第七章


 寝室のベッドの上にハボックの体を下ろすとロイはハボック髪をかき上げる。汗の浮かぶ顔は色をなくしていたさっきとは違って僅かに上気しているように見えた。うっすらと涙の滲んだ空色の瞳と朱を刷いた目尻と。ずっと恋していた相手のそんな表情はたまらなく劣情を刺激する。それでも必死にそれを押さえ込んでロイはハボックの名を呼んだ。
「大丈夫か?」
 そう尋ねればハボックがロイを見上げる。空気が震えるだけのような微かな声で平気だと答えるハボックが愛しくて仕方がなかった。
「ハボック、私は」
 こみ上げるその愛しさのままにロイが想いを口にしようとした時。
「ロイ、明日は早いんだろう?後は俺が面倒見てやるから」
「ヒューズ」
 覗き込んでいた体を起こして振り向けばヒューズがドアのところに立っていた。その言葉にロイは躊躇ったもののひとつ息を吐くと答える。
「そうだな、それじゃとりあえずお前に任せるよ。後で様子を見に来る」
「心配しなくてもちゃんと看病しといてやるよ、お前の分もな」
 そう言って笑うヒューズに苦笑してロイはハボックの頬にそっと触れると部屋を出て行く。パタンと扉が閉まって足音が遠ざかるとヒューズはハボックの枕元に手をついてその顔を覗き込んだ。
「残念だったな、告白聞きそびれて」
「中佐
「でも、尻にコルク詰め込まれたまま告白されんのも嫌かと思ってさ」
 意地悪く言って笑うヒューズをハボックは睨む。息を整えるように何度か大きく息を吐くと言った。
「取って下さいっ、これっ」
「ああ?気に入ってんじゃねぇのか?」
「取れよっも、気が狂うっ」
 両手で顔を覆って嗚咽を零すハボックをヒューズはじっと見つめていたがやがて低く言う。
「んじゃ、ズボン脱ぎな。四つん這いになって尻をだせよ」
ッ!」
 その言葉に息を飲むハボックにヒューズは言った。
「取って欲しいんだろ?だったら少なくともやりやすいようなカッコしてみろ。尻出して両手で穴、広げるんだよ」
「な、んっ」
「それともロイに取ってくれって強請るか?」
 そう言うとヒューズはハボックの下腹をグイと押す。短い悲鳴を上げたハボックは涙に濡れた瞳でヒューズを睨んでいたがゆっくりと身を起こすとベッドに膝立ちになった。躊躇った末ズボンを下着ごと下げると顔をシーツにつけて尻を上げ、おずおずと両手で尻を割り開いた。
「取ってくださいお願、いッ」
 これ以上埋め込まれたままでは本当に気が狂いそうでハボックは羞恥に耐えながら言う。そんなハボックにヒューズは低く笑うとひくつく蕾に無遠慮に指を差し入れた。途端に強張る体に構わず中を探るとコルクを引き抜いていく。
「ヒうあっ」
 異物を引き抜かれる感触にハボックはシーツを握り締め、苦しげに顔を擦り付けた。それでも少しずつ減っていく圧迫感にホッとしていると、ヒューズがハボックから身を離す。だがまだ体の中の異物感は消えておらず、ハボックは肩越しにヒューズを見た。
「ちゅうさっ」
「なんだ?」
「まだ、残ってッ」
 泣き出しそうなハボックの声にヒューズは取り出したコルクを見る。
「一個、二個ああ、一個足りねぇな。でも、もう指が届かねぇんだわ、悪ぃな」
「なっ冗談ッ取ってっ!取って下さいッッ!!」
 平然と告げるヒューズの言葉にハボックは真っ青になって怒鳴った。このままの状態で放置されたらと考えただけでも血の気が引く。ましてや医者に担ぎこまれるような事態になったらどう言い訳すればよいのだ。取ってくれと必死に縋るハボックを冷たい目で見下ろしていたヒューズがニヤリと笑う。
「ひり出せよ。クソ出す時とおんなじにすりゃきっと出てくるぜ」
「な
 楽しそうにそう言って低く笑うヒューズを、ハボックは絶望に染まった瞳で呆然と見つめたのだった。


08/07/04

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