが唇は離されなかった。逃げることも出来ずにその身の奥深くにヒューズを迎え入れながら、望まぬ口付けを自ら続けるハボックの口中を犯して、ヒューズは満足げに笑ったのだった。

08/07/10

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