| 第一章 |
| 「まったくもう……こんなになるまで飲むなんて、なんかあったんスか?」 乾いたシーツに体が沈み込むのを感じると同時に、苦笑混じりの声が聞こえる。そっと開けたヒューズの目に上着を持ったハボックがハンガーに手を伸ばそうとするのが映った。 ヒューズはもう長いことこの尉官が好きだった。初めてロイの執務室で紹介されたあの瞬間、彼の綺麗な空色の瞳が目に焼き付いてしまった。もっと近くで見たくて、握手した手をグイと引けば驚いたように見開かれた空色を手に入れたくて堪らなくて。それでも自分には誰よりも大切にしている妻子がいたから、その気持ちを必死に押さえ込み、蓋をしてきた。だが。 ロイとハボックの上司と部下と呼ぶにはかなり親密なやり取りの中に、ヒューズはまだ当のロイですら気づいていない情愛の芽に気づいてしまった。 (このままロイに渡してしまうのか?) (この暖かい金色を) (この優しい空色を) (ロイが、俺以外の誰かが手に入れるなんて) そう思った瞬間身の内に吹き荒れる嵐。 (イヤダ) (誰にも渡したくない) (コイツは俺のもんだ) (俺だけの) ほんの数秒の間に吹き荒れた嵐はヒューズの理性も良識も、全て吹き飛ばしてしまう。気づいた時にはヒューズはハボックの長身をベッドに押さえ込んでいた。 「な……?!中佐?」 恐らくは今ヒューズが何を考えているかなど想像もつかないのだろう。その空色の瞳が単なる驚きだけに見開かれているのを見て、ヒューズは苦く笑う。まだろくに抵抗も見せずにポカンとしているハボックのシャツに手をかけると、ヒューズはそれを力任せに引き裂いた。 「…ッ?!なん…ッ?中――」 拒絶の言葉か、それとも侮蔑の言葉か、ハボックが口にしようとした言葉を何か判らないままにヒューズは己の唇で飲み込んでしまう。逃れようと本気で暴れるハボックの舌を絡め取りキツく吸い上げればヒューズの口の中にくぐもった悲鳴がなだれ込んできた。 「ん―――ッ!ンン―――ッッ!!」 ハボックがヒューズの腕を押し返し、力任せに胸を叩く。だがそうやって抵抗されればされるほど、ヒューズはハボックを離す事が出来なかった。ヒューズはシャツの裂け目から手を差し入れると手のひらでハボックの体を撫で回す。綺麗に筋肉のついた体を撫でれば手のひらに当たるプチリとした小さな突起を、指で思い切り捻り潰した。 「痛いッ」 頭を振ってヒューズのキスから逃れた唇が悲鳴を上げる。それに構わず更に爪を食い込ませれば悲鳴に涙が混じった。 「い……ッ!離せッ!」 「ぐ……ッ」 叫んだハボックが滅茶苦茶に暴れた拍子に、蹴り上げた膝がヒューズの腹にめり込む。押さえつけるヒューズの手が弛んだ一瞬を逃さず、ハボックはヒューズを振り払い逃げようとした。身を捩り這うようにしてベッドから飛び降りようとする。だが、その寸前ヒューズの手がハボックの脚を掴み引きずり戻した。 「ウワッ!」 信じられないような強い力にハボックが目を見開く。ベッドの中央に引き戻し肩を掴んでハボックの長身を仰向けに押さえつけると、ヒューズは目を見開くハボックの頬を思い切り張った。 「ッッ!!」 パンッパンッと二度三度高い音が響きハボックの抵抗が鈍くなる。ヒューズはハボックの両手を束ねると腰から引き抜いたベルトで頭上に拘束した。 「中、佐ッ」 ベッドに腕を括り付けられたハボックと、そのハボックに跨って押さえつけるヒューズがハアハアと息を弾ませて睨み合う。暫くそうして睨み合っていたが、先に口を開いたのはハボックだった。 「……なんで?」 訳が判らないと言う顔でハボックがヒューズに問う。確かにハボックにしてみれば想像だにしない展開で、怒りよりも驚きよりも疑問が大きいに違いなかった。だが、ヒューズはそれには答えずハボックのボトムに手をかける。ギクリと身を強張らせたハボックが信じられないと言うようにヒューズを見つめた。 「中佐っ!」 ボトムにかけたヒューズの手にグイと力が入るのを押しとどめるようにハボックが叫ぶ。下着ごとボトムが引きずり下ろされ剥ぎ取られればその声が悲鳴に変わった。 「やだッ!」 明るい部屋の中、下肢を晒されてハボックがカッと顔を赤らめる。ヒューズはハボックの腿に手をかけ、胸に押し付けるようにして長い脚をM字に開いた。 「やッッ!!」 髪より幾分色の濃い茂みの中、色の薄い楔が覗く。ヒューズは顔をハボックの股間に寄せ、楔の先端をくわえた。 「やだァッ!」 チュウと先端を吸われてハボックが悲鳴を上げる。もがこうにもM字に開いた脚を圧し掛かるヒューズに胸に強く押し付けられてどうする事も出来なかった。 「やめろッ、やめろったら――――アアッ!」 楔をズッポリとくわえられ唇と舌で攻められてハボックが喘ぐ。直接的な刺激に楔が嵩を増し、徐々に立ち上がり始めた。 「嫌だッ、嫌ッ!」 ふるふると首を振って拒絶の言葉を吐き出すハボックに構わず、ヒューズは舌と唇を使って攻め立てる。いつしか拒絶の言葉は甘い喘ぎ声に変わり、ヒューズは手で楔を扱きながら体をずり上げ、ハボックの顔を覗き込んだ。 「ハッ……んっ、……あふ……」 頬を染めゆるゆると首を振りながら喘ぐハボックの顔をヒューズはうっとりと見つめる。甘い息を吐き出す唇を己の唇で塞いだ。 「ンッ!んんッ、んふぅ……ッ」 クチュクチュと下肢をなぶるイヤラシイ水音とハボックの喘ぎ声が部屋を満たす。ヒューズはその声を心地よく聞きながら扱く手の動きを速めた。 「あっ、あっ、嫌ッ!やめてっ、もうッ!」 追い上げられてハボックの体がビクビクと震え出す。必死に耐えようとしているのか、押し上げられた脚に力が入り足の指がキュッと丸まった。 「出ちゃうッ、中佐ッ、やめ――――」 「いいぜ、イけよ、ハボック」 哀願する声を遮るようにヒューズが低く囁く。空色の瞳が見開くと同時に、ハボックの体が大きく震えた。 「あ……アアアッッ!!」 ビュクビュクとヒューズの手の中にハボックが熱を吐き出す。シーツに頭を押しつけるように体を仰け反らせたハボックがガックリとベッドに沈み込んだ。 「あ……ああ……」 熱いため息を零してハボックが宙を見つめる。うっすらと涙を浮かべる空色にキスを落とすヒューズをハボックがぼんやりと見上げた。 「中、佐……」 その瞳を見つめたままヒューズは熱に濡れた手を双丘の狭間に伸ばす。指先が奥まった蕾に触れればハボックの体がピクンと震え、定まっていなかった目の焦点がヒューズに定まった。 「やだ」 ヒューズの意図を察してハボックが小さく呟く。怯えたように見上げてくる顔が妙に幼く見えて、ヒューズは胸がチクリと痛むのを感じた。 (悪いな) 可哀想と思うものの、ここでやめられるくらいなら端から手を出したりしない。ヒューズはハボックの瞳を見つめたまま押し当てた指をグイと押し込んだ。 「い……ッ!」 途端に強張るハボックの体を押さえつけてヒューズは指を根元まで押し込む。グチグチと指を動かせばハボックの顔が歪んだ。 「痛いッ、中佐っ、痛いッ!!」 涙を滲ませて痛いと訴えるのに構わずヒューズは蕾を掻き回し、無理矢理指で押し広げる。三本目の指を押し込んだ時にはハボックは痛みに体をヒクつかせ、少しでも苦痛を和らげようとするように浅い呼吸を繰り返していた。 「も……やめて……」 囁くように哀願する声すら甘く聞こえてヒューズは笑みを浮かべて指を掻き回す。最後にグリッと抉ればハボックの唇から悲鳴が上がるのを聞きながらヒューズは乱暴に指を引き抜いた。ハアハアと痛みに喘ぐハボックの脚をヒューズは抱え直す。グイと押し上げ取り出した己を押し当てるヒューズをハボックが目を見開いて見つめた。 「ちゅうさ、やだ……」 ふるふると首を振ってハボックが囁く。 「こんなの……嘘っしょ?」 まるで縋るように囁かれる言葉に、ヒューズは低く笑った。 「嘘じゃねぇよ」 欲しくて欲しくて堪らない気持ち。それを嘘に出来るならこれほど苦しまずに済むのに。 「全部ホントだ」 ハボックが愛しくて何もかも全部手に入れたい。 ヒューズは噛みつくようにハボックの唇を塞ぐと、押し当てた楔を一気に突き入れた。 2012/04/01 |
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