第三章


「ヒューズ、今夜はうちで飲まないか?」
 出張でイーストシティに滞在中のヒューズにロイが言う。ヒューズがロイの顔を見ればロイが言葉を続けた。
「年代物のワインが手に入ったんだ」
「へえ、そりゃいいね」
 ヒューズはヒュウと口笛を鳴らして言うとちょうどコーヒーを持って執務室に入ってきたハボックに言う。
「少尉も来いよ。最高級のワインだってさ」
 そう言って常磐色の瞳を細めるヒューズを見ずにハボックは答えた。
「いえ、オレは遠慮します」
「どうして?年代物だぜ?らしくねぇなぁ、少尉。普段なら自分から飲みたいって騒ぎだてるくせに」
 ヒューズの言葉にハボックは唇を噛み締めると言う。
「色々2人でしたい話もあるでしょう。それにオレなんてどうせいい酒飲んでも違いなんてわかりゃしないっスから、飲ませるだけ勿体無いっスよ」
 そう言うとそそくさと部屋を出て行こうとするハボックの背に今度はロイが声をかけた。
「ハボック、お前も来い。せっかくだからみんなで飲もう」
「…大佐」
 にっこりと笑って言うロイにハボックが途方に暮れたような表情を浮かべるのを見ていたヒューズは薄っすらと笑う。
「ほら、ロイの許可もおりた。じゃあ、今夜は3人で酒盛りだな」
 楽しげなヒューズの様子にハボックは何も言えずに手を握り締めたのだった。


2007/12/20

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