| 第四章 |
| 「も……赦して……っ」 ガクガクと躯を震わせてハボックは喘ぐ。躯を支配していた苦痛がある一カ所を突かれた瞬間快感に取って代わり、ハボックは初めて知った快楽を受け止めきれずに泣きじゃくった。 「も、やだァ……ッ!ヒィ…ヒィィッ!」 ガツンと前立腺を抉られてハボックは嬌声を上げて背を仰け反らせる。二人の腹の間で揺れていた色の薄い楔がふるりと震えたと思うとびゅくと白濁を吐き出した。 「イきっぱなしだな、イヤラシイ奴」 懇願にも全く耳を貸さず攻め続けるヒューズにそう囁かれてハボックは力なく首を振る。快楽に翻弄される躯を自分でもどうすることも出来ず、ハボックは力なくヒューズに縋りついた。 「中……佐」 (オレ……なにをしたんだろう?) ヒューズは元々その内心を伺わせないところがあったしハボックの事をからかってばかりいたが、それでもいつも誠実で信頼出来る相手だった。何よりあのロイが親友と認めているのだ。多少クセがあろうと、軍人としても一人の人間としてもハボックは自分自身よりもよほど信じられる男であると思っていた。だから今そのヒューズが自分に牙を剥きこんな事になっている原因は他の誰でもない自分にあると、ハボックには思えてならなかった。 (こんなにアンタを怒らせるような事、なにを) 快楽に霞む頭でハボックは必死に考える。グリッと前立腺を抉られて高い嬌声を上げればヒューズが低く囁く声が聞こえた。 「淫乱」 その声にハボックはビクリと震えて目を見開く。不意に頭の中に浮かんだ一つの考えにハボックはヒューズの怒りの原因を見つけたと思った。 (オレが中佐を好きになったから、だから怒ってるんだ) (気持ち悪いって、きっと) (中佐はグレイシアさんを愛してるんだから) (それなのに、オレが) 浮かんだ考えに空色の瞳からポロポロと涙が零れ出る。ガクガクと力なく揺さぶられながらハボックはヒューズを見上げた。 (ごめんなさい、中佐) (ごめんなさい) (でも、オレ) (アンタが) (アンタが好き) 力ずくで引き裂かれ酷い目に会わされながらも、ハボックのヒューズへの気持ちは変わらなかった。心も躯も傷つけられてなお、ハボックは自分の気持ちが変わらないどころか、例え怒りに駆られてでもヒューズが自分に触れこうして熱を注ぎ込んでくれる事を、こんなのは嫌だと思う心のどこかで喜んでいる事に気付く。 (サイテーだ、オレ) (中佐を怒らせて当然だ) (でも) (でも、中佐) (オレは) 「ひゃうッ、アアッ!」 ヒューズの楔が奥を抉り熟れた内壁を掻き回すたびハボックは嬌声を上げる。腫れ上がった蕾で激しく出入りする楔を締め付ければ痛みと快楽に一際高くハボックは啼いた。 (好き) (好き、中佐) (大好き) (ごめんなさい) 「あんッ、アアッ!!アッ、アヒィッ!」 「……イヤラシいな、ハボック。キュウキュウ締め付けやがって」 締め付けに低く呻いたヒューズがそう言うのが聞こえて、ハボックはビクリと震える。涙に濡れた瞳を伏せてハボックは喘いだ。 「お前……実は経験があるんじゃないのか?」 「ッ?!」 突然そんな事を言われてハボックは弾かれたように目を上げてヒューズを見る。その常盤色に怒りの焔を見つけて、ハボックは首を振った。 「まさか、ロイ、と……?」 低く囁かれてハボックは首を振る。違うと言おうとした瞬間、いきなりガンッと突き上げられてハボックは悲鳴を上げた。 「ヒャアアッ!!」 背筋を快感が突き抜けて眩暈がする。否定しなければと思いながら言葉はイヤラシイ喘ぎ声にしかならなかった。 「んあッ、あふ……っ」 「ハボック、お前……ッ!」 低い怒りの籠もった声が聞こえる。涙の膜の向こうに見えるギラギラと光る常盤色をハボックはぼんやりと見つめた。 (ずっと怒らせておいたら) (そうしたらこうして) (いられるのかなぁ) そう考えた瞬間、ハボックは激しく後悔する。そうして苦痛と快楽と後悔の螺旋に堕ちていくのだ。 (ごめんなさい) (好きになって) 「ごめんなさい……」 そう呟いた瞬間、噛みつくように口づけられる。ハボックはキツく絡んでくる舌に呼吸すら奪われながら、自分を酷い目にあわせる男の背をそっと抱き締めた。 2012/04/09 |
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