予定


「たいさぁ、コーヒーお持ちしましたぁ」
 そう言いながら執務室の扉を開けたハボックは、壁を見つめて満足そうに頷くロイの姿に首をかしげた。
「なにしてるんスか、大佐」
 カチャリとカップを机に置いたハボックはロイの体に隠れていた壁に、なにやら貼ってある事に気づく。ロイはそれを見て頷いていたのだと判ったハボックはロイの肩越しに壁に貼ってある紙を見た。
「なんスか、それ」
 その紙にはちょっとクセのあるロイの字で幾つかの項目が書き込まれている。
「1.中央図書館にて調べ物、2.ペシェ・ミニョンで新作ケーキ試食、3.ブラウン古書店で本引取り、 4.ユリアナ嬢と食事…何これ」
 ハボックが胡散臭そうに言えばロイがにっこりと笑って答えた。
「本日の予定」
「はあっ?」
 ロイの答えにハボックは声を上げるともう一度紙を見直す。キュッと眉を寄せるとロイの机からマジックを取り出し4つ目の項目にビーッと線を引いた。
「あっ、何するんだ」
「これは却下」
「私の予定に口出し――」
「文句ありますか?」
 ジロリと睨まれてロイはウッと言葉に詰まる。その時執務室の扉が開いてホークアイが入ってきた。書類を抱えたホークアイはじっと壁の紙を見ていたが、書類をロイの机に置くとハボックからマジックを受け取りロイの字の上に大きくバッテンを書く。
「「あっ!」」
 そうして机の上から紙を一枚取り出すとそれにさらさらとしたため、壁にぺたりと貼った。
「1.書類にサイン、2.書類にサイン、3.書類にサイン、4…って、全部サイン書きっスか?」
「今日中に全部終わらせていただきますから」
 バンッと紙を平手で叩いてそう告げるホークアイにロイは返す言葉もなくうな垂れたのだった。


2007/09/08


→ 「予定 その後」(ハボロイ・R20)