果てなき恋のバラード  第四十八章


「ッッ!!……ヒ…ィッ!!」
 指など比べものにならないほど太くて熱い塊が体の中に押し入ってくる。狭い器官を強引に割り開き潜り込んでくるものの圧迫感に、ロイは呼吸をすることもできずに身を強張らせた。
「……イ……ア……ッ」
「た、いさ……ッ、力抜いて……ッ」
 ガチガチに力の入った体にハボックも強引に身を進めることが出来ない。ハボックの声が聞こえているのかいないのか、目を大きく見開いたままピクリとも動かないロイを見てハボックはゆっくりと息を吐き出した。それからハボックは二人の腹の間ですっかりと萎えてしまったロイの楔に手を伸ばす。そっと手で包み込むとゆっくりと扱きだした。
「あ」
 直接的な刺激にロイの体がぴくんと震える。そのまま扱き続ければロイの唇からため息のような吐息が零れて体から僅かに力が抜けた。
「大佐」
「ひんッ」
 力の抜けたところを狙ってハボックが体を進める。苦しげに顔を歪めるロイの顔を見つめながら、ハボックは一気に奥まで己のモノを押し進めた。
「く……ウッ……!!」
 喉を仰け反らせて苦しげに息をするロイの頬をハボックはそっと撫でる。汗で額に張り付く黒髪をかき上げてロイを呼んだ。
「大佐……たいさ……」
 優しく呼ぶ声にロイは引き瞑っていた目をゆっくりと開ける。見上げれば空色の瞳が見下ろしてくるのと目があって、ロイは何度か瞬きした。
「全部入ったっス……判る?」
「全部……?」
 そう言われればただただ押し開かれる苦痛ばかり感じていた箇所に大きな熱い存在を感じる。それがハボックなのだと思えば、ゾクゾクとした震えが走ってロイはキュッと唇を噛んだ。
「大佐、感じてんの?」
「……え?」
 突然そう聞かれてロイはハボックを見る。ハボックは嬉しそうに笑って言った。
「だって、きゅんきゅん締め付けてくる」
「えっ?!」
「ほらまた締まった」
 自分で意識してやっている訳ではなかったが、ハボックがそこにいるのだと思うと勝手に体が反応してしまう。あまりに正直な体に、ロイはカアアッと顔を染めた。
「だ、だって……勝手にっ」
 恥ずかしいのとハボックに呆れられたのではないかと思う気持ちとで目に涙が滲んでくる。だが、そんなロイにハボックは熱のこもった声で言った。
「嬉しいっス」
「え?」
「大佐がオレを感じて喜んでくれて嬉しい」
「ハボック……」
 そう言うハボックをロイは目を見開いて見上げる。ハボックはロイの唇にチュッと口づけて言った。
「好きっス、大佐……アンタにもっとオレを感じて欲しい」
 だから、いいかと聞いてくるハボックをロイはじっと見つめていたが、やがてふわりと微笑むとハボックに向かって腕を伸ばした。
「私もお前が好きだ。もっともっとお前を感じたい」
 言ってキュッとしがみつけばハボックが強く抱き締め返してくる。チュッチュッと軽いキスを何度も交わすと、ハボックは少し体を離してロイの脚を抱え直した。
「動くっスよ?」
 言われてロイの体が緊張する。僅かに力の入った体に、ハボックは優しく笑って言った。
「大丈夫、怖くないから」
「……うん」
 頷くロイにもう一つキスを落としたハボックはロイの脚を胸につくほど押し上げる。次の瞬間、ズッと埋めたモノをギリギリまで引き抜き、抜いたその勢いのまま今度は一気に突き入れた。
「ンアアッッ!!」
 大きな熱い塊がロイの中を乱暴に行き来する。ギチギチに狭い肉筒をハボックの楔がこするたび熟れた内壁が引きずり出されそうで、ロイは目を見開いてハボックの腕を掴んだ。
「ヤッ……アアッ!!ヒャアアッッ!!」
「たいさ……たいさ……ッ」
 与えられる感覚が苦痛なのかなんなのか、ロイは判らなくなっていく。ただ揺さぶられるままに息を弾ませ、己の中に息づくハボックを感じていた。
「ハボ…ク……」
 ロイが切れ切れにハボックを呼んだ時。ガツンとハボックがロイの中の一点を突き上げた。
「ン、ぁッッ?!」
 背筋から一気に脳天を突き抜けたそれが、快感だとロイが気づいたのは数瞬後。その時にはもう一度同じ箇所を突き上げられていて、ロイの唇から高い嬌声が上がった。
「ひゃあんッ!」
 明らかに甘さの滲む声に気づいたハボックがその一点を攻め立てる。続けざまに甘い悲鳴を上げるロイを見つめてハボックが言った。
「イイの?たいさ……」
「あ、あ……ヤッ、ハボック……だめッ!」
 突かれるたび重く痺れるような快感が背筋を駆け上る。どうにかなってしまいそうで、ロイは必死になって首を振った。
「ヤダぁ…ッ、ハボック!!」
 拒絶の言葉であるにも関わらず、その声は甘く濡れている。そんな声で嫌だと言われてやめられる男がいる筈もなく、ロイの脚を高く抱え上げたハボックは突き入れるように激しく攻め立てた。
「ヒャアアッ!!ヒゥッ!!ああんッッ!!」
 もう言葉にすらならない声をロイは上げ続ける。今では内壁をきつくこする動きにすら快感を感じて、ロイは内側からぐずぐずに溶けだしてしまいそうな気がした。
「アッ……ふあ…っ、や…ッ、いやあ……ッ」
 自分の体がどうなってしまうのか判らない恐怖にロイはハボックにしがみつく。もうこれ以上は耐えきれないと、やめて欲しくてしがみついた腕に力を込めたが、かえってその仕草に煽られたハボックに激しく攻められる結果になった。
「ヒッ!んあ……ッ、なんで……ッ」
「大佐ッ……たいさ……ッッ!!」
 ガンガンと突き上げられてロイの唇から悲鳴が零れる。ガツンと思い切り突かれて、ロイは背を仰け反らせるとブルリと震えた。
「あ……?……アアアッッ!!」
 なにが起きたのか理解するより先にロイは二人の腹に白濁を迸らせる。熱を吐き出してビクビクと震えながら無意識に咥えたハボックを締め付けた。
「く……た、いさ……ッ」
 甘い締め付けにハボックが低く呻く。ググッと埋めた楔が嵩を増したと思うと、ロイの中でハボックが弾けた。
「ッッ?!……ア……熱い……ッッ!!」
 体の内側から熱く焼かれて、ロイはビクンと大きく体を跳ね上げる。
「好き……ッ」
 熱く囁いたハボックの唇が己のそれを塞いでくるのを感じながら、ロイの意識はゆっくりと闇に飲まれていった。


 ロイは果てのない荒野を一人歩いていく。どこへ向かって歩けばいいのか、疲れきってもう一歩も歩けないと思ったロイの目の前をふわりと青と黄色の紋様を浮かび上がらせたアゲハ蝶が横切った。
「待ってっ!!」
 ロイは足にまとわりつく砂を蹴立ててアゲハ蝶の後を追う。ひらひらと高く低く飛ぶ蝶に手を伸ばしたロイは、砂に足を取られて地面に倒れ込んだ。
「アッ!!」
 ザンッと砂をまき散らしてロイは無様に倒れ込む。どんなに手を伸ばしても指の間をすり抜けていってしまう蝶に想い人の姿を重ねてロイが目に涙を浮かべた時。
「あ」
 砂の上についたロイの手の上にアゲハ蝶がふわりと舞い降りる。美しい紋様を僅かに震わせて蝶は暫く羽を休めていたが、再びふわりと飛び立った。その動きを追って慌てて視線を上げたロイの目の前に。
 豊かな水をたたえたオアシスが広がっていた。


「───いさ、……大佐」
 呼ぶ声にロイはゆっくりと目を開ける。そうすればオアシスと同じ澄んだ色の瞳がロイを見下ろしていた。
「大丈夫っスか?」
 心配そうに言ってハボックはロイの髪をかき上げる。その優しい指の感触を感じながらロイはハボックをじっと見上げた。
「たいさ……?」
 答えないロイにハボックが僅かに眉を寄せる。それにロイはうっすらと笑うと、厚い胸に頬を寄せた。
「大丈夫だ」
 そう言って目を閉じれば目の前にあのオアシスが広がる。
「好きです、大佐……」
 言葉と共に降ってくる優しいキスを受け止めながら、ロイは幸せそうに微笑んだ。


2011/03/29


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摩依夢さまから頂きました、41万と6リクです。リク内容は「ハボ←ロイから始まるハボロイ(切ない系)をお願いします!もちろんハッピーエンドで。カッコイイ(軍人としても優秀)なハボック希望です。イメージはポルノグラフティの「アゲハ蝶」と「ジョバイロ」なんですが、ご存じで許容範囲でしたら、ということで。R指定は、みつきさんのラヴシーンはとても雰囲気があってお互いが想いあっていることが強く伝わってくるので、ぜひそこまで読んでみたいです」と言うことで頂いたんですが……。撃沈?「アゲハ蝶」の方は知っていたのでそれらしい感じで始めてはみたもののなんかもうちっとも切なくもなければカッコいいハボでもなくなってしまいました(がっくり)でも、とっても嬉しかったのはリク頂いた摩依夢さまとちょっとだけですがお話をリンク出来たこと。おかげさまでとっても楽しく書き進むことが出来ました。リク内容とは大分違ってしまった気もしますが、少しでも楽しんで頂けましたら幸いです。摩依夢さま素敵なリクをありがとうございましたvv