caution!!

この話は前半部分、まるっきりのヒュハボ設定となっており、ロイのロの字も出てきません。
また、原作ベースの死にネタも含まれますのでそう言ったものが苦手な方はお避け下さい。
閲覧後の苦情は一切受け付けませんので、ご了承お願いします。


千年樹 〜eternal green〜 (第一章)


「あれ、ヒューズ中佐、来てたんですか?」
 ガチャリと司令室の扉を開けて入ってきた男に向かってフュリーが言うのを、ハボックは書類を書く手を止めずに聞いていた。
「おお、急用でな。ロイ、いるか?」
「大佐なら今ちょっと将軍に呼ばれて…。でもすぐ戻ってくると思いますよ」
 フュリーがそう言うとヒューズはちょっと考える仕草をしてから言った。
「んー、じゃ、待たせてもらうかな」
 そう言ってハボックの机に手をつくと、金色の頭に向かって言う。
「そういうわけで、少尉、コーヒー」
 さも当然と言うカンジで言う男を、ハボックは軽快に走らせていたペンを止めるとため息と共に見上げた。
「なんスか、そういうわけでって。オレ、仕事してるんスけど」
「いいじゃん。夜行列車でやってきて休む間もなく働いている上司にコーヒーの一杯くらい淹れてくれたって」
「…コーヒー淹れたげますから仕事の邪魔しないでくださいね」
 ハボックはそう言うと机に手をついて立ち上がる。机についたハボックの手が机の表面から離れる瞬間、すぐ側にあったヒューズの手が、さり気なく触れていった。ハボックはそうとは判らないほど目を見開くと司令室をでていく。すぐ近くの給湯室にいくと、ロイお気に入りのコーヒーを出して落とし始めた。
「……」
 ハボックは疲れたように壁に体を預けるとぽたぽたと落ちる黒い液体を見つめる。ヒューズが今日、東方司令部に来ることは知っていた。昨夜、ヒューズがセントラルを出るときにハボックの所に電話があったからだ。ハボックは、さっきヒューズが触れた小指をそっと口元に当てる。そこだけが火がついたように熱く感じるのは決して錯覚などではないことにハボックは気がついていた。ほんの小さな熱がそこから徐々に全身へと広がっていくような気がする。ハボックが熱が発する源を食いちぎってしまおうとするかのように指に歯を当てたとき、後ろから声がかかった。
「ハボック」
 一瞬見開いた空色の目を伏せて、ハボックは振り返らずに答える。
「せっかちっスね、まだ入ってないっスよ」
「判ってるさ」
 ヒューズはそう言うとハボックの腕を掴んで振り向かせる。自分より僅かに背の高い男の金色の頭に手をやるとぐっと引き寄せた。
「んっ」
 強引に重なってくる唇にハボックは身を引こうとするが、ヒューズの強い力がそれを赦さない。
「ん…ぅん…ふ…」
 ヒューズの軍服の袖を掴むハボックの指が僅かに震えだした時、ようやくヒューズが唇を離した。慌てて体を離したハボックはヒューズを睨んで言う。
「誰かに見られたら…っ」
 ヒューズは微かに笑うと手を伸ばしてハボックの唇についた唾液を拭った。そうしてハボックを見据えて囁く。
「今夜はお前んちに行くからな。寝ないで待ってろよ」
 それだけ言うとひらひらと手を振って給湯室を出て行ってしまう。ハボックは手の甲で唇を拭うともうすっかり落ちきってしまったコーヒーを見つめるのだった。


 仕事を終えて戻ったアパートで、ハボックは軍服を脱ぐと私服に着替える。ちらりと壁の時計を見ればまだ針は7時を回ったばかりだった。あれはいつのことだったろうか、ハボックはヒューズと関係を持つようになっていた。ハボックは時折上司のもとを訪れる、背の高い皮肉屋の男に長いこと惹かれていた。だが、ヒューズには妻も子もいたから、これは決して叶えられることのない想い、絶対に誰にも知られてはいけないものだとひた隠しにしてきたのだ。それがある時、酔ったヒューズをホテルに送って行ったハボックを、ヒューズは半ば奪うようにして抱いたのだった。最初のうちこそ抵抗したハボックだったが、もともとずっと好きだった相手だ、結局は拒みきれずに受け入れてしまった。ヒューズがイーストシティにいた5日間の間、ハボックはヒューズのもとに通い続け、そうしてその関係はいまだに続いていた。ハボックがセントラルに出張に行けばヒューズは必ずホテルにやってきたし、イーストシティにヒューズが来た時はハボックのアパートに来ることが無言の取り決めごとになっている。
 ハボックはため息をつくと、冷蔵庫からビールの缶を取り出した。プルトップを引けば僅かにあふれ出す泡を唇で受け止めるようにして、一息で半分ほどを飲み干す。もう1本出したそれと一緒に持って、ハボックはリビングへいくとソファーにどさりと腰を下ろした。まだあけていない缶をテーブルの上に置き、飲みかけの缶を手にハボックはだらしなくソファーに体を預けると、ヤニで薄く色のついた天井を見上げる。こんな関係は間違っている。ヒューズには妻も子もいるのだ。女神だと言って妻を崇拝し、天使だと鼻の下を伸ばしながら人の迷惑を顧みず、愛娘の写真を見せるヒューズは家族を誰よりも愛し、大切にしている。そもそもハボックにはヒューズが自分を抱く理由が判らなかった。あの綺麗な顔をした黒髪の上司ならともかく、こんなどこから見ても紛うことない男の自分を、どうしてヒューズは抱くのだろう。酔った勢いで興味本位で抱いた最初のときならともかく、なぜこうもずっと関係を持ち続けるのだろう。
 そう疑問に思っては見ても、ハボックは自分からその理由を聞くことも、また関係を終わらせてしまうことも出来なかった。どうしてかと自分でも判らないほどハボックはヒューズに惹かれていた。その常磐色の瞳で見つめられれば身動きすら出来ず、求められるままに体を開いてしまう。そうして一度ヒューズの前に開かれてしまえば、後はもうヒューズの熱で散々に焙られ蕩かされ乱されていくしかなかった。
「くそ…」
 ハボックは手にした缶を飲み干してしまうと乱暴に机の上に置いた。そうして表面に水滴の浮かび上がった次の缶を手のとるとプルトップを引き上げ口を付ける。がぶりと喉に流し込むと、ハボックは目を腕で覆ってソファーに深く沈みこんだのだった。


 テーブルの上に空になった缶が幾つも転がっている。つまみすら口にせず本数を重ねたビールに、しかしハボックは全く酔うことが出来ないまま壁の時計を見上げた。針はすでに日付をまたぎ、部屋の中には微かに時計の音が響いているだけだ。ハボックがため息をついて立ち上がったとき、アパートの扉を叩く音がした。身を堅くしたハボックが躊躇ううちにも扉を叩く音は続く。散々逡巡したハボックがようやく扉を開けると、そこには待たされて苛ついたヒューズが立っていた。
「寝てたのかよ。起きて待ってろっつったろ」
 ハボックはヒューズの顔をじっと見つめていたが口を開くと言った。
「今日はもう遅いし、ホテルに帰った方がいいっスよ。明日も早いんでしょ?」
「なんだ、遅くなったから拗ねてんのか?」
「オレはアンタのためを思って言ってるだけです」
 そう言って見下ろしてくる空色の瞳をヒューズは見返して、それからハボックを押しやるようにして中へと入ろうとする。だが、玄関を塞いでどこうとしないハボックにヒューズは苛々と言った。
「おい、さっさと中に入れろ」
「ホテルに帰れって言ったでしょ」
「ホテルなんてとってねぇよ」
「な…」
「お前んとこに来るのがわかってんのにとる必要なんてないだろう」
 言葉に詰まるハボックをグイと押すとヒューズはアパートの中へ入る。リビングのテーブルの上に散乱する空き缶をヒューズは黙ったまま見下ろした。
「メシは食ってきたんでしょ?」
「…ああ」
「コーヒーでも飲みますか」
 そう言ってダイニングへと入っていこうとするハボックの腕をヒューズは乱暴に掴んだ。自分の方を向かせると噛みつく様に口付ける。差し入れた舌で散々にハボックの口中を蹂躙して唇を離すと、目元を赤らめて睨みつけてくる空色の瞳ににやりと笑った。
「コーヒーなんていらねぇよ。お前を食わせろ」
「ちゅうさっ」
「一体どれだけ会ってなかったと思ってんだ」
 ハボックの耳元にそう囁くと、ヒューズはハボックを床に引き倒した。ズボンに手をかけると毟り取るようにして剥ぎ取ってしまう。
「ちゅうさっっ」
 煌々とした灯りの下に下肢を曝されて、ハボックが悲鳴交じりの声を上げた。だが、ヒューズはそれに構わずハボックの中心を握り締める。びくっと跳ね上がる体を押さえ込んで、ヒューズは乱暴に手にしたそれを扱き出す。
「んっ…くぅ…」
 久しぶりに触れられて、ハボックは瞬く間に熱を放った。はあはあと荒い息を零すハボックに見せ付けるようにしてヒューズは手のひらに吐き出された熱をぺろりと舐める。
「随分濃いな。俺がいない間、他のヤツとヤらなかったのか?」
 意地悪く聞いてくるヒューズを睨みつけてくる空色の瞳に、ヒューズは笑うとハボックの体を俯せに反した。
「俺も溜まってんだよ…」
 背後から抱え込むようにしてそう囁いてくる男を、ハボックは肩越しに睨みあげた。
「うそばっか…!」
「なんで嘘だと思うんだ。」
 そう聞いてくるヒューズにひくつく蕾を撫で上げられてハボックはびくりと震える。苦しげに伏せられる瞳を見つめながら、ヒューズはハボックの蕾に指を沈めた。
「んんっ」
 次々と増やされる指にハボックは喘いで床に顔を伏せる。自分と違って溜まってるわけなどないではないか。ヒューズには誰よりも愛している妻がいるのだ。自分がベッドの上でヒューズを想って慰めている間にも、ヒューズはあの美しく聡明な女性を抱いているのだろう。柔らかな女の胸に顔を埋め、熱く滾る自身をその柔らかい肉に突き入れて、優しくも激しい時を過ごしているに違いないのだ。ぐちぐちとかき回していた指が引き抜かれ、熱い塊りが蕾に押し当てられて、ハボックは期待に体を震わせる。次の瞬間ずぶずぶと分け入ってきた熱に、ハボックの唇から嬌声が上がった。
「ひああああっっ」
 思い切り奥まで突き入れられたかとおもうと、内蔵をすべて引きずり出すかのような勢いで入口まで引き抜かれる。そうしてまた一気に奥まで犯されて、ハボックはぽろぽろと涙を零しながら喘いだ。乱暴に揺すられて、フローリングの床についた膝が痛む。ハボックは自分の手の甲に落ちる涙を見つめながら、唇を噛み締めた。誰よりも愛している妻を抱く時、きっとヒューズはこんな抱き方はしないに違いない。柔らかいベッドで、妻が清潔に整えたシーツに彼女を横たえて、優しく慈しむように抱くのだろう。そう考えた時、ヒューズの手がハボック自身に絡んできた。
「何を考えている?」
 物騒な色を滲ませた声にハボックの背筋をゾクリとしたものが駆け上がる。ヒューズはそそり立つハボック自身を握り締めて囁いた。
「俺に抱かれてる時に余計なこと考えてんじゃねぇよ」
 そう言うと同時にヒューズはハボックを乱暴に突き上げる。手にしたハボック自身をぐちゅぐちゅと梳きあげればハボックの背中がしなった。
「あっ…あひぃ…ちゅ…さっ」
 ガンガンと突き上げ、手にした自身を握りつぶさんばかりに愛撫する。瞬く間に登りつめて熱を吐き出すハボックの体をヒューズは強引に引き起こした。
「あっ…あああっっ!」
 床に座り込んだヒューズに跨るように乗ったハボックは自重で奥深くを抉られて悲鳴を上げる。シャツの中に忍び込んできた指が堅くそそり立った乳首をこね回した。
「ひっ…あっああんっ…んふ…」
 ぐりぐりとこね回されてハボックの唇から止められない喘ぎが零れる。身悶えるハボックの様子ににんまりと笑ったヒューズはハボックに囁いた。
「女みたいだな、少尉…そんなに気持ちいいのか?」
 そう言いながら両方の突起を指でつまんでぎゅうっと引っ張る。
「あああっっ」
 脳天を突き抜ける快感にハボックの中心から熱が迸った。くくっと耳元で笑う声に、ハボックは居た堪れずにギュッと目を閉じる。途端にきつく突き上げられてハボックは悲鳴を上げた。
「ああっ…や、めっ…ひいっ…やめ、てっ」
「もっと、の間違いだろ、少尉。強請って見せろよ」
「や、だっ」
 ふるふると首を振るハボックをヒューズは情け容赦なく突き上げる。天を突くようにそそり立ったハボック自身が熱を吐き出そうと震えた瞬間、ヒューズはその根元をきつく押さえつけた。
「あ…っ」
 滾る熱を吐き出すことを封じられて、ハボックは荒い息を零す。微かに身動くハボックを押さえつけてヒューズが囁いた。
「強請ってみせろよ」
「そ、んな…っ」
 唇を噛み締めてそれ以上言おうとしないハボックをヒューズは乱暴に揺さぶる。続けざまに奥まったしこりを突き上げられて、ハボックは身のうちに渦巻く熱に悲鳴を上げた。
「ひっ…ひぃぃ…っっ」
「強請れよ、ハボック…。」
 残酷に囁かれる声に抗う術もなく、ハボックは唇を震わせる。
「い、かせて…っ…くるし…」
 びくびくと震える体を抱きしめて、ヒューズはハボック自身を縛める指を外すと同時に、その最奥へ熱を叩きつけたのだった。


→ 第二章