第四章


「どうぞ」
「ああ、ありがとう、ハボック」
 ハボックがカナッペやらちょっとしたつまみを盛り合わせた皿をテーブルに置けばロイが笑って礼を言う。困ったような顔で笑い返すハボックを昏い瞳で見つめながらヒューズが言った。
「料理はもういいから少尉も座って飲めよ」
 そう言ってハボックの袖を引けば明らかに強ばる体にヒューズは低く笑った。
「ロイ、このワインもいいけどどうせならこの間言ってたヤツも開けねぇか?」
 ヒューズがそう言えばロイが顔をしかめる。
「既にこれを2本も開けてもう1本だなんて相変わらず図々しいヤツだな」
「いいじゃねえか、俺だってそうそっちゅうこっちに来られるわけじゃないんだから」
「よく言う」
 そう言って苦笑しながらもダメだとは言わないロイに了承の意を汲み取ってヒューズはハボックに言った。
「そんな訳だから少尉、セラーから取ってきてくれるか?」
 そう言って銘柄を告げれば、ハボックは頷いてリビングを出ていく。ヒューズは皿に手を伸ばしてカナッペを摘み上げると言った。
「相変わらずマメだねえ。何、まだメシ作りに来てくれたりしてるわけ?」
「ああ、だが最近ちょっと忙しいみたいで、来てもらえなくて残念なんだが」
 そうそうムリも言えんしな、と苦笑するロイにヒューズは聞く。
「もう言ったのか?好きだって」
「いや、今度ここに来たら言いたいと思ってるんだが、そう決めた途端タイミングがな」
 そう言いながらも待つ時間を楽しむように笑うロイにヒューズはそっと手を握り締めた。
「ちょっと借りるわ」
 そう言ってトイレに行くフリで席を立つと、ヒューズはセラーに向かったのだった。


08/06/23

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