風の行く先   第十八章


「痛いッ!痛ァッッ!!」
 ズブズブと一気に突き進んできた楔に激しく突き上げられてハボックは悲鳴を上げる。苦痛にロイの腕を指が白くなるほど握り締めたハボックは欲望に濡れた声に涙に濡れた瞳でロイを見上げた。
「なんて締め付けだッ!肉が絡みついて……ッ!堪らんッッ!!」
 興奮を滲ませてロイが呻く。パンパンと肉がぶつかる音がするほど激しく腰を打ちつけるロイに身の内奥深くを犯されて、苦痛に喘ぎながらハボックはロイを見つめた。
(大佐がオレん中にいる……でも)
 これは愛故の行為ではない事をハボックはよく判っている。自分はロイが好きだが、ロイはハボックに気持ちがないどころか諦めさせるためにこうしてハボックを抱いているのだ。それでも。
「アヒィ……ッ、たいさァッッ!!」
「ハボックッ!イイッ!」
 自分の体でロイが快感を得ているだけでも嬉しいと思ってしまう。嬉しいと同時に惨めで悲しくて、せめてこうして快感よりも苦痛を感じていることだけが慰めで、ハボックは狭い肉筒を強引に押し開く巨大な牡にヒィヒィと喉を仰け反らせて喘いだ。
「くはァ……ッ!こんなにイイとは……ッ!」
 感極まったように呻くロイの声が聞こえて、ハボックは涙に濡れた顔を歪める。興奮しきったロイが更なる快感を求めてガツガツと突き入れてくるのを、ハボックはただ身を任せて受け入れた。
(たいさ……)
(たいさ、たいさ)
(好きなんです、アンタが)
(好き……だいすき)
 思いを込めてハボックがロイを見上げた時、ロイの楔がググッと嵩を増す。次の瞬間ガツンと最奥を抉った楔が大量の熱を放った。
「……ッッ?!ッッ!!」
 ドクドクと体の奥深くに注ぎ込まれる熱にハボックは目を見開く。こんな風に体の内側を濡らされる事など考えてみたこともなくて、ハボックはショックにビクビクと躯を震わせた。
「……あ、……ああ」
 ぐったりとベッドに沈み込んだハボックの耳にロイの荒い息遣いが聞こえる。これでもう最後だとゆっくりと目を閉じたハボックは、グイと脚を押し上げられてハッと目を開いた。
「たいさ……?」
 見上げれば欲望にぎらつく黒曜石がじっと見つめている。どうしたと言うのだろう、ロイがなにをしたいのか判らずハボックはロイを見つめる。その時、ハボックは埋め込まれたままの楔がグッと頭をもたげるのを感じて、ギクリと身を強張らせた。
「もっと……悦くしてやろうな」
「……え?」
 ロイの言う意味が判らずハボックはポカンとしてロイを見る。そうすればゴクリと喉を鳴らしたロイが思い切り腰を打ちつけた。
「ヒ……ィッ!!」
 もう終わったとばかり思っていた衝撃に再び襲われて、ハボックは背を仰け反らせる。だが、今度のロイはさっきのように続けざまに激しく打ちつけることはせず、何かを探すように小刻みに腰を突き上げた。
「ひン……ッ、うぁ……ッ!も、やめ……ッ」
 激しくはなくとも精液に濡らされた内壁を巨大な牡で擦られるのは辛い。やめてくれと訴えてもグチュグチュと熟れた肉壁をこすられて、ハボックはハアハアと息を弾ませた。その時。
「────ッッ!!!」
 ガツッと切っ先が当たった箇所から突き抜けた衝撃にハボックは大きく体を跳ね上げる。電気が走ったような感覚に目を見開くハボックの耳にロイの声が聞こえた。
「ここがいいんだな?」
「え?なん……────ヒアッッ?!」
 なにを言われたのか判らず問いかけようとすれば、同じ場所を今度はガツンと思い切り突き上げられる。突き抜ける衝撃に声を上げることも出来ず、ハボックは目を剥いて背を仰け反らせた。
「────ッッ!!ッッッ!!」
 突かれ押し潰されたそこから電流が背筋を走り抜け脳天を突き抜ける。それが快感だと気づいたのは、戒められたままの楔に栞紐が食い込み熱を吐き出せないまま絶頂を極めた後だった。
「ヒィィィィッッ!!」
 ガクガクと震わせた躯を大きく仰け反らせてハボックはイってしまう。手で扱かれた時以上の快感に、ハボックは空色の瞳が零れ落ちてしまうほど大きく目を見開いた。
「ぅあッッ!アヒィィッッ!!」
「くぅ……ッ!凄い……ッ!」
 ガツガツと突き上げながらロイが呻く。絶頂が止まらずハボックは唇の端から涎を垂れ流して喘いだ。
「くヒィィッッ!!ヒアアッッ!!」
「ハボック……ッ、ハボックッッ!!」
「た……さァッ!」
 苦しいまでの快感に思考が真っ白に塗り潰される。何度目になるか判らない絶頂にハボックが喉を仰け反らせた時、不意に楔を戒めていた栞紐が外された。
「ッッ!!」
 ふるりと震えた楔が次の瞬間熱を迸らせる。突然訪れた解放の快感にハボックは大きく目を見開いた。
「ヒ…………ひぃぃ……」
 勢いよく吹き出た熱がだらだらといつまでも絶えることなく溢れてくる。長い長い絶頂にハボックはビクビクと躯を震わせて呆然と宙を見上げた。


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